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【結の人】その⑤ 福地 里奈さん(渋谷区社会福祉協議会 CSW/SC)

地域づくりに関わる人々は、日々どのような仕事をしているのでしょうか?
「結・しぶや」の運営には、複数の組織から、それぞれに異なる役割を持った、個性的な人々が関わっています。【結の人】では、渋谷の地域をつむぐ人々をリレーインタビューで紹介します。

【結の人】その⑤は、北部地域担当の福地 里奈(ふくち りな)さんです。

――福地さんの、現在のお仕事を教えてください。

渋谷区社会福祉協議会の地域福祉課 地域総合相談支援係で「地域福祉コーディネーター」と「生活支援コーディネーター」を兼任しています。
担当地域は、北部地域で、地域の方からのご相談に対する個別支援や、地域支援に関わる活動として「シブヤロコミュ」の運営を行っています。

――「シブヤロコミュ」とはどういう取り組みですか?

「シブヤロコミュ」(シブヤ×ローカル×コミュニティ)は、令和4年度からはじまった取り組みです。
当初は、団体同士の顔の見えるつながりを作り、情報共有・情報交換、分野の垣根を越えたさまざまな課題や活動を知る交流会としていましたが、最近では、地域で活動するNPO団体等のみなさんと協働して、個別相談事例から見える制度の狭間の課題解決に向け、新たな地域の資源の創出を目指し、取り組んでいます。

――北部地域はどんなところですか?

本町1~6丁目、笹塚2・3丁目と、幡ヶ谷2・3丁目のエリアを北部と呼んでいます。水道道路が中心に走っていて、道路沿いには都営住宅も多く立ち並んでいます。
商店街が活発で、地域活動の核となっている方がいらっしゃったり、地域のイベントや地域活動も多かったり、地縁がしっかり続いている地域だなと感じています。一人暮らしの高齢者の方やひとり親家庭もあり、生活の難しさを感じている方々も地域のなかにはいらっしゃいます。

――地域の方々からの個別の相談は、どのような形で対応されているのでしょうか?

「福祉なんでも相談窓口」や地域包括支援センターなどを通じて、ご相談をいただくことがあります。ご本人からの直接のご相談だけでなく、その周囲の方からお声がけを頂くこともありますが、まずはつないでいただいて、ご本人とお会いして、お知り合いになるところからはじめます。電話やメールなど、お声がけの仕方はご負担にならないように工夫をしています。

――どのような支援をされているのでしょうか?

例えば、ご寄付で集めたフードパントリー、衣類パントリーから、ご相談を受けた方が必要とされるものをお渡しする取り組みを行っています。他にも、地域の中で、その方のつながりを増やしたり、具体的な手続きなどで必要があれば、窓口に同行したりすることもあります。心や体のつらさがある方は、保健師さんにおつなぎすることもあります。
お悩みのパターンというのはある程度ありますが、ご本人でできること、苦手なことなどがそれぞれありますので、お一人お一人によって対応は異なります。担当者複数名で話し合い、アイデアを出し合って検討したうえで、所管部署に持ちかけたり、他部署と連携したり、区の所管の保健師さんに助言を頂ながら動いたりすることもあります。

――ところで、福地さんはなぜこの仕事を?

実は学生時代は文学部の人文学科にいたのですが、就職活動の時に福祉の仕事に就きたいと思い、夜間の学校で社会福祉士の勉強をしました。
私は福島県の出身です。地縁があって、おせっかいな人が助けてくれたり、おすそ分けをしてくれたり、家に帰ると隣の家のおばちゃんが居間でお茶を飲んでいたり……。小さなころからそういったことが当たり前で、近所の人に自然と手を差し伸べてもらっていました。
煩わしいと感じる時もあって、関東に出てきたけれど、やっぱりそういう居場所があると安心する。福祉を学びたいなと思ったのがきっかけです。
夜間学校に通っている間、実習先として区内の社会福祉協議会に行き、その時に「私がやりたいことをできるのは社協だ」と気づき、今の渋谷区社会福祉協議会に入職しました。今7年目くらいになります。渋谷は都会ですが、実際に地域で仕事をしてみたら、意外に地縁が残っているところもある。担当の北部地域もそうです。

――福地さんにとってのやりがいは?

仕事をしていて、直接ありがとうと言ってもらえたり、要望も言ってもらえたり、直接声を聴けるのはやりがいです。いいマッチングが出来たり、困っている人に、地域資源やサービスをつなげられたり。個別支援では、ご自身で出来ることまでやりすぎないことも大切ですが、自立して進んで行く方々の姿を見ていると、自分も頑張らないと、とエネルギ―をもらえます。対話の場を設定することで前進することもあり、大切だなと感じています。シブヤロコミュも、お互いのことを知るきっかけの場づくりができればいいなと思っています。

――「結・しぶや」ではどんなことに期待しますか?

結は、居心地がいい場所です。ふらっと来て、楽しそうにお話しをして帰られる方を見ていると、団体のみなさんにとっても居心地がいいのかなと感じます。登録する団体が増えて、たまたま来た人と出会ったり、集ったり、気軽にできる場になるといいなと。
取りこぼしていた想いや、「やりたい」の気持ちを形にするために、結で積極的に情報共有して、コミュニティマネージャーと地域福祉コーディネーターとで、一緒に拾って、地域活動を応援していきたいと思っています。


聞き手:コミュニティマネージャー(認定NPO法人サービスグラント)柴岡