これは 愛って言うかな?ー妄想バージョンー



「アンセさーん。もー大変なの。便が出ないからお腹が張って、体重が2kgも増えちゃった〜。やっぱり便が出ないとスッキリしない。苦しくて苦しくて大変なの。昨日は苦しくて一睡もしてないの。本当に大変よ。」
「便が出ないんですか〜?」
「そーなのよ。大変なの。」
「じゃあ、便が出る体操しますか〜。」
「イヤ!! 今日はいい!!」
「じゃあ、どうしましょう?」
「今日は、愛をちょうだい。」
「はっ…?」
「今日は愛をもらいに来たの。」
「ビタミンアイとかって、ありましたっけ?」
「そんなの、ないわよ〜。愛よ。愛。」
「愛って、アイラブユーの愛?」
「そう。もーそれしかないでしょ〜。」
「愛って、なんの?」
「なんのって…。」
「ここには動物とかいませんけど。」
「は?一体なんの話してるの?」
「動物で癒されるとか、そう言うのかな〜と、思って。」
「違うわよ。ここに来て、愛をちょうだいって言ってるんだから、アンセさんの愛に決まってるでしょ。動物の愛なんていらないわよ。私、動物なんてすきじゃないし。」
「え?私、愛なんてありませんよ。」
「愛くらいあるでしょ〜。」
「ないです〜。」
「愛がない人なんていないでしょ。」
「いや。いますよ。だって私、愛がどんなか、見たことも聞いたこともないですもん。知らないモノを持ってるはずないじゃないですか。」
「ちょっとくらい、持ってるでしょ。」
仕方ないから、ポケットの物を机に並べた。
蝉の抜け殻 キャラメルの包み ハンカチを忘れて汗を拭いたティッシュ。
「蝉の抜け殻、どうするの?」
「今年の夏の記念です。」
「キャラメルの包みどうするの?」
「これで連鶴、折るんです。このサイズなら、4羽いけますよ。」
「あ、そう。この汚いティシュは?」
「これ、さっき汗拭いたやつです。」
「捨てなさいよ…。」
「そ、そうですよね…。」
「こんなのしか持ってないわけ〜?」
「はぁ。私にとってはこんなのじゃないんですよ…。今年、どこにも行けず仕事場と家の往復で夏が終わっちゃうじゃないですか。蝉の抜け殻はハナミズキの下に落ちてた唯一の私の夏なんですよ〜。ほら、それにこんなに可愛い❤️」
「やめなさいよ。近づけないで。気持ち悪いだけだから。」
「そうですか〜。可愛いのにな…。」
「キャラメルのの包みは夏と関係ないでしょ?」
「はぁ。ないですね〜。これを折る時、4羽の鶴が飛び立つのを祈って折るんですよ〜。するとね、自分も何処か飛んで行けそうでワクワクするんですよ。しかも、ギネスに載るんじゃないかって小ささです。すごいでしょ?」
「ギネスに載る〜?世界には、もっと小さいの折ってる人、いるんじゃない?」
「ははは。確かに。世界ってすごい人いっぱいいなすからね。」
「でも、このサイズを4羽にするってすごいけど。」
「でしょ〜。」
そして、ちょっと考え込む。
「どうしたの?」
「ちょっと思ったんですけど、蝉の抜け殻も、キャラメルの包みも、私にとったらすごく愛しいんですよ。」
「そんなのが?…まぁ、いいわ。それで?」
「でね、私にとって、毎日元気でいて欲しいって思ってるニシさんも愛しいんです。それって、愛ですかね〜?」
「そうよ!…ほら、あったじゃない。」
「そしたら、私はニシさんに催促されなくても、毎日、愛を注いでるってことじゃないですか?」
「そうなっちゃうわね〜。」
「今日、改めて催促する意味ってあるんですかね〜?」
「確認よ。確認。アンセさん、ちょっと鈍いから。」
「はぁ。そうかもしれませんが〜。」
「私、忙しいからもう行くわね。明日もちゃんと愛をちょうだい。」
「ハイハイ。わかりました。」
そうして、ニシさんはニヤニヤ、ドアを閉めた。



「これは 愛って言うかな?」のコメントから浮かんだバージョンです。
三文芝居ぽい…ですね。
んー、でも、人生って三文芝居みたいな気もします。
なので良しと、取り敢えず自己完結しておきます。

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