電験との戦いを終えて


電験との戦歴

電験とはそこそこの付き合いになった。初めて受けたのは学部4年のときで、その時は三種の法規をろくに解けずに惨敗した。その後何度か挑戦して最終的な戦績は次の通り。
◯2018年
三種受験:法規不合格
◯2019年
三種(法規のみ)受験:不合格
◯2020年
三種(全科目・セルフ受け直し)受験:合格
◯2021年
二種受験:一次二次合格
◯2022年
一種受験:法規不合格
◯2023年
一種受験(法規のみ):一次二次合格

6年目にしてようやく終わったという気もするし、研究や仕事でろくに対策できなかった割にはあっさり終わったという気もする。
法規以外は全勝、二次も全勝しつつも法規の打率が.500と絶望的な数字となっているため3年も無駄にしてしまった。おまけに2019年は直前に2週間怪我のため入院して勉強時間はいくらでもあったのに。
今後は電験(資格でなく試験そのもの)とは縁を切ることになるため、備忘録を兼ねて3種から1種まで思い出をメモしておく。


三種の思い出

2018年

初受験の年、参考書自体は「ゼロからはじめる電験三種」というのをB3の時に思い立って購入していたが手を付けていなかった。研究室の元同期や学科の後輩と一緒に受けようということになり、それを引っ張り出して勉強を始めた。

はじめてのテキスト

「法規は完全に初見」ということもあり、そこを重点的に対策しなければと思ったもののあまりに分量が多いこと、電力が意外に知らない知識があったことで手間取り完全に準備不足のまま受験。3科目は全部9割取れたのに法規は30点くらいという体たらくだった。(なお、この年の法規は完全に難化し、合格点が51点台だった)

2019年

膝の手術が8月にあり、そのため試験直前に十分な勉強時間が確保できると思っていたものの国際学会の査読対応と電気学会の発表準備で完全に時間を取られ、善戦したものの撃沈。せっかく買った法規専用のテキストでも不足だった。(なお、この年の法規はさらに難化し合格点が49点)

毎年出てるこれを買った

ちなみにこの年の法規の1問目がこれだが、えらい正答率が悪かったらしい。それはそう。

2020年

満を持した3年目、今年落とすと全部復活してしまう・・・
と思ったが何故か他の科目も受けてやろうという気になり全科目受験を敢行。3科目はいつも通り余裕を持って得点し、法規は前年までのリバウンドかやたら簡単になっていたためあっさりと合格。
ここ3年の法規があまりに気まぐれすぎて付け焼き刃の受験生はとても悲しい思いをしたことだろう。逆であれば1回で受かっていたとは思う。

三種は5択のみで済むのであまり難しくない。法規の範囲が広いからちゃんと全部カバーしていないと半分くらいよく知らない題材が登場するため、知っている題材を確実に拾うことがポイントだった。


二種の思い出

2021年

この年は気合を入れて勉強をした。色々事情があり、春先に1ヶ月ほどじっくり勉強をしたが、この時は半分法規、残りを二次対策に割いて対策をした。
一次試験は多肢選択式だが、明らかに選択肢になりうるのが2つか3つしかない問題ばかりであり5択と比べるとむしろ簡単になるため、法規以外の対策は不要と判断した。

これ1冊で1種までも十分戦える良書

ギリギリのところで一次試験を突破すると、流れで二次試験。ところが直前対策をする余裕がなく、一週間だけ振り返りをして突入することに。春先にじっくり対策した内容を思い出すことだけに注力した。テキストは「計算の攻略」を使ったが、これは論説はテーマのブレが大きいため計算問題をメインで選ぶためだ。論説は知らないテーマがいくらでも出てくるので、分かる問題に出くわすことを祈りつつ計算問題を確実に拾うのがコツ。

非常に歯ごたえのあるテキスト

あとこの年のパワエレはシンプルな単相インバータという見た瞬間に全てを理解できる回路が題材だったので5分で片付けて、残りの時間でじっくり他の問題を選べたのが大きかった。(誘導機を選んだが半分以上は取れたと思われる)


一種の思い出

2022年

初めての一種は正直どんな対策をしたらいいか分からなかった。
しかし、結局は法規対策になるだろうと思っており、なんとか対策になるテキストを探していたところ「電気の真髄」様のまとめ記事を発見し、これを軸に対策をしていった。
序盤3科目はなんなくこなし、法規も当落線上をふらふらしながら解き進めて行ったのだが、B問題の2問目にまさかの架空線が現れ終戦(一種で今さら問われると思っていなかったので完全に盲点だった)
結局あと1問分足らずに不合格となった。おまけに二次試験の問題を見たら解けそうな感じだったのがとても悔しい。

2023年

前年の悔しさをばねに・・・できれば良かったのだが忙しさにかまけて全く対策できていなかった。受験会場に向かう道中、前泊のホテルなどでなんとか詰め込みと振り返りをし、当日も法規までの時間全てを活用した。
幸いなことにB問題の2問目が秒殺レベルだった上、他にも拾える問題が多かったためなんとか合格。

分かりやすい問題が出て本当に助かった

二次対策をしたかったのだが、合格後から当日までが一番仕事の忙しい時期と重なってしまったため合間でチラチラテキストを読んだり、対象座標法の計算を確認したりと二種同様に計算問題中心の対策をした。
テキストは「電験王」様の過去問解説とオーム社の二次対策テキストを活用した。
どちらも十分に活用しきったわけではないが、適切な難易度の問題を解いては解説を確認する行為をしやすく良かった。特に、水力が出る年だったので水車関係の計算問題を重点的に対策できた。

一種にしては珍しく最近(2021年)出たテキスト

ところが
トチ狂った電気技術者試験センターはあろうことか2年連続で火力を出題してきたのである!

朝イチでこれを見た時は流石に絶望した

結局、2問目のガス絶縁変圧器は完全に知らない機器だったので選べず、4・5問目も全部選びにくかったので1・3・6を選択肢無理やり解答。
4・5に関しては時間を使いながら両方解いたもののどちらも手応えなしのため諦めて5を選んだ。(と思う。もしかしたら4だったかもしれない)

これは落ちたと思いやる気が抜けたため、昼休みは競馬をして過ごすなど冒涜的な態度で過ごし、帰るわけにもいかないため一応機械制御の問題を開いてこれまたショックを受けた。
二次は必ずパワエレを選ぶので、当然3問目から開いたのだがこれまた簡単過ぎる典型問題だった。

見たら分かる問題

手を止める間もなく解ききると、流れで制御の問題を開く。

また簡単だ・・・

丁寧に確認しながら計算をすればこれもつっかえる事なく解ききれる。
一応1・2問目も見たがそれほど難しそうな印象はなかったので、機械制御は全体的に簡単な年だったと思われる。(対策はしていないので完答出来ないとは思うが)
これだけ簡単であれば午前中の点数がもう少しあれば受かったなあ、と思いながら失意の帰路についた。(二種を受けていた友達と飲みに行ってから

これで結果的に受かっているのだから世の中わからない。間違いなく言えるのは、機械制御で点を稼いでいなければとても受からなかったことだ。
一方、この解答で合格をくれる試験は本当に大丈夫なのかと思った。


総括

最終的には一種を取れたのだから、終わりよければ全て良しという気持ち。
もっとも、一種を受けている間はかなり投げやりな気持ちだったし、正直「一種なんて取れなくても仕事に影響しないしな」という思いもあった。
とはいえ、もはや自分の中で電験一種は博士号と同様に足の裏の米粒となっていたのも事実であり、受かってスッキリ出来たのは本当に嬉しい。
無くてもいいが、取っておけば憂いの無くなる資格であると思う。

難易度に関して語ると炎上しかねないため触れないが、その分野で最上位の資格であることは間違いないため取る事は有意義ではないだろうか。

今後も何らかの資格は取ると思う。さしあたり技術士の一次はさっさと取っておきたいが、それ以外にも分野外で興味がある資格もあるのでのんびり取り組むつもりだ。

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