軍隊の兵科(海軍編)
皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回も軍事学の話として、海軍の兵科のお話をします。
前回と同じ配信のアーカイブ内で、海軍の話は26:30~44:00ぐらいまでとなっています。
海軍は陸軍と大きく違い、陸軍なら歩兵なら歩兵、砲兵なら砲兵で兵科ごとにまとまって行動するのですが、海軍は一つの船に様々な役割を持った沢山の兵士が乗り込みます。
船が沈めば兵科も役割も関係なく全員が海の藻屑です。
ですので、海軍の兵科は同じ船に乗るメンバーの役割分担と言う面が大きくなります。
今回は各部門の責任者を例に、それぞれの職務を説明して行きましょう。
■艦長
文字通り艦の全権を預かる一番偉い人です。
一番小さな駆逐艦の艦長でも、少佐ぐらい偉くないといけません。
戦艦や空母のような大型艦の艦長ともなれば、大佐となります。
■副艦長
大型艦ですと専任の副艦長がいますが、駆逐艦や軽巡洋艦程度だと、以下に説明する各長が兼任する場合が多いようです。
■航海長
航海は船の進路の決定と操縦を担当します。
また双眼鏡で周囲の警戒をしてるのも航海の担当の兵士です。
小さな艦で専門の兵が居ない場合は、通信も担当します。
■砲術長
軍艦の主砲の運用を担当します。
敵味方ともに動いている海の上で主砲を当てるのは至難の技であり、そう言う計算をするのも彼らの仕事です。
その他に、あの重い主砲の弾を人力で運んでいるのも彼らです。
■水雷長
水雷と言うと分かりにくいかもしれませんが、魚雷と水面に浮いている機雷を水雷と言います。
これらの兵器の運用を担当します。
■機関長
船のエンジンを始め、様々な機関を整備・運用するのが仕事です。
艦の応急修理も彼らがメインになって頑張ります。
小さな艦では、航海長・砲雷長・水雷長・機関長の四人の中の最古参が副長も兼任する場合が多いです。
■飛行長
空母のように航空隊も乗り込む艦に居ます。
俗に言う飛行隊の隊長です。
■整備長
機関長と似ていますが、こちらは飛行長と同じく空母に乗り込んでおり、航空隊が使う飛行機の整備をする人達です。
■軍医
病気や怪我の治療もさることながら、艦の衛生環境の維持も担当します。
小さな駆逐艦でも一人は必ず乗り込んでいたようです。
■主計長
食事の用意と補給、兵士達の給料計算を担当します。
海の上だと簡単に補給は受けられませんので、補給と言うよりは積み込んだ物資をしっかり管理することが大事でした。
ここまでが主に軍艦に乗り込む兵科です。
大型艦だと士気高揚のための軍楽隊も乗り込みますが、今回は駆逐艦から戦艦までのいずれにも乗り込む兵科のみを紹介しました。
しかし海軍だからと言って常に海の上にいるわけは無く、港を始め陸上で勤務する兵士達も居ます。
次は彼らについて解説して行きます。
■鎮守府司令長官
艦隊これくしょんと言うゲームで一躍有名になった「鎮守府」と言う言葉ですが、他国で言うところの軍港のことです。
この軍港を管理する司令官が鎮守府司令です。
中将を中心に将官が任命されます。
■造船
船の設計から始まって、建造や大規模修理を担当します。
■兵器
こちらは船に乗せる主砲や魚雷などの兵器の開発などを担当します。
■建築
鎮守府内の建物に関しても担当しますし、外地(占領地)での泊地の整備なども行います。
■主計
鎮守府に居る主計は、本格的な補給計画担当です。
■衛生
軍医を筆頭に看護師なども加わり、本格的な病院の運営も行います。
■法務
これは軍法会議の裁判官役や弁護を行う職務です。
旧日本軍の海軍は陸軍と違い、憲兵は存在していません。
よって、簡単に陸軍の憲兵が海軍の管轄には手を出せないものの、正式な手順を踏めば、陸軍の憲兵が海軍においても警察役を務めていました。
■参謀
数は少ないですが、海軍にも参謀が独立している例がありました。
補足ですが、鎮守府は日本近海の警備・防衛も担当していましたので、鎮守府に所属する艦艇に通常の哨戒任務などを命ずることは出来ましたが、皆さまがよく耳にする「真珠湾攻撃」「ミッドウェー海戦」「レイテ沖海戦」など国外に進出する作戦は、海軍軍令部が命令を出していました。
決して各鎮守府の司令が、進出のための作戦を命じていたわけではありません。
以上が海軍の兵科の解説となります。
次回は空軍と、その他の最近設立された軍の解説となります。
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