テイクアウト弁当、暫定1位がひっくり返った

 きのう「焼とりの八兵衛」の鶏サラダちらし重を食べて、さすが「八兵衛」と感心した。弁当のインパクト、オリジナリティ、完成度も申し分なかったが、1000円のお弁当に、おしぼりだけでなく、この弁当は箸ではなくスープンとフォークの方が食べやすいだろうと、それらをつけたところもさすがだ。しかも持ち帰りの袋がポリではなく和菓子でも入れそうな厚手の紙の手提げ袋。弁当の質を上げるだけじゃなく、そういうお客さんの気持ちを考えているところも実に「八兵衛」らしいなと思った。

0511八兵衛

 そしてきょうは渡辺通にある炉端焼きの店「むさし坐」に行ってみた。ここは「八兵衛」出身の焼鳥店「六三四(むさし)」の系列だ。焼鳥も入っているそぼろ弁当にも惹かれたけど、きょうは大トロいわし明太弁当。事前にSNSで写真をみてたんだけど、正直、いわしはおいしそうだけど副菜がもう少しあるといいなと思い、どうかしたらその近くの「リバコマ」の方がいいかも、って思ったくらいだ(リバコマのはまだ食べてなくて、写真をみるととてもうまそう)。

むさし坐古

 店について店頭で注文。予約してないことを伝えると
「これから焼きますので10分くらいかかりますけど大丈夫ですか」
と聞かれたので問題ないことを伝える。スタッフが厨房にオーダーを通すと戻ってきた。
「きょうはお休みですか」
なにせこちらはデニムにTシャツだし、時間も12時よりだいぶ早いから無理もない。
「いや、仕事です」
「あ、そうなんですね。よかったらこれどうかなと思って」
と冷えたハイボールのミニ缶を渡された。
持って帰るかここで飲むか迷ったけど、冷え冷えだったのでその場でいただくことに。さすがにこの量なら大丈夫と思ったんだけど、あっという間に顔は真っ赤に。は、恥ずかしい。マスクで顔の下半分は隠れてるけど、きっと真っ赤になってるのはバレバレだろうな。あ〜、なんでこのくらいの量で真っ赤になるのだろう。ほとほと嫌になる。
「お待たせしました」
とお弁当を持ってきてくださり、中に貼り付けてある手書きの紙を指さして
「これ、次回店内で飲食するときに使える2000円オフのチケットです」と。
2000円〜〜! すごいね。ここはかなり人気店で、普段はクーポンを配るようなタイプの店ではないと思うんだけどな。今も昼から20時までは店内飲食もできるのだが、近々店を夜まで開けられるようになっても、すぐにお客さんが前のように戻ってくるわけではないとわかっていて、先々の不安からのチケットではないだろうか。

 事務所に持って帰って弁当をあけてみると、事前にSNSでみた写真よりかなり内容が充実している。あのSNS、いかんっちゃないと〜。損しとるよ。この写真をあげたら、もっともっと売れそう。副菜の充実度が全然違う。それとも、ぼくが最新の写真を探せなかっただけ?

0512むさし坐

 脂ののった焼きたての大トロいわしに、ごはんの上はのり、明太、パプリカ。さらに唐揚げが2つ。しかもつくねの串焼きまで付いてる。そのほか山芋鉄板、玉子焼き、ポテサラ、漬け物。これで850円(ハイボールミニ缶+2000円割引券付き)? うそやろ? 先日食べた「みかん」のさば藁焼き弁当(1200円)がぼくのなかのコスパ大賞に君臨してたけど、これはそれを越えたな〜。そして、割引チケットもだけど、箸だけじゃなくスプーンをつけるところとか、待ってる間にキンキンに冷えたハイボールをくださるところとか、さらにチケットの裏には手書きで「本日はありがとうございました」の文字。「八兵衛」ゆずりのホスピタリティ精神を感じたなぁ。「八兵衛」の八島社長は常々「八兵衛」で会得するのは焼鳥の技術だけじゃないという話をするけど、まさにこういうところもその一つだ。だからこそ、「八兵衛」OBの店は軒並み繁盛店になっているのだ。これは「八兵衛」だけじゃない。名店で修行するということは、料理だけではなく、お客さんや生産者への向き合い方、飲食業の考え方などをきちんと学べるのが大きい。だから修業先というのはほんとに大事だ。おいしい店ならいい修行ができるというわけではない。飲食人として成長させてくれる店主がいる店こそが、いい修業先なのだ。

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