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2020年新型コロナに関する備忘録 2

オリンピック延期決定は3月24日に、ある意味唐突に決定した。
3月4日のIOCIOC理事会でも延期も中止もないとされていたにもかかわらず急転直下の印象があったがそれだけ、日本国内のみならず世界での新型コロナ感染症の拡大がすさまじかったということだろう。

少し、時間をさかのぼる。
1月28日に新型コロナ感染症が指定感染症となった。
指定感染症とされたため、無症状の感染者であっても隔離入院を要することとなったことが、その後の検査体制に大きな影響を与えてしまったことが批判の対象になっている。

前段階として国内初の感染が1月16日に発見され、感染研 が直ちに疫学的調査の方針を示し、従来既定のやり方通り感染者と濃厚接触者に検査を限定することとなっている状況で、指定感染症=陽性即入院隔離となった。この対応は、法律に定めがあることのようで、役所としては当然の手順であったとはいえる。
ただし、すでに1月24日には中国での感染状況についての報告がなされており、無症状感染者が存在し、かつそこからの感染も発生しているという「事実」があったにもかかわらず、発症者とその接触者に限定して検査・措置を行ったのは厚労省怠慢だった、というものだ。

時間とともに解明が進んだ5月現在の知見で見れば、無症状の感染者が存在し、かつ感染力を持っている、さらに発症して重症化が進むと一気に致死率が高い新たな感染症であることが明確になってきていることが、私のような全く知識のない人間でもわかる程度に情報がある。
国家予算を使い専門の期間である感染研が当時の情報で予見し、機動的な判断をできなかったというのは大いに批判されてしかるべきだろう。

1月30日に対策本部が設置されたが、2020年新型コロナに関する備忘録1 に書いたように、当初の課題は厚労省の認識に基づき、感染者と濃厚接触者そして、2月3日に横浜に戻ったクルーズ船プリンセスダイヤモンドでの集団感染問題への対応であった。

厚労省も座視していたわけではない、クラスター対策班が設置され、既定の法律の範囲で追跡し感染拡大を防止することを行い始めた。
内閣の対策本部傘下ではなく、厚労省に置かれたことは役所としてやるべきことはやっているある意味アリバイ作りということなのかもしれない。
4月になってからクラスター班の報告がなされている映像をみると、現場で与えられたミッションと専門家としての知見からの限界の自覚がつらい。

この報告で2月25日時点の状況把握として
・無症状感染者が存在し、感染力を持っている
ことは完全に自覚されており、最も適切な対応は全数検査であったことを認めているよう思う。その状況で法律と与えられた戦力で可能なことは何かという選択をされたのだろう。

クラスター対策班が活動を進める中、国内ではまず北海道で感染が拡大し、北海道知事が法律に基づかない非常事態宣言を発し、市民生活にける行動の自粛を呼びかける状況となり、また世界的にもイタリアで感染爆発が始まって中国・アジアの問題ではなくパンデミックが意識される事態となった。

2月末ごろの状況認識としては、専門家はおそらく全数検査が本来必要であって、無症状感染者の増大にどのように対処すべきかはある程度分かっていたのではなかろうか・・・武漢で実例がある・・・都市封鎖しかないということが。

安倍総理が学校の一斉休業を要請したのはたまたまこの時期だったが、果たして専門家が抱いていたと推察される危機感からなのかはわからない。どちらかというと、若い知事に対する人気と、対外的にオリンピックを意識した「やってる感」演出だった気もする。
若年層は感染率も低いし重篤化もないことを考えれば学校だけを閉鎖したところでどうにかなるものではなかったろう。

3月13日新型インフルエンザ等感染症対策特別措置法が改正成立し、対策の主役が厚労省から内閣に移った。だが、本来ならばこの動き重要なはずの菅官房長官の存在感は感じられなかった。
3月23日に内閣官房に対策推進室が設置され厚労省・加藤大臣の出番が減少し3月6日に特命任命されて西村経済再生大臣が前面に出るようになった。
国内の公表される感染数が飛躍的に増加しだすのはまさにこのころからだ。

オリンピックの延期が決まった3月24日ごろと、妙に一致するので何とも言いえないが、主役が変って隠す必要がなくなり、また同時に国賓の来日も亡くなりイベントも延期決定でそろそろ本当のところを出してもいいんじゃないの?的な話なのではなかろうか邪推する。

繰り返しになるけれど、この時点で日本で感染爆発しなかったのは、何かしらの僥倖であって、努力されたクラスター班の先生方には申し訳ないが彼らの力でもなく、また今もなお苦労されている現場の医療関係者の方々の、苦渋の判断が結果として良い方向に作用しただけだと思う。
検査を徹底的に「しなかった」ために、最も感染の確率の高い院内感染がある程度抑制されたこと、疑念を抱いた市民が自制的行動をとったことなどは抑止力として作用しただろう。

主役と舞台が変ったところで、感染者数は急拡大し始めてしまった。
それまで沈黙といういうか全く存在感のなかった小池東京都知事の露出が急速に高まったり、吉村大阪知事が吠え始めて第2幕が始まったのでありました。
時系列的にはその1と同じところまで再度たどった感じ。

つづく)

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