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社長の苦悩を隣で見て。

フリーランス人事になってから、ありがたいことに社長と直接お仕事をさせていただける機会が増えました。
会社員時代は、社長同席の会議に出たり社長と飲みに行ったりすることはあれど、社長と同じ目線で議論する機会はなかったので、フリーランスになってからの経験はかなり私を成長させてくれました。


会社員時代の私は社長との距離が遠かったから深く理解できていなかった

会社員時代の私は、お上(経営者)が決めたことにたいして、どう動いていくかを考える(手段を考える)仕事をしていました。そのため、経営者が何を考えて決定したのか、どういう情報を持っていたのか、何を感じていたのかを十分に理解することはなかったです。
人事は、社員が「上は何を考えているのか分からん」ということを、上の代弁者となって風土作りをしていくことが仕事だと思っていますが、そんな私も会社の方針は理解していても社長個人についての理解は浅かったと思います。社長も一社員、ペーペーの私に対して何もかもを話すということはしなかったと思うので、理解するのは難しかったと思いますけどね。

「当事者意識を持とう」というフレーズは数年前に流行っていたと思います。自分でそう思うのはいいのですが、押し付けるのは違うかなと私は考えています。経営者レベルの当事者意識を持つことはかなり難しいですが、求めている経営者は多かったようにも思います。

ありがたいことに会社の数字を社員に公開してくれる会社に勤めていたことがあったのですが、私は数字に弱く、何となくは分かるけどそれを自分事に落とし込むところまではできませんでした。黒字であっても赤字であっても、自分のやるべきことは変わらなかったからです。

独立したことで社長の見える景色を少し体感できた

自分の価値観の転換期は、フリーランスになり、規模の小さい(10人未満)の会社にも人事として入ることとなったときです。
販管費のインパクト、人件費のインパクトが強い中で、社長自らが営業をして仕事を取ってきて、何とか売上を上げようとしているところを間近で見ることができました。見ているだけでは業務委託として入っている意味がないので、私ができることは何でもやりました。

当たり前の話ですが、社員の給料を上げるためには利益を上げなければいけません。しかも上げた給料で継続するなら上がった売上も継続していないといけないです。社員を雇うということは、安定して売上を上げないといけないのです。それがどれほど難しいのか、自分で仕事を探すようになってから身に染みて分かるようになりました。
フリーランスの私は、自分が必要な分だけ自分が実行する仕事を探せばいいので、稼ぐだけならぶっちゃけ本業の人事の仕事でなくてもいいのです。が、社員を抱える社長はそうもいきません。

お金を払って仕事を代行してもらうので、頼んだ仕事はしっかりやってもらいたいし、仕事がないときは別の仕事を何でもやってもらいたいし、それが嫌なら契約終わりたい。必要な時だけ頼みたい…それなら社員じゃなくて業務委託がいいか。という思考になるのも分からなくもないと思いました。

会社員時代に私が右から左に流していた事業計画書は、社長にとっては”おこずかい帳”だったのです。貯金を増やしたいなら、お金を使っているところに対してシビアになるのは当たり前です。

社長は人間だった。ちゃんと感情がある

さらに当たり前の話ですが、社長は人間でした。得意なことがあれば苦手なこともあります(私の偏見ですが事務がとてつもなく苦手な社長が多い印象)。凄い人そうに見せていても、失敗したら凹むし、社員がトラブったら悩むし、社員に自己主張ばっかりされたら怒ります。そんな姿を見せられるは信頼できる人の前だけだからしんどいと思います。私はできるだけ寄り添いたいと思っていますが、外部の人間だという線引きはあります。

インタビューをした社長でこの孤独を打破している人は、うまく社員に自分を出せている人でした。

(↑インタビュー記事はこちら)

社長とランチ会とか、社長と飲み会とか、社員と距離を縮めるためにやっていた施策ですが、たまに話すだけでは深い経営の話まではできないと感じています(距離を縮めること自体は大事だと思います)。
社長の方から「しんどいから助けて!」と言える関係値が築けるといいなと思います。

あらためて私は何をすべきか

当たり前の話をつらつらと書いていて恥ずかしいですが、会社員のままだったらこの視点を持つことができず、経営者に寄り添おうなんて心から思えなかったかもしれないです。

自分の会社を選んでくれた社員、そして自分も、WinWinで楽しく稼ぎたいと考えていても、うまくできないことの方が多い社長。そんな社長に寄り添うことで、気持ちの負荷を少しでも軽くして、納得ができる判断ができるように壁打ちし、組織内への伝達は私が担うことをすれば、楽しく働ける人が増えると考えています。

苦悩が多い社長のために、引き続きプロとしてインプットを励みたいと思いました。

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