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多危多難は人生の華

私の人生における、1番の挫折は大学1年生の時でした。私は、3歳の頃から柔道を始め、柔道が大好きで大学でも柔道を現役で続けています。柔道が嫌いな時期もあった自分が大学でも柔道をすると決めた時は、自分でも想像していなかったことだったので、それを聞いた親の驚きと喜びが混ざったあの反応を今でも覚えています。

しかし、大学に入ってからは怪我に苦しみ、2年近く競技ができませんでした。物心がついた頃から柔道が生活の一部であった私にとって、こんなにも長い期間競技から離れることがなかったので、柔道も大学も辞めて親元へ帰ろうかなと考えた時期がありました。

そんなときに出会った言葉が「多危多難は人生の華」という言葉でした。この言葉は大学の3つ上の先輩の言葉です。その先輩も私と同じ怪我を経験し、2度の手術を乗り越え、現在も現役で競技をしています。さらにその先輩は私と同じ怪我に加えて、違う怪我による手術が重なり、約3年もの間競技から離れていました。

その先輩は、挫折して諦めそうになっていた私に寄り添ってくれました。リハビリについてだったり、再発の予防であったり、気をつけるべき点であったりと、たくさんのことを教えてくれました。そして、それは私にとって暗くて先の見えない未来を照らしてくれる光のような存在でした。そんな先輩の存在があったからこそ、私は今でも大学を辞めずに、柔道を辞めずに、こうして生活ができていると思います。そして、その先輩が来年度から海外へと羽ばたいていきます。

先輩は、怪我をして競技から離れていた期間で英語を習得しました。初めは中学生の英語もわからないようなレベルだったと言っていましたが、今ではその面影もないほど流暢に英語を話します。そして私はそんな先輩に影響を受けて英語の勉強を始めました。英語を勉強すればするほど、先輩が独学で今のレベルの英語力を身につけることがどれだけ凄いことなのか、身に染みて実感しています。

今でも忘れられないのは、世界チャンピオンになった外国人柔道選手が私の大学に練習に来た際、その選手の技の講習がありました。先輩はその選手の通訳として講習を手伝っていたのですが、私たちとその選手だけでは通じ合えないのにも関わらず、先輩という存在があることでお互いに理解し合える。そんな状況にすごく感動したのと同時に、先輩のように人と人を繋げられる存在になりたいと強く思いました。

先輩から受けた影響はたくさんあります。底なしに明るくて優しい人柄を初め、英語や趣味のスケボー、髪型など色々なことを真似させて頂きました。私にとって先輩は、人生をどん底から這い上がらせてくれた存在であり、これからもずっと憧れの存在です。しかし、私は自分の気持ちを相手に伝えるのが上手ではなく、先輩に対してきちんとお礼を言えた記憶がありません。先輩からすると、誰かの人生を大きく変えたなんて自覚はないと思いますが、少なくとも先輩のおかげで私の人生は大きく好転したと確信しています。

海外に羽ばたいていく先輩に向けて私ができることはあまりないのかもしれないけど、先輩から受けた愛情を忘れずにこれからの人生を精一杯生きていくことが、先輩に対するせめてもの恩返しになればいいなと思います。そして、今度は先輩の生き方を真似する私の姿を見て、誰かの人生に影響を与えられるような存在になりたいと思います。

またいつか先輩に会えた時は成長した姿を見せられるように頑張ります。私が今より成長している頃には、先輩はもっと遠くて大きな人になっているのかもしれません。でもその度に私の目標が更新されて、さらに人として成長できると感じています。これまでの危機や困難も、これからの危機や困難も、多ければ多いだけ人生の華になると信じて突き進みます。

人生を変えてくれてありがとうございました。
そしていつかこの思いが届きますように。


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