見出し画像

「髪切った?」と言われることの大切さに気付いたフリーランス9ヶ月目

フリーランスは、さいっこうである。

場所や時間に縛られずに仕事ができる。
目が覚めるまで寝て、パジャマのまま自宅で働くことができる。
急に思い立って、お気に入りのパン屋さんに行くことだってできる。
平日の昼間に、可愛い甥っ子の顔を拝みに行くこともできる。

なんと気ままな働き方だろう。

なにものにも縛られたくない私にはピッタリだ。

フリーランスという働き方に、一切不満はない。
むしろ、大好きだ。

その日も思い付きで、ロングの髪をバッサリ切った。
特に理由はないが、長い間同じ髪型でいることに飽きてしまったから。

これまで何年も同じ時を過ごしてくれた私の一部だ。
ロングヘアからショートにするのはほんの少し、いや、かなり勇気がいるものだった。

ドキドキしていた気持ちは裏腹に、美容師さんの技術は確かで、満足のいく髪型にしてくれた。

それはそれは清々しかった。
なにより、久しぶりに見る髪型にワクワクしていた。

ヘアセットのいい匂いがしたまま家に帰る。

私はそわそわしていた。

家族にいつ気付かれるだろうか。
なんて言われるだろうか。
似合うって思ってもらえるだろうか。

自意識過剰に「誰かに見られてる感」を感じながら、「ただいま~」と言ってみる。

部屋に入るやいなや、横目でチラッと家族を見る。

仕事をしていた家族は、なかなか気づいてくれない。
というか、PCばかりを見つめており、こちらのことなど一切気にしていない。

わざとらしく家族の前を横切ったり、話しかけてみたりするが、気づかない。
今チラッとこっち見た!?と思っても、何も言葉を発してこない。

気付かれるまで自分からは伝えないでやろうか。
とも思ったが、いかんせん「言わない」ことが苦手な私は、痺れを切らした。

「ねえ!髪切ったんだけど!!!!」

思いのほか大きな声が出た。
自分でもびっくりした。

「あ・・・ほんとだ。」

なんだか二重に驚かせてしまい、気まずくなって終わった。

まあ、別にいいんだけど。
髪を切るのは自己満足だし。
誰かに気付かれたくて切ってるわけじゃない。

まあ、それはそうなんだけど。

その瞬間、私は気づいてしまった。

会社のドアを開けると「あ~!髪切ってる~!」と言ってもらえる空間の大切さに。


正直、髪を切った次の日に学校や会社に行くのが苦手だった。
だって、絶対「髪切ったね!」って言われるから。
「うん。切ったよ」としか言えない会話を、永遠と繰り返さなければいけない。

絶対に髪の毛について触れられると分かっているから、なんて答えればいいんだろうと前日からソワソワしていた。


でも、「髪を切ったね」と言ってもらえるのは、「少しの変化でさえも気付いてもらえる関係性」だからだ。

学校や会社に行くと、嫌でも顔を合わせる。
朝家を出る直前に親に怒られても、前日に彼氏と喧嘩しても、それでもみんなと同じ空間にいなければいけない。

それが苦痛だと感じることもあった。
どんな顔してみんなに会えばいいんだろうと億劫なこともあった。

でも、それって実はものすごく大切なことだったんだと気付く。

「今日化粧濃いね」と言われるのだって、「なんか今日元気ないね」と言われるのだって、毎日一緒にいるからだ。
昨日と今日の、たった少しの変化に気付いてくれるのは、それだけ一緒にいるからなのだ。

面倒な人間関係から解放されるためにフリーランスになったが、「やっぱり人との関りを持ちたい」と思うのが人間だ。

仲がいい人じゃなくていい。
特別に気が合う人じゃなくてもいいから、とにかく私の人生には「人」が必要なんだと思った。

今は、良くも悪くも、なんでもオンラインで解決してしまう。
打ち合わせも面接も、説明会もすべて。
だからこそ、対面で人に会った時のぬくもりを感じる。

嫌悪感を感じさせるのも人間。
温かさを感じさせるのも人間。

これからはもっともっと、一緒にいたいと思える人との時間を増やしたい。
そう思う今日この頃でした。

ということで。
本日コワーキングスペースの見学に行ってきました。

毎日ちゃんと化粧をして、身だしなみを整えて、お仕事をしたいと思います。

思い付きだけど、それを秒速で実行できちゃうのがフリーランスのよさ。

この思い付きから、素敵な出会いが生まれますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?