オプトーバー8 第1回公演「ダモクレスの金塊」が最高だった
年末の記事で書いた、オプトーバー8の公演「ダモクレスの金塊」を観てきた。
(2024年1月24日公演。記事公開時点で配信期間終了済み)
やっぱり最高だったので、またまた記事を書く。
神保町よしもと漫才劇場所属の精鋭コント師、
オフローズ、ピュート、定点計画の3組8人のユニット『オプトーバー8』。
その記念すべき、第1回公演。
※ オフローズ、定点計画はトリオ。ピュートはコンビ。計8人。
ユニットコントではなくて、演劇。
公演が発表された時から楽しみだったが、公演数日前に公開されたフライヤー(ポスター)もとてもお洒落で、より楽しみになった。
脚本は、定点計画の司場才蔵さん。
タイトルの元になったのは、ギリシアの故事からとのこと。
今回の記事は、コンティの時よりはネタバレありつつ書こうと思う。
再演とか再配信とかあったら、やっぱりなるべく真っさらな状態で見てほしいけど、良かったとこ好きなとこ書こうとするとネタバレ気味……
あらすじ
船で1日かかる離島の屋敷に集められた、3家 6人の異母兄弟たち。
一条家のショウヘイ、ヨシカズ。
宝来家のシュンスケ、タカノリ。
財前家のアイキ、トモヤ。
父親である大富豪が残した時価20億円の金塊についての、遺言が開封されるという。
出迎えたのは富豪の代理人シラクサと、屋敷のお手伝いの女性アキ。この2人もまだ遺言状の内容を知らない。
せっかく集まったが、なぜか遺言状開封は一晩経った明日の正午に行うように言われていると言う。
兄弟たち6人と屋敷の2人は、一晩、屋敷で過ごすことになるが……
※3家の正しい漢字表記は不明。音から検索してとりあえず当てている。宝来家のみ、芸人さんポストで判明済み。
まー、この設定で何も起こらないはずがない。
離島、お屋敷、遺言状に、莫大な遺産、集められた息子たち。
ミステリー好きとしては大好きな設定。
それに、集まった6人の息子たち。
どうやら一癖も二癖もあるようで。
招待状で遠路はるばるやってきてみれば、初対面の異母兄弟がいるという事態と巨額の遺産に、それぞれの思惑が揺れ動く。
だが一方、代理人シラクサと使用人アキも、何やら意味ありげな会話を交わしており、一晩のうちに事態は思わぬ方向へと転がりだす。
6人の息子たち、キャラクターと演じる芸人さんがぴったり絶妙。
誰と同母兄弟か、と言うのもいい組み合わせ。
個人的にはオフローズのカンノさん演じる一条ヨシカズさんが好き。愛されキャラ。
「コンティSP」の時も思ったけれど、役のカンノさんって憎めなくって、舞台の中でホッと一息つけて自然と笑みが溢れるような、そんなキャラクターがぴったりだと思う。
ピュートのポイントさん演じるそのお兄さんの一条ショウヘイさんも、適当にあしらう一面もあるが、なんだかんだと弟と仲がいいんだろうなと思うような関係性が見えてくる。「可愛いやっちゃで」
ポイントさんは普段のコントもユニットコントも劇も、お芝居的な演技の表現が細かくて繊細で、それでいて観ている観客に真っ直ぐに響くような気がする。
一方、財前家の方はちゃらんぽらんなアイキ(オフローズ明賀さん)と、きっちり真面目なトモヤ(ピュート竹内さん)は かなり正反対の性格のよう。
明賀さんは本当に役によって七変化するなと観ていて思う。そして振り切っている。いい意味で。清々しいダメ兄貴。
今回の役の明賀さん、いいな。
竹内さんは癖のある眼鏡の役がまたお似合いで。
動きが竹内さんだなという、なんだろう、役が役として以上に生き生きと動く感じがする。
最後の最後、幕が閉まりきる直前、慇懃にお辞儀をしながら、にやりっと悪く笑ったのが怖くて、意味深い余韻を残していた。
宝来家は宝来家で、シュンスケ(オフローズ宮崎さん)とタカノリ(定点計画 三部さん)はなんだか不穏な空気感。
宮崎さんのあの役、毒っけがあって皮肉屋で、オフローズのブラックなネタを煮詰めたみたいな感じで、もっと観てみたいと思った。
他の人が書いた役をやる宮崎さんって、初めて見た気がする。
三部さんは、普段の平場や定点計画のコントの中の三部さんに近い感じがした。ちょっと人見知りするけど人懐っこいような、なんだか猫みたい。
迷いのある感じとか、ちょっと兄に逆らえない感じとか、そういう役の雰囲気をうまく表現してる気がする。
代理人シラクサ役の定点計画 司場さんは、演技かと思いきや、かなりの緊張していた様子。脚本・演出・出演と大忙し。
また一方、使用人アキ役の定点計画 高杉さんは終始落ち着いていて、キリッと場を締めていた。平場はふわふわ可愛い様子だけれど、時折 武将みたいに勇ましくしっかり者の高杉箱さん、魅力的。
役の魅力と演者の魅力が合わさって、それはもうとても良かった。
演技派コント師勢ぞろいなこともあって、鬼気迫る演技にグッと引き込まれた。
緊張感のあるヒリヒリする会話もあれば、気の抜けるクスッと笑える会話もあって、あっという間の60分だった。
タイトルをギリシャ故事からとっているからか、どこか寓話とか神話とかの雰囲気もあったような。全然見当違いだろうけどシェイクスピアっぽいような感じも。
なんだろう、兄弟の対比だろうか。
アドリブかな?という会話も、ところどころ。
かなりの長台詞の人も。体感10分くらい1人で喋ってる時間あったけど、本当に凄い。
エンドロールの後まで、そしてカーテンコールまで楽しい。
タイトルに「第1回」と付いていると言うことは、きっと第2回と続いて行くんだろう。
次は誰が脚本で、いったいどんな話になるのか。
また劇場に観に行きたい。
ユニットコントも好きだけど、演劇もいいな。
楽しみが増えて、とても嬉しい。
これからも「オプトーバー8」応援しております!
2024.02.27追記
4月の公演スケジュールに、オプトーバー8の第2回公演!!「エンティティ・オブ・ザ・デッド」
今度はゾンビのお話で、脚本は再び司場さん。
そしてなんと90分!!
楽しみすぎるー!
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