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軍隊の部隊規模

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は軍事学の話で、軍隊の様々な「部隊規模」について解説します。
途中寄り道の話もありますが、動画で解説を聞きたい方はこちらのアーカイブをどうぞ。

軍隊の部隊の規模は国によって違い、また同じ国でも時代によって変わっていることが多々あります。
今回は、皆さまが歴史で一番よく学ぶであろう第二次世界大戦前後の陸軍を基準にして解説していきます。

■分隊
人数は10名程度の、軍隊では一番小さな規模の部隊です。
隊長は軍曹の階級にある者が務めることが多く、独自の判断で行動することは滅多にありません。
上の部隊からの命令で偵察をしたり、敵を見張る観測地点の確保などを行います。

■小隊
人数は30~40名程度です。
目安として指揮官が直接率いる本部(副官・護衛・通信兵など)と、手足なって行動する3つの分隊を集めて、1つの小隊を編成します。
指揮官は少尉で、こちらも上の部隊の命令で攻撃や防御を行います。
部下の兵士全員の顔を覚えているのは、大体この辺りまでです。

※豆知識
ここから当面は、同じ部隊が3つ集まると1つ上の規模の部隊に昇格します。
「3個分隊+本部で1個=小隊」「3個小隊+本部=中隊」と言う感じです。

■中隊
人数は150名程度に増え、3個小隊+本部となります。
指揮官は大尉の場合が多く、上位の指揮官の命令に基づいて自分で考えて行動する場合もあります。(委託命令:詳細はこちら

■大隊
人数は500名ほどで、3個中隊+本部となります。
指揮官は少佐で、一般に大隊が独立して行動できる最小単位と言われています。
軍隊で言う独立行動とは、数日にわたって上位の部隊から離れて行動すると言う意味になります。
上位の部隊から離れて行動することもあるので、これ以降の部隊は独自に補給隊を持っています。
また大隊は、上位部隊(師団・連隊)からの命令を下位部隊(中隊・小隊)に届ける中継点として重要な立ち位置にいます。

■連隊
人数は1500~2000人ほどになり、3個大隊と連隊本部が基幹(主力)となります。
指揮官は大佐です。
一般に同一兵科(歩兵なら歩兵だけ、戦車なら戦車だけ)で編制される最大規模の部隊と言われています。

■旅団
人数は2000~4000人程度で、指揮官は准将又は少将です。
旅団には2つのパターンがあります。
1つは師団内の編成である場合、もう1つは独立している場合です。
師団内の編成である場合は2個連隊を基幹にし、さらに支援の為の砲兵中隊や戦車中隊が配属される混成部隊になる場合が殆どです。
独立旅団の場合は3~7大隊を基幹とし、砲兵部隊・戦車部隊なども一緒に配属される混成部隊になります。
また師団内旅団と違い、他の兵科も単なる支援では無く、一体となって戦闘出来るように配属されます。
なお、この旅団が無い国もありますが、皆さまの国の自衛隊は独立旅団がある方ですね。

■師団
人数は1万人を超えて1万5千ぐらいまで膨れ上がります。
司令官は中将か少将です。
師団内に旅団がある場合は2個旅団、旅団が無い場合は3個連隊を基幹とし、砲兵部隊・戦車部隊・工兵部隊なども配属されます。
戦場では一正面を担当する戦略部隊です。
師団からは食料・弾薬など集めて、継続的に下位部隊に補給し続けるための策源地を持つようになります。

■軍団
2個師団以上が集まると数万人規模の軍団となります。
これより上の規模はある国とない国、又は戦争の時だけ編制される国などがあります。
指揮官は大将か中将の場合が殆どです。

■軍
2個軍団以上が集まると十万人規模の軍になります。
指揮官は大将、もしその階級がある国だと上級大将や元帥です。
俗に言う方面軍と呼ばれるのは、この軍規模の部隊です。

■軍集団
2個軍以上が集まると軍集団になります。
第二次世界大戦時にドイツ軍やアメリカ軍で存在していました。
指揮官は大将以上です。


これで一通りの説明が終わりました。
〇〇小隊とか××中隊みたいなのは、戦争映画でもよく聞く規模の部隊ですが、師団より上は滅多に聞く事がないので馴染みがないと思います。
師団より上はよほどの大国が持つか、普通の国なら戦時に編成される臨時の部隊規模と思って差し支えません。

最後におまけとして一覧表を載せておきます。
画像の左側は、今まで説明してきた部隊の規模とその並び順です。
右側は、軍隊が作戦地図などに味方の配置を書き込む時の記号です。
四角の上についているIやⅩの数で部隊の規模が示されています。
なお、下の四角の空白内には色々な記号が書き加えられて、歩兵や戦車などの兵科が分かるようになっています。
これについては別の機会に説明致しましょう。

それではまた、次回お会い致しましょう。

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