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夏休みの宿題

8月31日は、夏休み最後の日ですね。今年は変則的になっている学校が多いかもしれませんが、自分が学生の頃は、この日の夜を、「明日から学校だ」というワクワクと緊張が混じった気分で迎えていたことを思い出します。宿題は早めに終わらせる方だったと記憶しているのですが、それでも小学生の頃かな、自由研究の工作(?)が終わらなくて、最終日に泣きながら仕上げた記憶もあります(何を作っていたのかは全く覚えていません…)。
今ではとても絵が上手で(本当に上手です)、LINEスタンプを自作するほどなのですが(https://store.line.me/stickershop/product/16195136/)、当時は図画工作が大の苦手で、「なんでこんなことしなきゃいけないの!」と逆ギレしながら立ち向かっていました。

そんなことを思い出しながら、なんとなく、この夏の総括として何か提出してみたいなという気持ちになり、こちらを書いております。誰に出されたわけでもない宿題なのですが、この夏感じていたことを書き残しておきたいなと思いました。

この夏私は、6月末に3rdアルバム「サバイバル・レディ」のリリース、7月に生誕ワンマンライブと、制約はありながらも無事に大事なイベントを終え、8月は事前に決まっていた@JAM EXPO以外のイベント出演を抑えて、オンラインでのオフ会やトーク配信を行いました。トミヤマユキコ先生をお迎えしてのオンライントーク配信「プレミアムゆーふらいでー」のアーカイブは、9/26までお楽しみいただけます。

ただ、自分の現場はなくとも、今月は(実施されたものも中止されたものもありましたが)友達の大事なワンマンライブが続いていたので、それぞれがギリギリまで悩み決断して頑張っている姿を見ると、自分だけストップしたからそれでOKという話ではないぞとも思っていました。

8月、なかなかヲタクのみんなに会える機会を作れてないことに関して、自分の中で、「今はこれでいいのだ」という気持ちと、「とはいえ努力してライブをやってる子もいるのに私だけ止まってる?」、「ゆふぃすとに貢献できてないかも?」という気持ちでもやもやしていたので、オンラインオフ会の際、何人かの方に、「今月ゆっふぃーの現場がなくてむしろ安心したよ」と言ってもらった時、すごく救われました。でも8月の私の出演イベントが少なかったのは正直本当にたまたまで、先月、先々月のうちにリリースや生誕ワンマンを終えていた、単なる運の良さゆえという部分が大きいです。そして、現場が止まっていたということはもちろん、経済的損失や機会損失に直結することでもあって、手放しに喜べることでもありません。ということを考えると、まさにこの8月を見据えてリリースやワンマンライブを組んでいたアイドルにとっては、この状況は大損害だと思います。そして、同じような損失を、エンタメに限らずどの業界の方も少なからず被ってらっしゃいます。そんな中、夏フェスイベントへの厳しいご意見などもたくさん見て、感染拡大の状況を鑑みればその通りだと納得する部分もあれば、自分の視点から見ると少しズレを感じる部分もあり、また、今月も一観客として、出演者としてライブに行かせてもらった中で、演者側、スタッフさんのお気持ちやご事情、ご努力、お客さま側のお気持ちやイベントに協力してくださる姿勢、いろいろ目の当たりにしたがゆえに、割り切れない気持ちがありました。

以前の私だったら、このピンチを、「好きでやっている仕事だから、うまくいかない時があっても仕方ない」と思って思考停止していたと思います。「この時期にイベントをやろうとする方が無謀だったのかな」とか。

でも、たとえば社会全体の感染対策がもっとうまくいっていたら、この時期にイベントをすることはこんなに危機感を持つようなことじゃなかったかもしれない。会場を押さえた時点で、本番の日の感染状況は誰にもわかりません。感染症素人の希望的観測だったのかもしれないけど、私は去年の夏、「来年の夏はきっともっとみんなに会えるはず」と信じていました。それなのにこんな状況だということはとても悲しく、去年の春、何が何だかわからないながらに自粛していた時よりも、今月家にいた時間の方が絶望感が強かったです。(でも月末にスタッフさんや共演のアイドルさんと再会したら一気に元気になったので、1人で悶々と考えてたのがよくなかったということも大いにあったのだと思います。今この状況で、仕事とはいえ気の合う方にお会いできるチャンスがあったのは幸運でした。)

私には、来年2月26日に、浅草公会堂でライブの予定があります。会場を予約したのは、本番のちょうど1年前となる、今年の2月です。新年早々に緊急事態宣言が出て、お正月らしい楽しみも、仕事さえもストップしがちな中、「みんなこんなに気をつけてるんだから来年はきっと大丈夫だよ」と思って予約をしました。でも今、来年2月が本当に大丈夫か、自信がありません。

こうなる前にもっといい選択はできなかったのか、日々憤りを感じています。この憤りを、単に自分への反省や落胆だけで留めていてはいけないのだとも思います。だってこんなこと、自分だけでどうこうできる問題ではないからです。社会の問題であるからこそ、社会の一員である自分にもその皺寄せがきている。けれど社会の問題の一端はやはり、社会の一員である自分も担っているのだという、当たり前のことを今更実感しています。そんな中、この状況に直面したおかげで最近気がついたのは、「私だけのせいじゃないかも」と思うことは、決して悪いことばかりではなさそうだ、ということです。積極的に責任転嫁をしよう!という意味ではもちろんないです。

自分の悩みが自分だけのせいではないと気づくと、気持ちが軽くなるだけでなく、「他の人もまた『本人だけのせいではない』事情ゆえに問題を抱えているかもしれない」と思い至る想像力を持つことができます。

その反対に、自己責任論が過ぎると、自分の首を勝手にどんどん絞め、「私はこんなに頑張ってるのにあの人ときたら!」と、他者の権利への配慮を忘れてしまう。以前の私はむしろこちら側だったように思います。そして、今もこういう面がないわけではないから気をつけなくてはと思います。

「うまくいかないのは私がいたらなかったからだ」と自分を勝手に追い込みながら、同じ物差しで、「できないのは頑張りが足りないからだ」と勝手に判断し他者の葛藤に寄り添えなかったことが、本当に恥ずかしいことですが、しばしばありました。自分のそういう面には気づいていて、「自分は優しくなくて嫌だな」と思っていましたが、単に優しい優しくないの問題ではなかった。視野の狭さや知識や想像力のなさが大きく関係していたのだと今ならわかります。


今、自身の安全や生活が脅かされる日々が続き、気持ちがすり減っている人も増えていると思います。余裕がなくなればなくなるほど、「あの人は助けてもらってずるい」とか、「あの業界だけ補償されるなんてずるい」と思ってしまって、ますますギスギスした世の中になってしまうかもしれない。それはとても怖いことだと思います。先日動画配信者の発言が大きく問題になった、社会保障を否定するような考えも、同じ根っこを持っているように思います。

互いの足を引っ張りあっては、結局、みんなで不幸になってしまう。大事な人も知らない人も未来の自分も、もれなくきっとピンチになる。「情けは人の為ならず」って、道徳的な意味合いだけじゃなかったのかも、すごく理にかなった言葉だったんだなあと感心してしまいます。とにかく今、本当に大変だけどなんとか踏みとどまって、「みんなでより幸せになっていくべきだ」という姿勢を忘れてはいけないのだ、ここでバラバラになってはいけないのだと、すごく思います。(これは、お仕事も年齢もお住まいもバラバラの「アイドルヲタク」というコミュニティにお世話になっているからこそ思い至れたことかもしれません。)

大好きなサンリオさんが大切にされている、「みんななかよく」というメッセージを噛み締める日々です。また、尊敬するB'zのお二人が昨秋配信ライブで発表された新曲の歌詞には「人の幸せ喜べる人になりなさい」とありました。どちらも真理でしかない…やはり、推しは偉大です。


私は今はこうして言葉を尽くして、気づいたことや学んだことを現在進行形で共有することしかできないけど(そしてそれにすらいちいち躊躇ってしまうけれど)、それらを作品や活動内容に昇華して、受け取ってくれる方の視野を広げられるようなアイドルになっていきたいです。それがエンタメの真価なのかもと思っています。そんなエンタメを仕事とする人々の端っこにいるのだという自覚と誇りを持って、新学期もがんばります。新学期…?

皆様も引き続きお体にお気をつけて、良い秋をお迎えください。早く会えますように。

応援ありがとうございます(゚ω゚)更新頑張ります!