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外国人としての僕

今回はGoal agencyの記事から書かせていただきます。僕が、プロサッカー選手として初めてプレーしたカンボジアンタイガー(現在はアンコールタイガー)でのチームメイトだったマサさんが語る、海外で成功する為の心構え。

*執筆はアンコールタイガーのGMの篠田さん

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当時を振り返ると僕は大卒1年目、マサさんは40歳でした。そんな大先輩と1年プレーできたことは本当に良かった。正直、真面目な話はそんなにしたことは無いが、それでも多く学ぶことがあった。

学ぶことは多かったが、マサさんの行動や言動、表情や雰囲気といった言語化が難しい部分などの「意図」を聞いたことはあまりない。今回の記事で初めて理解できた部分もあった。

記事では3つの重要な要素があると話していて、1つずつ当時を振りかえりながら考えていく

■ 国を跨いだ違いがある前提を理解する

国を跨げば文化や考え方がまるで違う。これを受け入れる必要があるし、海外サッカー選手でも出来ていない選手がいるのを僕も見てきた。

僕自身、その国の人や文化をリスペクトしているし、何より過酷な状況やびっくりするような環境や文化、思考の違いにも楽しもうとすることが多い。それが自然と受け入れることに繋がっているかもしれない。

僕のプレースタイル的に「周りに合わせてプレー」する傾向がある。それは自分に絶対的な個が無いから、チームプレーでいかに自分が楽にプレーしやすい環境を作れるかが重要。もっというと「周りを利用するプレー」

それをするには「なんでこんなこともできないんだよ」と高い要求するより、仲間の出来るレベルに合わせてプレーを選択する方が良い結果が出ると理解できている。

また、僕は「チームにとっての自分」を常に意識してしまう癖がある。僕が監督に求められていること、ポジションや仲間との相性、その日のチームの雰囲気、自分のコンディション、表情、感覚、色んな要素を感じとり、「ベストなプレー、立ち振る舞い」を考える。その中には「国を跨いだ違い」も意識している

僕を含め、多くの選手がまだまだ心の奥では理解が出来ていても「受け入れる」ことが出来なかったりする。それはプライドやエゴといった事から。記事を読んで再度「国を跨いでプレーしている」ことを理解、受け入れ、感謝したい

■矢印を自分に向ける

ここでは「遅刻」を題材に話していて、注意することでチームの意識改革に繋がる反面、自分がしなければならない優先順位を見失うことがあると話している。

僕の考えから言うと「海外でプレーすることにおいて遅刻してくる選手はどうでもいい」です。

1.国を跨いだ違いがある前提を理解するでも話したように、「文化や考え方が日本と違う」のである。正直、東南アジアの選手やアフリカンの選手も平気で遅刻や練習を休む選手がいる。(タイガーの選手に関してはほぼそのような選手はいなかったが)

僕は当時プロ1年目の若い選手。何よりも「結果」に飢えていたし、何かしらで周りとの違いを見せるべきだと感じていた。「他人の遅刻」など僕が「結果」を出すことにあまり関係ないからだ。

遅刻した選手がいた場合、むしろ「大丈夫だ」「安心しろ」「誰も怒ってないよ」と声をかけるかもしれない。なぜなら、その声掛けで「信頼」を得てパスが多く回ってくる可能性があるから。

怒った場合、その選手の遅刻は減るかもしれないし、チーム全体の意識改革に繋がることもある。日本では当たり前の行動かもしれない。だがここでの前提の「自分の優先順位を見失う可能性がある」

外人は「結果」を求められる

外国人選手として自分が常に目指さなければいけないのは、第一優先順位である結果です。意識が外に向けられて散漫することで、第一優先順位である結果から気がそれる。関心の輪(他への関心)が広がって、影響の輪(自分への影響)が縮む悪循環がおこる。人間にはキャパシティがあるので関心の輪が膨らむと影響の輪が小さくなって、結果から気がそれていく。と思うんですよね。 上記リンクより引用文

■責任の範囲を意識する

ここでは「監督に矢印が向く選手」の話をしている。

2017シーズンのタイガーは、カンボジア人監督。その後日本人監督、スペイン人監督。1シーズンで何度も監督変更があり、文化、考え方、戦術、求めるものなどすべてが異なる。

マサさんもボランチからセンターバックに。僕に関しては、キーパー以外すべてのポジションでプレーしました。マサさん自身も難しいと言いながら、楽しんでいました。

僕は試合に出ることがまず大事だと感じていたし、昔からポジションに対してのこだわりはあまりないタイプ。むしろ、ポジションで文句を言う選手は成長がない選手だと思う。どのポジションでも監督が求めるものをピッチで表現しつつ、自分がプレーしやすい環境を自ら作ることが「プロフェッショナル」だと。

去年のシーズンはカンボジアの強豪ナガワールドでプレーしたが、外人に求めることは「結果」「個でどれだけ打開出来るか」

僕は正直「個で打開」するプレーは苦手だが、積極的にトライしつつも、監督に文句を言われない程度に自分がプレーしやすい環境を自ら作っていた。勿論、監督が求めるプレーをすることは大切。だが、2.矢印を自分に向けるでも話したように「結果」を出すことが最優先。

監督が求めることをずっとしていて「結果」が出ない。それなら「上手くやってるふりをして、結果が最も出やすいプレーを選択する」ことが必要。監督を「結果」を出せばあまり文句は言わないはず。

サッカーの目的や、助っ人外国人としてどうあるべきかを理解してプレーすべきだと思う。

色んな監督がいるし、全てが違う。自分の当たり前と、監督、チームが求めることのギャップを理解して、プレーするべき。そしてお互いのwin winを見つけ、バランスをとることも大切だと思う。

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あのシーズンを振り返り、僕とマサさんの関係は若い大卒選手と大ベテランと両極端でそこが上手くバランスをとれていたと思われるかもしれない。勿論そのような要素もあるが、感覚や考え方、目線や表情、チームとしての自分の意識、色んな要素が似ていたと勝手に感じている。

マサさんに「いい選手だね」と言われたことがあるが、おそらくプレーだけではなく「考え方」の部分が強かったと思う

マサさんには多くを学び、尊敬する選手です。この記事を見て刺激を貰い、意識的に取り組んでいきたい。

川畑悠吾
1994年生まれ(25歳)/東京都出身/海外プロサッカー選手/メンタルアドバイザー資格保持/全米ヨガアライアンス(RYT200)保持/サッカーをメンタルやヨガ哲学から考える『哲学とサッカー』無料マガジン公開中

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