ユウイチ

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社会を変えたいのなら、社会を変えようとしてはいけない。「独立国家のつくりかた」を読んで

大人になるとは、「そういうものだ」をうまく使えるようになることだ。 子どもの頃、「なぜダメなの?」「なぜこれをしちゃいけないの?」と親や教師に必死に食い下がったところで、答えはいつもこれだった。 「そういうものだ。」 大人と呼べる年齢になってわかったことは、たしかに「そういうものだ」としか言えないことがある。そして、もっと言えば、そこに刃向かったところで、どうしようもない無力感もある。 だからこそ、大人は優しく見ないふりをしてくれている「そういうものだ」と。 私はア

    • 東浩紀さんの「弱いつながり」を読んだら、ずっと嫌いだった「観光」を好きになった。

      観光という言葉がずっと嫌いでした。 観光というと、そこに住んでいる人の生活も文化も理解せずに、土足で踏み込んで、なんとなくわかった気になって帰ってくる。 何を得るわけでもなく、何か変化するわけでもなく、ただ行って帰ってくるだけ。そんな観光になんの意味があるのかわからず、ずっと嫌いでした。 この観光嫌いの考え方を、揺さぶってくれたのが、東浩紀さんの「弱いつながり」という本でした。 2015年の紀伊國屋じんぶん大賞に選ばれた一冊で、検索ワードという身近なテーマをもとに、S

      • 「なぜ日本人は世間と寝たがるのか」を読んだら、「できる社会人は即レス」というメッセージの本当の意味に気づいてしまった…

        日本を支配しているもの、それは世間である。 お歳暮やお中元に代表されるように、私たち日本人は世間を維持するための習慣を大事にしてきた。そして、世間の中でのパワーバランス・上下関係にはとてつもなく気を使う。 会議室や会食の咳だけではなく、タクシーやエレベーターにまで上座・下座の考え方を広げていったのは、まさに世間の支配力の賜物である。 こんなことを言ったところで、若い人たちには笑われるかもしれない。上座や下座、お中元やお歳暮など、もう古い習慣だと。 いまは効率的に、意味

        • 「手の倫理」が見せてくれたのは、道徳と倫理の違い、そして、自分の中にある「無限性」

          小学校の道徳の授業ほど、つまらないものはありませんでした。 タカシくんが、友達の家で花瓶を割ってしまう。その事実を隠そうとするのだけれど、失敗する。最終的には、その友達に正直に謝って仲直りをする。 こういったお話をクラス全員で朗読をした後に、先生が質問をします。タカシくんの良くなかったところはどこですか? 隠そうとしたことです。そうです。私たちはウソをついてはいけません。正直じゃなければいけません。 それだけで、授業は終わりました。私に残ったのは、ウソ=悪、正直=善と

        社会を変えたいのなら、社会を変えようとしてはいけない。「独立国家のつくりかた」を読んで

        • 東浩紀さんの「弱いつながり」を読んだら、ずっと嫌いだった「観光」を好きになった。

        • 「なぜ日本人は世間と寝たがるのか」を読んだら、「できる社会人は即レス」というメッセージの本当の意味に気づいてしまった…

        • 「手の倫理」が見せてくれたのは、道徳と倫理の違い、そして、自分の中にある「無限性」

          「障害者だからできる」という自分の言葉の差別意識から、見つけた答えのでない問い

          「利益のないところを大切にする会社をつくりたい」 この言葉を見つけたとき、私は複雑な感情に襲われました。それは、「素晴らしい」と「いや無理でしょ」とがきれいに50:50でブレンドされた状態でした。 利益のないところを大切にするとは、たとえば、日々の挨拶であったり、ちょっとした気遣いであったり、トイレ掃除であったり。やったからと言って何かが良くなるかどうかは、はっきりしないけれど、やったほうがいいことです。 そのほかにも、利益を生みにくい新規事業であったり、広報や人事など

          「障害者だからできる」という自分の言葉の差別意識から、見つけた答えのでない問い

          プロジェクションマッピングの歴史・意味をまとめてみた

          プロジェクションマッピングとは何か、を探るために、その言葉の意味から歴史まで整理しました。 プロジェクションマッピングってなんだろう?という人も、もっと詳しく知りたい、もしくは、マッピングを企画してみたいという人にも、読んでもらうと、わかりやすくまとめました。 プロジェクションマッピングの意味 プロジェクションマッピングを、英語に戻すと、projection と mappingという2つの言葉でできています。 まず、projectionは、projector(プロジェク

          プロジェクションマッピングの歴史・意味をまとめてみた

          「三行で撃つ」を読む前の自分には、もう戻れない。

          文章が上手くなりたい。それくらいの心持ちで手にした「三行で撃つ」だったが、そんな軽い気持ちで、読んでいい本ではなかった。 その程度の思いならこの本は読まなくていい。 書くとは、文章とは、言葉とは、表現とは。答えのない疑問の中で足掻き続けている人にこそ読んでほしい。表現することが生きること、そう感じたことが一瞬でもあるのなら、ぜひ読んでほしい。 ただ、注意してほしいのは、この本に答えは書いていない。問い続けるその姿勢が正される。背筋が伸びる。 たとえば、流行語を使っては

          「三行で撃つ」を読む前の自分には、もう戻れない。

          「みつける」を大切にする1年に

          去年なにをしていたのだろう。そう考えると、いろいろやっていたけれど、何か満足感を得られないというか、やり切ったという感覚があまりない。 不思議な感覚に襲われてしまう。 サボっていたわけでも、不満があるわけでもない。だけれども締まりの悪い感じ。もしかしたら、多くの人がそんな感覚を持っているのかもしれません。 コロナの流行や非常事態宣言(関東ではまた発令されそうですね)、とにかく目の前のことに対応するだけで精一杯な一年でした。 その一年を乗り越えたからこそ、いま改めて今年

          「みつける」を大切にする1年に

          タイトルはギャグみたいだけど、2021年を考えるのにマジで参考になる一冊が、これです。

          「京大的アホがなぜ必要か」というタイトルの1冊。京都大学にかかわったことがある人以外には、全く引きのないタイトルです。 この本を知ることができたのは、ナカジ@ANRIさんのTwitterからでした。 スケールフリーネットワーク?不条理?複利?どういうこと?という感じでしたが、読んでみると、現代社会を生き抜く上でとても重要な考え方を提示してくれていました。 それが副題の「カオスな世界の生存戦略」です。 何か難しそうな言葉が並んでいますが、簡単に翻訳すると、この世界には因

          タイトルはギャグみたいだけど、2021年を考えるのにマジで参考になる一冊が、これです。

          私が愛したのは、たった1枚で物語のすべてを語り尽くしてしまう写真。

          こんにちは、はじめまして、クリエイティブの会社でCOOをやっているゆういちです。 クリエイティブの会社で働いているので、カメラを構えるどころか、カメラが得意だと思われることがよくあります。実際に写真や映像を撮ることもよくあります。しかし、正直なところ、カメラが苦手です。特に写真を撮ることが苦手です。 写真とは、たとえば1200分の1秒という一瞬で世界を切り取る行為であり、その一瞬で何かを伝える行為です。 幼い頃から文章に慣れ親しみ、その後には映像文法にどっぷりハマった人

          私が愛したのは、たった1枚で物語のすべてを語り尽くしてしまう写真。

          何者でもない誰かに届けたい言葉。「自信はないけれど、確信がある。」

          6月末にSUGOIで担当していたプロジェクトがひと段落を迎えた。その詳細については、会社のnoteで書いたのでそっちを読んで欲しいのですが、こちらでは感情的なことを爆発させます。 このプロジェクトの最中ずっと、とても楽しかった。嬉しかった。何だったら、なんでもないことで泣きそうになった。そんな心揺さぶられる最高の仕事でした。 もともとは、「本で遊ぶじかん」という会社の読書会に参加してくれた人が、別の人を誘ってきてくれて、その人が相談してくれたものでした。 おそらく、SU

          何者でもない誰かに届けたい言葉。「自信はないけれど、確信がある。」

          6年前から少しずつ夫婦になっている、そのスタート地点の話

          淀屋橋の駅までどう歩いたのか覚えていない。ただ、悩み続けていた。このまま帰ろうか、帰っていいものか。 朝早くに訪れたアメリカ領事館からの帰り道、昼はとっくに過ぎていた。お腹は空いていない。あえていうなら、吐き気が少し。 帰ろうか、帰らない方がいいのか。どんな顔をすればいいのか。そんなことを思いながら、電車に乗った。地元の神戸に帰る電車に。 電車に乗って、乗り換えて、神戸三宮の駅まで戻ってきた。街並みも道行く人も、おぼろげに見える。アメリカに移住して4年も経てば仕方ないの

          6年前から少しずつ夫婦になっている、そのスタート地点の話

          自分のことを、現在からさかのぼってみた。

          2020年4月(36歳)Youtubeで本の話している SUGOIという会社のCOOとして、noteを書き、YouTubeでは本について話をしている。役職とか仕事内容とか説明するのが複雑すぎて、困っている(楽しんでいる)。 2019年2月(35歳)COOに就任 COOに就任。自分でクリエイティブなものを作るより、クリエイティブなものができる環境をつくりたいと、COOに立候補。就任。 2017年4月(33歳)初東京・初サラリーマン SUGOIに入社。初のサラリーマン、初の東

          自分のことを、現在からさかのぼってみた。

          今までになかった本屋さんのつくりかた Lunch#86 中西功さん

          東京の吉祥寺に変わった本屋さんがあります。そこの本屋さんは両側の壁一面が本棚になっていて、その本棚が小さいスペースに区切られています。およそ100前後の小さいスペースからなる本棚。 あるスペースは、歴史ものばかり、あるスペースは絵本ばかり、あるスペースは科学の本ばかり。 そんなふうに、それぞれのスペースの特徴がバラバラになってます。これが、この本屋さん、「ブックマンション」です。 この不思議な本屋さんを作った中西さんに話を聞いてきました。中西さんのポイントはこちら。

          今までになかった本屋さんのつくりかた Lunch#86 中西功さん

          やるべきことに打ち込んでいる自分が好き Lunch#85 園部ひろなさん

          東京外国語大学の4年生の園部さんは、同級生と少し違います。 この大学の卒業生の多くは、商社や物流、観光業界、さらには外務省というふうに、直接的な海外とのコネクションの強い仕事を志望する人が多いそうです。 そんな中、園部さんは、IT系のベンチャーの内定が決まっています。海外志向の強かった園部さんの行動の原点は、人との出会いでした。そんな園部さんのポイントはこちら。 ・バス停のお姉さん ・「なんでもいいから、毎日続けること」 ・死ぬまで成長したい まずは、バス停のお姉さん

          やるべきことに打ち込んでいる自分が好き Lunch#85 園部ひろなさん

          まじめがバカにされるなら、別のコミュニティに行けばいい Lunch#84 戸坂太陽さん

          今、大学生の戸坂さんは、自分でメディアの立ち上げを進めながら、学生のキャリア支援の団体の運営をしたり、さらには、コンサルティング会社でのインターンをするなど、大学生とは思えないほどの行動力があります。 ただ、小学校の時の卒業文集の将来の夢は、サラリーマンだったそうです。そんな戸坂さんのポイントはこちら。 ・トライアスロンから剣道へ ・何も知らないままに、ベトナム生活 ・「まじめ」がバカにされる文化 まずは、トライアスロンから剣道へ、です。 父親の影響で、小学2年生の時に

          まじめがバカにされるなら、別のコミュニティに行けばいい Lunch#84 戸坂太陽さん