弓削彼方

軍学の専門家である軍師の弓削彼方です。後世に兵法・軍事の知識を広めるに、古い兵法書の翻…

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軍学の専門家である軍師の弓削彼方です。後世に兵法・軍事の知識を広めるに、古い兵法書の翻訳をしています。

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  • 軍師の話

    私自身の紹介や、兵法講座・軍事学に属さない関連の小話などの記事をまとめています。

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    兵法書「三略」の解説記事をまとめたマガジンです。

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    動画投稿と連動している、兵法講座の解説記事となります。

最近の記事

X(旧Twitter)の運用と今後について

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回はお知らせがありますので、記事を作成しました。 皆様ご承知の通り、X(旧Twitter)の規約が変更され、今後投稿した画像等々が勝手に使われたりAIの学習素材にされることになりました。 実際にそこまで傍若無人な振る舞いがなされることはないと思いますが、そのような可能性がある以上、気軽に利用し続けることはできません。 これが自分で描いたイラストだけであれば我慢もできますが、ゆづきお母上に仕立てて頂いた衣装を始め、他の方々にもお手伝い

    • 三略講釈のまとめ

      皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回は三略講釈のまとめとなります。 最初に横道に逸れてしまいますが、私が兵法書を翻訳する時は三種類の翻訳を作っています。 一つ目は原文をそのまま直訳したもの。 二つ目は専門用語を極力減らし、初心者用に分かりやすく訳したしたもの。 三つ目は専門用語を使いながら、読み返す時に理解しやすい文章に整えた自分用です。 このように三種類用意したものの中から、今回は初めて三略を学ぶ方にも分かりやすいように、現代文に一番近い訳し方をした初心者用をベー

      • 三略講釈【下略-11】

        皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回が最後の講釈になります。 本文現代語訳 「賢明な臣下が政治の中枢に居れば、腹黒い臣下は外に追い出される。腹黒い臣下が政治の中枢に居れば、賢明な臣下は打ち倒されてしまう。賢明な臣下と腹黒い臣下の立場が入れ替わってしまうと、混乱は国中に伝わってしまう。さらに大臣が君主を疑うようになれば、腹黒い臣下が徒党と組むようになる。臣下が君主の権限を侵すようになれば、上下の秩序が曖昧になる。君主が臣下に権限を貸し与えれば、上下の秩序が失われてし

        • 三略講釈【下略-10】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回もしっかり学んでいきましょう。 本文現代語訳 「人と道の関係は、魚と水の関係に似ている。魚は水があれば生き、水が無ければ死んでしまう。だから君主は常に慎んで、敢えて道を失うようなことはしないのである。【これは魚が水を失うのを恐れるのと同じである。】  力だけの者が要職に就けば、その国の権威は弱まる。力だけの者が生殺与奪の権力を握れば、その国の勢いは尽きてしまう。反対に、力だけの者を押さえていれば、その国は長く存続する。生殺与奪の

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          三略講釈【下略-9】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回は非常に理解しやすい内容となっています。 本文現代語訳 「聖王が戦争を起こすのは、決して争いを楽しむためではない。暴君と呼ばれるような者に天誅を与え、世を乱す臣下を討伐するためである。  正義によって不義を討つのは、大河を決壊させて松明に水を注いで火を消したり、深い谷を覗き込んで落ちそうな者の背中を押すようなものである。つまり必ず勝つと言う結果が見えているのと同じである。それでもゆっくりと兵を進めるのは、敵にも味方にも損害を出す

          三略講釈【下略-9】

          三略講釈【下略-8】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 文章量が多いですが、落ち着いて読めばすぐに理解できる内容です。 本文現代語訳 「君主の命令に背く者を尊重し、貪欲な者が裕福であれば、その君主が聖王と呼ばれるほど優れた人物でも、その国を治めることはできない。君主の命令に背く者が罰せられ、貪欲な者が捕えられれば、それで教化は行き渡って悪人は一掃される。  清廉潔白な者を、爵位や俸禄で得ようとしてはならない。忠節で信義のある者を、権威や刑罰で脅して得ようとしてはならない。そこで明君が賢人

          三略講釈【下略-8】

          三略講釈【下略-7】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 三略の講釈を進めていきましょう。 本文現代語訳 「民衆が君主を疑うようになれば国内は不安定となり、民衆がその政治に戸惑うようになれば国内が混乱する。疑いが晴れて戸惑いが無くなれば、国内はまた安泰となる。  もし一つでも誤った命令を出せば、すぐに百の命令が実行されなくなる。一つの悪事でも見逃せば、すぐに百の悪事が生まれる。そこで善良な民衆には恩賞を与えて、悪事を働く民衆には罰を与えれば、命令は実行されるようになり、君主を怨む者も居なく

          三略講釈【下略-7】

          三略講釈【下略-6】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 そろそろ三略講釈の終わりが見えてきました。 もう一踏ん張りですので、頑張って先に進みましょう。 本文現代語訳 「千里の遠くまで探してやっと賢人と呼べる人物が見つかるので、賢人を登用するのは難しい。凡人はどこにでもいるので、登用するのは容易い。だから名君と呼ばれる者は、近くの凡人を捨てて遠くの賢人を迎えるのである。だからこそ、偉大な功績を上げることができるのである。  このように賢人を尊重すれば、自然と下の者も力を尽くすようになる。一

          三略講釈【下略-6】

          三略講釈【下略-5】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 講釈を進めていきましょう。 本文現代語訳 「君主が臣下に出す指示の事を、命と呼ぶ。それを文章にしたものを、令と呼ぶ。それを実際の行動に移すことを、政と呼ぶ。  命が正しくなければ、令として文書にされない。令として文書に残されなければ、令に基づく政は行われない。政が行わなければ、道理が通らなくなる。道理が通らないようになれば、邪な考えを持つ姦臣がのさばるようになる。姦臣がのさばるようになれば、君主の威厳は傷付けられてしまうのである」

          三略講釈【下略-5】

          三略講釈【下略-4】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回は少し理解しにくい部分になります。 本文現代語訳 「道、徳、仁、義、礼の五つは、元々は一体のものである。  道とは、人が自然に行うものである。徳とは、人が自然に得られるものである。仁とは、人が自然と親しむことである。義とは、人が自然と目指すことである。礼とは、自然と心がけることである。これらは一つも欠けてはいけないものである。  例えば、朝に起きて夜に寝るのは、礼の働きである。賊を討伐し暴虐な者をこらしめるのは、義の働きである。

          三略講釈【下略-4】

          三略講釈【下略-3】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回の節は学びの多い内容になっていますので、じっくり読んで頂ければと思います。 本文現代語訳 「身近な問題よりも遠い未来のことを考えている者は、苦労するだけで得られるものは少ない。遠い未来のことよりも身近な問題に取り組む者は、余裕を持って目的を達成することができる。余裕をもって政治を行えば忠実な臣下が多くなり、苦労ばかりの政治を行えば民衆の恨みを買う。  そこで、領地を広げようとする君主は国を荒廃させ、徳を広めようとする君主は国を強

          三略講釈【下略-3】

          三略講釈【下略-2】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 下略の講釈を続けていきます。 また長めの文章ですが、しっかりと読み解いていきましょう。 本文現代語訳 「賢人が政治を行う際には、体を使って働いて民衆に奉仕する。聖人が政治を行う際には、智恵を使って働いて民衆に奉仕する。体を使って奉仕すれば物事は順調に始められ、智恵を使って奉仕すれば最後まで成果を出すことが出来る。  体で奉仕する場合には礼に則って行い、むやみに体を酷使すれば良いわけではない。智恵で奉仕する場合は楽に則って行い、むやみ

          三略講釈【下略-2】

          三略講釈【下略-1】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 ここからは下略編の講釈となります。 三略講釈も残りわずかですが、最後までお付き合いください。 本文現代語訳 「天下の危機を救うことが出来る者が、天下を治める資格を持つ。同じように、天下の不安を取り除くことが出来る者が、天下の楽しみを享受する資格を持つ。天下の災いを退けることが出来る者が、天下の幸福を受け取れるのである。  そこで、君主の恩恵が民衆に行き渡れば、賢人が馳せ参じて来る。君主の恩恵が虫にまで行き渡れば、聖人が馳せ参じて来る

          三略講釈【下略-1】

          軍隊編制の参考書紹介

          皆さまこんばんは、弓削彼方です。 今回は軍隊の「編制」についてのお話です。 とは言うものの、今回はこの記事で詳しい解説をするのではなく、非常に参考になる本があったので、そのご紹介となります。 ご紹介するのはこちらの本です。 用兵思想入門(編制編)と言う本です。 前にこれと同じ用兵思想入門シリーズの「近世・近代編」と「現代編」についてお話をしました。 こちらは主に戦略・戦術についての解説本でしたが、今回のはその前提となる部隊編制についての内容となっています。 この本では主に

          軍隊編制の参考書紹介

          三略講釈【中略-8】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 この節も長めの内容になりますが、しっかり学んでいきましょう。 本文現代語訳 「空高く飛ぶ鳥を撃ち落とすほどの良い弓でも、役目を終えれば蔵に仕舞われてしまう。それと同じく、敵国が滅びてしまえば、謀りごとの得意な者でも亡き者にされる。  亡き者にされると言っても、殺されてしまうわけではない。その者の権力を押さえ、与えた軍権を取り上げると言う意味である。その為には、朝廷に迎えて高い位を与え、その功績を称えなければならない。そして豊かな土地

          三略講釈【中略-8】

          三略講釈【中略-7】

          皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。 今回の内容は少し長めですが、中略で一番重要なことが書かれている部分ですのでしっかり学びましょう。 本文現代語訳 「聖人は天の法則を体現して物事を進め、賢人は大地の法則を基にし、智恵のある者は歴史を手本とした。そこでこの三略が、世の中が衰えた今の時代を救うために、書き記されたのである。  上略には礼節の大切さと、腹黒い者達を遠ざけて成敗することの必要性が述べられている。中略ではそれぞれの時代の徳について解説し、臨機応変な対応について述

          三略講釈【中略-7】