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場所と人と距離

2022年2月8日。ランニングイベント申し込みプラットフォームであるRUNNETから、三浦国際マラソン中止の案内メールが届いた。申し込んだのは11月。ハーフマラソンにエントリーしていた。2年前も同様に申し込んでおり、そのリベンジという目的もあった。申し込んだ時点では、3月にはコロナウイルスの影響もなくなっているのではないか?なくならずとも影響は小さくなっているのではないか?そんな期待があった。その期待は見事に裏切られた。申し込みと合わせて、前日宿泊してから大会に臨むため、宿の予約も入れていた。中止の連絡を受け取っても宿をキャンセルすることはしなかった。テレビが新規感染者数で人々を煽る一方で、ピークとなり下げに転じる傾向は見えていたからだ。その土地で落とす予定だったお金は落としに行こう。そう考えていた。

一方、このコロナ禍に入ってから関わることができていなかったオンラインサロンPLANETS CLUBでも、現地でイベント開催することを知った。こう書くと、関わることができなかったのはコロナのせいだ、という口ぶりだ。確かにこのコロナ禍で、住む土地を横浜から名古屋に変え、距離的にも東京から離れたことが要因としてはある。もう一つ、クラブが力を入れていた「書く」という行為ができなかったことも距離を離してしまった要因と感じる。書くどころか「読む」行為すらまともにできなくなっていた。本を手にしても、途中で頭に入ってこなくなり読むことをやめてしまう。それは、仕事での教育(e-learning)でも当てはまった。教材の内容が全く入ってこないのだ。文字を読んではいるものの、その内容が身につかない。走ることも同じ状況だった。外出自粛が広く叫ばれ、仕事も完全にテレワークへと移行した中、外へ体を持っていくことがでかなかった。これではまずいと思い2020年末にポケモンGOを始めたことをきっかけに、外へ出ることは可能となった。ただし、ポケモンGOのコンセプト通り「歩く」行為だけである。「走る」行為に至らない。そんな状態だったが、目標を立てた以上、体を作らなければ達成できない。大会エントリーから間が空いてしまったが、2022年1月末から週末に走るようになった。徐々に距離を伸ばしていき、無理はしない。久しぶりにランニング等のアクティビティを記録・共有できるアプリStravaを使った。2月には、近くの公園で開かれるハーフマラソンも申し込み走った。

今できる準備はした。そして当日を迎えた。三浦海岸駅前に集合。そこには、かつて会った懐かしい顔ぶれがいた。リモートでのテキストコミュニケーションばかりとなってしまったが、確かにその人達はこの同じ場所にいる(当たり前)。そんなメンバーと海沿いや、大根・キャベツ畑が広がる景色を駆け抜けた。大根が干してあった場所、海を挟んだ向かいに見える土地は房総半島であること、木々にいたリスの存在、きっと一人でこの土地を訪れていたら気づけなかっただろう。そして、直接会話をするという当たり前の行為ができなかっただろう。同じ仕事の人間とですらしなくなった直接の会話。直接会うことで得られる情報量の多さ。直前にイベント参加申し込みの期限を教えてくれたメンバーには感謝だ。今回参加していなければ、そのまま一人で現地をぶらついていた可能性が高い。実は2年前、同じように大会が中止になった中、この土地を一人訪れていた。その時は未知のウイルスであり、人に感染することへの影響がどの程度か見えない状況だった。走るはずだったコースを体験しておこうと現地に一人で行っていた。歩いている最中、町の防災無線が翌週からの休校を告げていたのを今でも覚えている。

書けないと言葉にした上で書いたこれまでの文章を振り返る。自分の行動理由は自発的なものではない。誰かの影響下で動くことができる。書けない、走れない、をできるに変えるためには、人の助けを借りることも必要なのだろう。

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