見出し画像

美容師さんの魔法

私を世界一かわいくしてくれる、魔法の手をもった美容師さん。
彼は髪だけではなく、私の気持ちにまで魔法をかけてくれる。

その人は、いつも流行りの髪型、カラーを教えてくれて、切る前に「今日もかわいくしちゃいます!」と自信たっぷりに、楽しそうに言ってくれるので、私は仕上がりを想像してわくわくする。
大学生から26歳になった今もずっと、そのわくわくは消えない。
就職して大阪に出たけど髪を切ってもらいたいのは、あの美容師さんなので地元(滋賀)までいつも帰っている。

そろそろ切りたいなって思ったときはもちろん、「ここぞ」というときにも魔法をかけてもらっている。
本当はアレもコレも…といっぱいエピソードがあるけれど、今回はとっておきの1つを。

▽▽
それは就活に向けた黒染めとカット。
当時、肩にかかるくらいの長さだった私は、みんなと同じように髪を真っ黒に染めて、前髪をびしっ、後ろをきゅっとまとめるのがどうしてもイヤだった。美容師さんにも、「もう、真っ黒のリクルートスーツ着て、真っ黒の髪で。見た目がほとんどみんなと一緒って、埋もれていく感じが怖くてイヤなんですよ……」と愚痴をこぼしていた。
そんな私を見た美容師さんは
「じゃあ切っちゃおう。髪も黒くなるし、短いほうが見た目も軽くなるよ」と言ってくれた。

「あ、切っちゃえばいいのか」と就活への不安でガチガチな心がほぐれていく。
とはいえ、黒髪×ボブは初挑戦な私。
「大丈夫なのはわかってるけど、ほんとにほんとに大丈夫?」って気持ちもほんの少しだけあった。あったけど、美容師さんのいつもの自信たっぷりの笑顔に魅せられ、切ってもらう。

サクッサクッ……
小気味よく髪が落ちていく。
世間話や就活の相談をしながら、短くなっていく髪を眺める。
髪と一緒に不安だった気持ちも、少しずつ落ちていく気がした。

「おつかれさまでした」と合わせ鏡で後ろ姿を見せてくれた。
「わ、短い!でも、首のラインすっきりしていい!」
カット前の言葉のとおり、軽くなった自分の髪を眺めたり、触ったりする。「こんな風にもなれるんだ、私。これなら就活がんばれるんじゃない?」と、今までと違う髪、自分にときめいたのを今でも覚えている。

周りからしたその他大勢と変わらない、「黒髪ボブの就活生」だったと思う。
けれど、私は髪を切ってもらって自信がついた。
怖かった就活に少し前向きになる魔法を美容師さんは私にかけてくれた。

しかも、「髪短いの、似合ってるやん」と好きな人にも気づいてもらえるおまけつきで。

▽▽▽
「#美しい髪」のコンテストがなかったら、改めてこんなことを書くことはなかったなと思う。
初めて髪を切ってもらった大学3年生から遡って、いろいろ思い出したり、考えたり……。書いてる時間がとても気持ちよかったし「いつもありがとうございます。これからも可愛くしてください!」って言いたい衝動が出た。
せっかくなので、今度髪を切ってもらうついでにこのnoteを読んでもらおうかな。改まってなのでちょっと恥ずかしいけど。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?