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子どもたちへの過剰な「期待」の弊害

僕たちの陸上スクールでは子どもたちに言ってはいけない言葉が存在します。

言ってはいけないのは

「自己ベストを出しなさい」
「真面目に練習をやりなさい」
「〇〇に勝ちなさい」

この3つです。

その言葉の裏には言うことを聞けば素晴らしい未来が待っていて

言うことを聞かなければ、逆の未来が待ってるぞ。

と言ったところでしょうか。

もしかすると、言ってしまっていた保護者様もいらっしゃるのではないでしょうか?

でも、言わないと子どもの成長に繋がらないじゃないか。

と言われる方もいるかもしれません。

ただ、なんと言われようとこの3つのような言葉は成長に繋がりません。

その理由を説明しますね。

“理由は他人のエネルギーで動いていること。”


私の近くには陸上競技で高い成績を残して、若くして引退した選手が何人かいます。

引退した選手が口を揃えていうのは「普通の人になりたい」と言うことです。

途中までは心から楽しくて夢中になっていたけど、全国大会などで結果が出れば出るほど、コーチや周囲の人から

「次はこの大会で優勝しろよ」

「将来はオリンピックだね」

だんだん、自分が楽しくてやっていたことが他人の期待を応えることにすり替わってしまったのです。

そうなると、楽しくなくなってしまいます。

「楽しくなくなる」というのは人間の脳の構造上、成果が出せなくなっている状態です。

詳しくは今後、発信しますが、論理的に正しいことでも楽しくないと継続ができないのが人間の脳の特性なのです。

自分の心がやりたくないことをやらざるを得ない状態で過ごしていると心が壊れます。

私自身もそうでしたが、心が壊れてしまった選手を何人もみています。

誰かに勝つことがダメだとか
言うことを聞くことがダメだとか
自己ベストを出すことがダメだとか

そういうことを言いたいのではありません。

その人の「心」の内側からそう思っているか。

ここが1番大事なのです。

短期的に結果を出そうとすれば徹底的に弾圧すればいいです。

ただ、押し込めたものは必ず反発してきます。

子どもたちの「心」の内側を大事にするには、子どもを子ども扱いしないことが大事です。

根本的な「自己ベスト出しなさい」などの言葉の裏には

「この子は私の言うことを聞かないと自己ベストを達成できないよね」

という大人側のスタンスが存在します。

このスタンスを僕たちは「自己ベストはこの子が走ることが楽しいと思った先に勝手に更新したいと思うだろう」

というスタンスでいるようにしています。

スクールの練習は実際、楽しいを大前提において、足が速くなるために必要な運動を実施しています。

先述したように楽しいことで、かつ論理的に正しいことは脳の構造上、驚くほど継続ができます。

スクール生には目標を作ろうとはひとことも言っていませんがほとんどの生徒が

「自己ベスト更新したい」

という目標を持っています。

私からすれば作戦大成功です。笑

子どもを子ども扱いせず、大人は環境をつくって、その子がどう思っているか
対話していく。
辛抱して待つ。
怖いけど信頼してあげる。

「愛」ということですね。

言うほうが楽です。

でも、今成果を出すこと、言うことに聞かせることにフォーカスを向けられて育った子ども。

心の底からわくわくすることを知っている子ども。

どちらの子どもたちのほうが才能を開花させられるでしょうか?

もちろん、生活の中でいうことを聞かせることもすごく大事ですし、それを否定するつもりはありません。

ただ、子どもたちは大人になるということにフォーカスが向いているかは立ち止まって考えてあげてください。

私も文章を書きながら「できてないな」と思う部分はあります。

完璧になる必要はありません。

人間ですからね。

7割でいきましょう。

親、指導者、子、コーチ、みんなで成長するのです。


長い文章になりましたが、お子様をお持ちの親御様、子どもに関わる指導者様に少しでも参考になりましたら幸いです。

小川裕平。


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