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令和になっても“女の子らしく”がおそってきた

「もっと女の子らしくしないと」

なぜか少しどや感を出しながら、私より1つ歳上の男性はこんな言葉を言った。
とある打ち合わせで仕事やお金の話をしていたときだった。
「前職はもう、本当めちゃくちゃ忙しくって。忙しいときは終電ギリギリまで仕事したり、休日出勤も多かったので、収入の大部分は残業代です(笑)」
深く考えずにべらべらと喋ったせいで、そんなことをいわれるなんて。


一瞬、言葉の意味が理解できなくて、フリーズした。
オンナノコラシク? あ、女の子らしく、か

ちょっと待て。なんでそんなこと言われなきゃならんのだ。
その一言に、私は確かに怒ったし、悲しくもなった。

「…………………………。」

なにも言い返すことなんてできなかった。
へらっと口角を上げて「あーそうですねぇ。女の子らしく、ですねぇ」と同意してしまった。
なんて言い返せばよかったんだろう。
コピーライターをしているのに、言葉で仕事をしているのに、なにも出てこなかった。


平成が終わり、令和になった。新しい時代が始まった。
“男だから”とか“女だから”という思考はもう無くなりかけているもんだと思ってた。
かれこれ28年、女性として生きてる。
「お行儀よくしなさい」と言われたけど「女の子らしくしなさい」って言われたことはたぶん、ない。
実はあるのかもしれないけどきっと小学生とか、そんな頃の話だと思う。
だから28歳になって、そんなことを言われるなんて思ってなかった。
というか、そんなことを口にする人がいるなんて思ってもなかった。


あの一言のせいでどっと疲れた帰り道、“なんて言い返せばよかったんだろう”とぐるぐる考えてみる。
“あー…、こう言えばよかったんだ”をどんどん積み上げていく。
どんどん悔しくなって、悲しくて虚しい気持ちで体がどんより重くなる。

「私、ちゃんと女の子なのになぁ」

私は、女性として生まれてきてよかったと思ってるし、私なりに“女性”を楽しんで生きている。
メイク、ヘアアレンジ、ファッション、ネイル、アクセサリー。
好きなもので着飾って、気分を盛り上げて、日々を生きている。
あの日のコーディネートは、たしかアイボリーのパーカーと深緑のロングスカートにNIKEの白いスニーカー、淡いピンクのアイシャドウにコーラル色のリップ、とややカジュアルだけど、女の子要素もばっちり含まれていた。そんな見た目の私に、なぜその男は「女の子らしく」と言ったんだろうと、はたと気づく。
そして、思い出す。
そういえば「前職は夜遅くまで仕事してました。いつも仕事に追われてました」に対しての返しがこれだった。
彼からすると、仕事が忙しい女性は“女の子らしくない”らしい。

私が勤めていたのは、広告業界で、先輩たちは“男だから、女だから”とか、あまり関係なく働いていた。大変だったけど、それぞれやりがいを見つけて働いていた。
そんな環境にいながら、自分なりに“女性“を楽しんでいる私にとっては、痛くて、悔しすぎる一言だった。
「仕事をするのに、“女の子らしく”も“男の子らしく”もないだろ。初めて言われたわ、そんなこと。あー、もう悔しいなぁ……」とぶつぶつ、ぶつぶつと吐き出す。

この言葉と言い返せなかった悔しさのせいで、私はずっともやもやしている。
この感情は直接本人に言ってやらないと。
それでもって「僕は言っちゃいけないことを言ってしまったんだ」とバツの悪そうな顔を見ないと。それくらいしないとすっきりしない気がする。
自分が言ってしまった、言葉の重さを思い知れ。

そんな気持ちは強い。
強いんだけど、どう動けはいいのかわからない自分がいる。
あのとき、あの一言で私は怒ったこと。もう令和なんだから“女の子らしく(男の子らしく)”とか、ばかみたいなこと言ってんじゃないよ、ってことをわかってもらえるんだろう。
その上手なやり方がわからない(もし、なにか妙案を思いついた方がいれば教えてください…。)

もうこんな言葉で傷つく人を増やしたくない。
張本人が、このnoteを読む可能性なんてほぼ0に近いけど、もし届いてたら気づいてほしい。
そしてもう2度と、口にしないでほしい。

今回はそんな想いで書きました。

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