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飢餓状態って…。一度、経験してみて。

コロナワクチンの副反応で、ノドと口の中と、舌が腫れて、1週間殆ど食事が摂れなかった。

と言うか、今も、殆ど摂れてないけれど。

ヨーグルトさえ、食べると苦くて、なかなかノドを通過しない。
それでも、何か食べないと体がもたないので、なんとか食べると、吐き気がすごい。2時間くらい寝ていないと、どうしたらいいのか分からないくらい我慢できなくなっる。

そんな感じの7日間。

とうとう、気力で踏ん張るのにも限界が来て、体が飢餓状態になったらしく、イライラが恐ろしい。

私って、こんなにイライラ出来るんだ!!…と、自分でも驚く。

飢餓状態って…。
人を変えますね。

本当に些細なことに殺気立ってしまう。
昼間、
「おじさんの事、大事にしてよ〜。」
と、いつもの如くちょっかいを出してきたオヤジがいて、普段は、さり気なくかわせるのだが、今日は、そのしつこさにイライラが止められず、
「ジジイなんか嫌いだもん!」
と、つい本音を言ってしまった。
周りにいた人たちが、まさに、まんまるの目でフリーズしていた。
「ヒドイ。ホントに傷ついた。」
と言われ、
「しょうがない。ホントだから。」
と、更に、傷に塩をすり込んでしまう。
周りの人たちは、お口あんぐりになっていた…。

紛争の原因は、貧困って言われるけど、とても分かる気がした。
だって、本当に気が立って、抑えられないもの。

今日のオヤジに対するイライラと、比較するなって、話しだろうが。

飢餓状態が日常茶飯事なら…。
しかも、国民の殆どが飢餓状態なら、一触即発で紛争が起こっても仕方ない。

外から見れば、些細な食べ物の争いかも知れないが、命に関わる問題だ。

飢餓状態って、もしかしたら死んでしまうって事だから、すでに命の危機。細胞が必死になって出すSOSだ。

落語家の立川談志さんが、落語の枕のところで、
「例えばさ、食べ物が余ったとして…。余ってんなら、ちょうだいよ。イヤ、余ったとしてって、話だから。イヤ、余ってんならちょうだいってことだよってな具合で、食べ物が余るなんてことは、考えも出来なかった。」
と、言っていた。

私は、食べ物がないなんて、経験したことがない。
日本国民の殆どがないだろう。

でも、談志さんの時代にはあったんだ。

今でも、老老介護のお年寄りや、虐待を受けている子供達や、現実的に飢餓状態になっている人達はいる。
ただ、自分の目に見えて来ていないだけ。

飢餓状態は、人を変える。
自分が穏やかでいるつもりでも、穏やかに過ごす事は出来ないだろう。
だって、栄養が足りなくて、死んでしまうかも知れないんだから。

飽食でも、穏やかに過ごせていない場合もあるけど、飢餓状態と比べたら、その比ではない…気がする。

…。
ふと、飽食状態で食欲を満たしても、穏やかには過ごせない。では、何を見足せば穏やかに過ごせるのか?…と、疑問が湧く。
次々に足りないものを満たしても、きっと人は満たされる事は無いのだと思う。

満たされない部分とは、一体何だろうか?

それは、各々の心に刺さったトゲと、河合隼雄さんは言っている。
ちょっと難しい話しだ。

満たされないものは、心に巣食っているモノであって、足りない何かではない。
だから、食料を補えばいい話しではないのだ。
自分で心の棘を抜いて、その傷口を塞がなければならない。
でも人は、足りない何かを満たして、刺さったトゲから目をそらす。
極端に言えば、何かで誤魔化してトゲを見ずに生きていると、
言えるかもしれない。
大体、自分のトゲを凝視出来るほど、人は強くないのかもしれない。


でも、今回は、物理的に、現実的に飢餓状態。
栄養が取れなければ危険な状態ギリギリのところ。

貧困とは、怖いものだと思った。

それを知らずに生きて来た私は、どう考えても幸せ者だ。

飢餓状態にならないと私は気付けない。
…でも、人間てそんなもんじゃない?
と、思う。
どっかで、気付けば良いんじゃないかと。

飢餓状態から抜け出すため、仕事時間が終わったらサッサと帰って、
飲む点滴!…甘酒を作った。
なんか、スゴイパワーで吸収されるのが分かる。
でも、気持ち悪いし、苦いのもイッショ。
それでも、細胞は満たされた気がする。
イライラも、落ち着いて来た。

落ち着いて来たら、昼間のオヤジに悪かったな…と、思い出した。
でも明日、あのオヤジは性懲りもなく、
「オジサンのこと大事にしてよ〜。」
と、やって来ると保証できる  (^_^)

昼間の会話の後、そのやり取りを見ていた80歳代のミサさんが、
「あの人は女性が好きなんだね。女性を構ってると幸せなんだ。」
と、話しかけて来た。いつも、シッカリしているのに、穏やかに話される。
「そうなんですね。女性を構ってるのが幸せなんだ?」
「そう。」
「ミサさんは、オヤツと鰻を食べてる時が幸せでしょ?」
「一番、幸せだね💖 今度、鰻食べに行こうね。」
「行きましょう♪ 」
「鰻は幸せだね。」
「幸せです。
女性を構って幸せって分からない。私は鰻を食べる時の方が幸せだな。」
「私も。オヤツと鰻の方が幸せね。」
と、二人で幸せを共有しあった。
ミサさんと私は、食べることの無い、二人の食べたい物を共有しあって、
いつも幸せな気分になる。
ミサさんは、かなり体が弱って来ていて、
コロナ禍でもあるので、外に食べに行く事は難しい。
それでも、行くことの無い、食べ物屋さんのご飯を共有して、
二人で笑い合うのだ。
本当に、二人で鰻を食べに行けたら、どんなに幸せか。

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