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虚と実

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は「虚と実」と言うお話です。
先にお話した「正と奇」に似ていますが、全くの別物ですので、混同して覚えないようにしてください。

中級編の話はしっかり理解するためにも、動画も併せてご覧ください。


兵法で言う「虚」とは空虚から来ている言葉で、兵力が不足しているとか備えが不十分と言う意味です。
そして「実」とは充実から来ている言葉で、兵力が足りているとか装備が充実していると言う意味です。
また兵法独自の解釈で「虚」には隙があると言う意味があり、「実」には隙がないと言う意味があります。
普段使う言葉で「相手の虚を突く」と言う言葉がありますが、これはまさに隙と言う意味で使われている例です。

同じく兵法独自の解釈で、戦いの主導権をどちらが握っているかを表す場合にも、虚と実と言う言葉を使います。
戦いの主導権を握っている側を実と呼び、戦いの主導権を失っている側を虚と呼びます
この様に兵法では、同じ文字でも複数の意味で使うことが多々あるので、前後の文章をよく読み。今は何に関する話をしているかをよく考えなければ、正しく意味を理解することができません。

実戦では、味方の兵力を十分に揃え、油断して隙を見せるようなことはせず、戦いの主導権を握った「実」の状態に味方を置くようにします。
そして敵には兵力が足りず、警戒を怠って隙が生じ、戦いの主導権を握れない「虚」の状態になるように仕向けます。
そうやって「実」である味方が、「虚」である敵に苦労なく勝利できるようにするのが、兵法の「虚と実」を理解した将軍の仕事なのです。

この虚と実と言うものは、何度も兵法書を読んで理解を深め、戦場で実際にどのような状態が虚であり実であるかを学ばなければ、本当の意味で知ることはできません。
ですので、今回は虚と実の概要を理解して頂ければ十分だと思います。

今回の解説はここまでとなります。
ぜひ兵法書を繰り返し読んで、「虚」と「実」と言う二つの状態の意味を理解して頂きたいと思います。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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