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ゆえの小説集

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私の中の異世界や、そこにあるもののエネルギーを読み取って書いた小説です。投げ銭式。面白かったらご支援お願いします♪
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#レモン

パルファム・レモン

 いつの間にかそれは部屋の片隅に鎮座していた。
 六角形の薄汚れた箱だ。
 大きさは一抱えほど。
 埃が積もっているわけでは無いが、醜く黒ずんで、触りたくないと思わせる。
 だから、見ないようにしていた。

 箱はあるのにないものだった。
 いつからあるのか思い出せないほどそこにあり、ずっと存在を無視されてきた。
 嫌だ嫌だと思うものは逆に目についてしまうものだ。
 忘れたふりをしていても、そこに

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