「シリーズB80億円調達で投資家から注目を浴びる、UTM事業とは?」
こんにちは。テラドローンで欧米のUTM事業を担当している植野です。
この度テラドローンでは、シリーズBラウンドで80億円の資金調達を実施しました。
UTM事業は、テラドローンがエアモビリティ領域において世界No.1を目指すうえで、欠かせない事業の一つです。この記事を通じて、弊社のUTM事業・今後目指している事について、少しでも知って頂ければと思います。
UTM事業とは
UTMは「Unmanned Aircraft System Traffic Management」の略です。日本語では、「無人航空機運航管理システム」、つまりドローンや空飛ぶクルマの運航を管理するプラットフォームのことを指します。
例えば、車の場合は、信号や高速道路など、車の動きを管理したり、車同士の衝突を避けるために欠かせないインフラがあります。飛行機の場合だと、管制官や管制塔が機体を操縦するパイロットを支えています。
ドローンにも同じように、安全な運航を実現するためのインフラが必要になります。現在は多くの国や地域において、ドローンが一般的に飛行している低空域において、まだ十分な空域管理がなされていないため、安全性が確保できていません。
今後ドローンが幅広く普及していく中で、目視外飛行(目視の範囲を超えての飛行)を実現したり、ドローン同士やドローンと有人機との衝突を回避する仕組みを作ることで、空の安全を守りながら、ドローンの利活用を効率化していくことが不可欠となります。
(UTMのイメージ動画)
UTM事業の可能性とは
UTMは今後ドローン市場を指数関数的に成長させる上で大きな役割を担うことになりますが、空飛ぶクルマの市場でも大きな役割を持つことになります。空飛ぶクルマは、一般的にUAM(Urban Air Mobility)と呼称されています。UAMは将来的に100兆円を超える大きな市場規模と高い成長性が期待されており、グローバルで既に多くの会社がUAMの主にハード、つまり機体の開発と製造に取り組んでいます。例えばトヨタは2020年に約4億ドル(約425億円)をJoby Aviationに出資しており、同社は2021年にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しています。空を活用することで、従来、鉄道・地下鉄・道路の敷設にかかっていたインフラコストを大幅に削減できると考えられています。一方で機体の開発と製造だけでも、エンジン・バッテリーの開発や、認証の取得など、様々な課題があるため、ほとんどの企業がUTMにまで手が回っておりません。飛行機やヘリコプターと同じように、UAMについても、衝突防止などを含めた運航管理は必須となります。ハードと同じくらい、それを支えるソフトやシステムが重要になるということです。
TerraDroneが海外で実施していること
テラドローンは、欧米においてUTMのリーディングカンパニーであるUnifly(本社:ベルギー)の筆頭株主となっています。Uniflyは2015年8月創業ですが、テラドローンは2016年11月に最初の出資を行っています。2番目に大きな株主はドイツの航空管制局であるDFS(Deutsche Flugsicherung GmbH、100%ドイツ政府資本)です。
Uniflyは、カナダ、ドイツ、ベルギー、スペインなど、様々な国において、国レベルの実装を行っています。各国の航空管制局(ANSP:Air Navigation Service Provider)が顧客となっていて、既存の有人機航空管制システム(ATM:Air Traffic Management System)との連携もしています。
日本においてドローンの航空管制は国土交通省が管轄していますが、世界に目を向けると、欧州航空安全機関(EASA:European Aviation Safety Agency)と米国連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)が規制づくりを主導しています。EASAはドローンの利活用による経済成長への社会の期待の高まりに後押しされ、2016年以降、U-Spaceと呼ばれる、低空域に限らない高度にデジタル化および自動化された安全な運航管理システムのコンセプト作りと実装に取り組んでいます。
Uniflyは、他にSESARなど中心に数多くの補助金プロジェクトを手掛けています。SESAR(Single European Sky ATM Research)とは、新世代の航空管理システムの開発を目的とした、欧州の航空管制の近代化プログラムのことです。
TerraDroneが国内で実施していること
日本国内では、UTMのシステム開発や数多くのプロジェクトを実施しています。JAXAが開発するD-NET(災害救援航空機情報共有ネットワーク)とのシステム連携や、三井物産とエアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業の事業化を推進しています。
投資家から具体的に評価されているポイント
テラドローンとしては、出資先のUniflyが航空管制局(ANSP:Air Navigation Service Provider)へ世界最多の導入実績を持つこと、国内での様々なプロジェクトの実績が、総合的に評価されています。
またUTMがプラットフォームモデルの事業であることが成長可能性を裏付けています。ドローンや空飛ぶクルマが飛行するために欠かせないインフラを提供するため、エンドユーザーの課金に一定の強制力があります。空を飛ぶ無人航空機の数や運航量が増えれば増えるほど、売上が伸びる事業モデルなので、スケーラビリティがあります。UTMを活用することで目視外飛行(BVLOS:Beyond Visual Line of Sight)を実現することができるようになれば、ドローンの市場規模が急速に拡大していくことが予想されています。測量・点検・監視などのアプリケーションだけでなく、物資輸送や災害救助など様々な領域でのドローン活用が普及していきます。またUTM事業を推進する上で、各国の航空管制局と連携することが重要ですが、そのためには確立された技術や導入実績等が不可欠なため、参入障壁も高いことが特徴です。
UTMの課題と資金調達を実施する意義とは
UTMは非常に大きな可能性を有する一方で、様々な課題も抱えています。特に大きいのは規制の影響で、各国によって規制が異なるだけでなく、ドローンや空飛ぶクルマ自体がまだ黎明期の市場のため、規制も年毎に変化していきます。潜在的な巨大市場が確実に存在する一方で、市場や事業モデルが確立するまでのリードタイムが読みづらいという特徴があります。技術の進展、規制の整備、社会や顧客の受容、など様々な要素が複雑に絡み合っている中で、業界をリードしながらも、市場規模が爆発的に成長するタイミングを待たなければなりません。コロナウイルスやロシアとウクライナの戦争などにより、航空業界が大きな打撃を受けている一方で、こういった事象が新技術の導入を促す動きもあります。
市場で勝つためには、移り変わる市況の中で、事業を伸ばしながら、グローバルでリーディングポジションを取ることが必要になります。既存の事業については、マーケットシェアの拡大や財務体質の改善を図っていく一方で、資金調達によって集めた資金を米国市場への進出に使うことを検討しています。
テラドローンがUTMのデファクトスタンダードを作り、世界各国に実装していくことで、市場の進化を早めることができます。数千年の歴史を持っていた馬車が20世紀初頭に一気に自動車に置き換わったように、今後数年〜数十年で自動車が空飛ぶクルマに置き換われば、まさに空の移動革命と言えますが、それを現実にするためには信頼のおける安全な運航管理を実現するインフラが不可欠となります。
今後にむけて
今後、ドローンや空飛ぶクルマの市場が拡大していく中で、UTMは大きな鍵を握っています。
UTMは市場のあらゆる可能性をアンロックしていく力を秘めています。テラドローンは、日本及び世界各国において、UTM実装の推進をリードし、産業の進化に貢献していきます。
UTM事業に少しでも興味を持った方、ご応募お待ちしております!
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■お問い合わせ先
Terra Drone(株) 広報:宮本/鈴木
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