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紫色…ピンク系ではなくて ブルー系の

私たち3人は、公園をぐるっと囲む様につくられた歩道橋の上を歩いていた。見ると電線を猫が歩いていた。そしてその電線はどこにもつながっていない。
「猫って電線の上を歩くの?」
と、背の高いふわふわの黒髪の彼女が言った。
「私も不思議だな〜と思って見てたの。」
その猫は紫色のロングコートの毛だった。
猫というより毛玉みたい。
私たちは、歩道橋を降りて緑の芝生の公園を歩き出した。
視界の上の方で何かが動いた。
さっきの猫が落ちたのだ。
私は「死んじゃう!」と思って、右手を思いっきり伸ばした。私の右手の位置と猫の落下する先は上手く重なりそうだ。だから、私は猫の衝撃を出来るだけ柔らかくする様に手に集中し、衝撃も覚悟した。
私の右手は猫を受け止める。
猫の爪が刺さることや、骨がぶつかる感じを想像していたけど、そうじゃなかった。それはフワッと、舞い降りた感じだ。しかもフワフワだ。
両手で猫を支えると、猫は背骨から右半分は紫のロングコートなのに、左半分は黒いサイボーグみたいだ。
そんな猫をまじまじと見る。
ふと顔を上げると、どこかのエレベーターホールにいる。さっき歩いていた緑の芝生の公園と、それを囲む歩道橋を歩く人々を見下ろしている。
猫を見ると、人間の赤ちゃんになっている。
妹(妹と私は思っているけれど知らない人だ)が、
「かわいいね〜。」
と言う。黒髪の女性が、
「女の子よね?」
と言うと妹が、
「さっきは女の子かと思ったけど、男の子みたいじゃない?」
と言う。
私の手の中の赤ちゃんのおくるみの前を二人がは抱くと、なんと臍クリップが現れた。私は産まれたばかりの証拠の臍クリップを見て、私が臍の処理をしなくちゃいけないの?…と思い、臍の処置を思い浮かべた。すると赤ちゃんという生き物がリアルになって、モワッとしたグレーのモヤが心に広がる。
すると、産まれたばかりのはずの赤ちゃんが何かを察した様で
「連れてって。連れてって。」
と、口元だけCG加工されてるみたいに動かして私に言う。
「ちゃんと連れてくから大丈夫。」
と、私は赤ちゃんに行った。
もう、妹たち二人は、赤ちゃんの性別に興味なんかない様で、次の場所に行こうと人の列に並んでいた。二人が並んでいるのは四角い箱の前だ。私は光が各階を指す様に点滅するエレベーターと思われる扉の前に立っていた。
そんな私の前に、背の高い肉付きのいい男の人がやって来て、その赤ちゃんはなんとかさんの…と言って、奥のドアから出て来た赤ちゃんを抱えた家族を指差した。何さんと言っているのかが聞き取れない。指差す方を見ると、その家族は「しまった。」という様に顔を背け、その後はこちらを見ない様にして四角い箱の列に並んだ。その男の人は、その赤ちゃんはなんとかさんの…と繰り返す。少し頭が足りなそうな男の人をどうしたらいいのか分からない。この子を私が連れて行っていいものか?指差す家族がこの赤ちゃんと関係ありそうだけど、特に文句がないならいいのかも。
妹が、
「ほら、私の感は当たるんだから。」
と言って、四角い箱の扉が開くとそれがエレベーターだった。
四角い箱は、身長より低いのに、みんなかがまず乗り込んで行った。
私がエレベーターだと思っていた扉が開くと、次の部屋が現れ、また、エレベーターの扉だと思えるものがあるのだった。
私は、以前その景色を見た事がある。
地下に飛行場があるエレベーターだ。
私は地下の飛行場に何度も訪れているけれど、一度も、飛行機で飛び立ったことはないのだ。飛び立つことのない飛行場に、人々はどうしてやって来るのか、私は何故、地下の飛行場にいるのか、未だに分からない。



…と、そんな夢を見た。

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