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吉原を舞台にした花魁小説です。

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江戸時代の吉原を舞台にした花魁小説です。 自分の好きなアイドル達を見ていて、まるで遊郭の遊女や花魁達の世界のようだと思い書き始めました。安野モヨコ先生のさくらんや、時代小説剣客商…
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#花魁

「極夜の月」について

こちらは、私が小説を書き始めたきっかけのお話です。 およそ20年近く前、まだ10代の推しがソ…

プロローグ

「おい、知ってるか?あの玉楼の花魁、夕霧が身請けされるそうだ」 「なんだって?相手はどこ…

【第一章】第一話 

 女衒の弥七に連れられてやってきたその子供は、お世辞にも器量よしとは言えず、目じりの切れ…

第二話

 体中が痛い。目を開けると、周りは暗闇でほとんど何も見えなかった。ここはどこだと身体を動…

第三話

 昼4ツ(午前10時)廓の遅い朝が始まる。座敷の掃除は禿達の仕事だが、佐知が様子を見に行…

第四話(*性表現ありますのでご注意ください)

 玉楼は、吉原の中でも5本の指に入る大見世だ。格子ごしに見える、美しく着飾った遊女達が所…

第五話 

 遊廓に売られた子どもが、無垢な少女でいられる期間は儚く短い。16の新造出しから17の若さで花魁となり、それから幾度月日が流れても人気は衰えることなく、玉楼を一身に背負ってきた佳乃の身受けが正式に決まった。相手は、代々続いてきた奥医師の息子で、昔はただの塾生だったが、今じゃ立派な医者となったあの柿崎だ。 「それにしても、まさかあの男がそんなに立派な家柄の息子だったとはね。塾生だった頃なんて本当にひどい身なりだったから、てっきりただの田舎者だとばかり思ってたのに」 「しかしい

第六話

 佳乃が身請けされた後、梅とお凛は紫について学び、二人はやがて、禿から新造となる年齢に達…

第二十六話(*性表現があるのでご注意ください)

 亡八とは、人間が持つといわれる八つの美徳、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌、すべてを失っ…

第二十八話

「それじゃあ行ってくるけど、くれぐれも無理しないでね」 「…うん」  いつものように、仕…

第三十話

 夕暮れの始まりと共に賑わい出す吉原の仲之町を、お凛を先頭に、梅、数人の禿を引き連れた紫…

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第三十六話

「早める?」  お吉の言葉に納得いかず、源一郎は思わず大声をあげ聞き返す。  花魁紫に続…