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ゆえ
2018年1月10日 12:28
いつの間にかそれは部屋の片隅に鎮座していた。 六角形の薄汚れた箱だ。 大きさは一抱えほど。 埃が積もっているわけでは無いが、醜く黒ずんで、触りたくないと思わせる。 だから、見ないようにしていた。 箱はあるのにないものだった。 いつからあるのか思い出せないほどそこにあり、ずっと存在を無視されてきた。 嫌だ嫌だと思うものは逆に目についてしまうものだ。 忘れたふりをしていても、そこに