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(独断と偏見に満ち満ちた)五行歌余興比較

先日チラッと予告していたとおり、今日は九州五行歌会で今までにやってきた余興を比較してみたいと思います。

① 印象詠(写真を見て自由に発想して歌を詠む)

② リレー五行歌【一語一会】(前の人の歌の中から任意の一語を使い、新たな歌を詠む)

③ 二人五行歌列車(歌の前と後を二人で作り一つの歌を完成させる)

この3つをやったわけですが、いくつかの観点から勝手に順位を付けると……。

【A】自由度:①→②→③

写真を見て詠むのは、②や③と違い他の人の言葉にいっさい左右されませんから、そういう意味では自分の感性だけに頼ればいいわけで、言葉の上では自由です。

が、視覚的情報がきっちり入った写真を見て詠むというのは、最初から制約があるとも言えます。例えば私たちがやったのは「グラス」「階段」「エレベーター」「ピアノ」の画像でしたが、素材そのものはもちろん、色彩や構図などにも知らず知らず影響を受け、そこから発想を飛ばしたとしてもある程度は写真の持っている情報に引きずられる可能性もあると思います。

ということで、実は①と②は僅差かなと思っています。

②の「一語一会」は、前の人の歌の中の言葉(単語)を使うということで、好きな言葉をどれでも拝借できるので、その時点でかなり自由です。一つの言葉から発想する内容も人それぞれ違うし、どの位置にその言葉を持ってきてもよいので比較的多様な広がりがあると言っていいでしょう。例えば「歌」という言葉を拝借するとして、songの歌もあれば詩歌の歌もあるし、「歌う」に変化させることもできるし……。

ちなみに、はじめに言葉ありきで、そこから発想して詠んでゆく場合もあれば、先に詠みたいことがあって、たまたま前の人の言葉がその内容を表現するのに使えるという場合もあります。その言葉に出会わなければ自分の殻を破れなかったけれど、この言葉を使ったおかげで違うアプローチで表現することができた!ラッキー、前の人よ、ありがとう……みたいなこともあります。

③の「二人五行歌列車」は、前2行(または3行)を担当すれば相当自由です。私の場合は、作りかけていてどうしても完成できない歌というのがあり、もうこの際諦めて誰かに作ってもらっちゃおう、というパターンもありました。作りかけてメモして、そのうちにその時の気持ちを忘れてしまって(何を詠もうとしてたんだっけ?)みたいなフレーズが未完成のまま残っているからちゃっかり!(いいのか?)

そうでなく、何もないところから前行を作る場合は、できるだけ後ろの人がイメージを飛ばしやすいように(一応)考えます。物語性があるものとか何か含みがありそうな感じとか。例えば今回なら「手紙の裏に/残された一文」なんて2行を投稿したり。

そういうことをちょっと考えるくらいで、あとは自由ですよ、前行は。

でも後行になるとそうはいきません。すでに半分はできているわけで、それはかなりの制約であり最も自由度は低くなります。そうは言っても、私たちの仲間はツワモノが多いのか、結構自由に展開させていましたね。

【B】独立性:①→②→③

これについては、他者との絡みが一切ない印象詠が一番高いというのは当然のこと。その次が「一語一会」かな、と思いますが、これもそんなに大差はないかもしれません。それに比べ、二人五行歌は合作ですし先行も後行もペアの人のこと(内容)を気にしながら詠むことになるので、どうしても独立性は低くなります。(それが悪いということではありません)

【C】殻を破る可能性の高さ:③→②→①

自分の殻とか枠を超えて詠める可能性の高さ、と言ったらいいのでしょうか。特に③の後行になると、前の行の世界を引き継ぐので、自分では全く使わない言葉や描かない世界を表現するチャンスをもらえます。

例えば前回画像付きでご紹介した紫野さんとの合作はこれでした。

「空閨に/差し込む/月明かり/手をかざせば/静脈の透ける」

前3行が紫野さん作ですが、正直「空閨」なんて言葉は私の辞書にはありませんでした。聞いたことはあっても使うことはおろか、普段頭の隅にチラッとも浮かびません。だからこそ、これの続きを書きたい!と思いました。

殻を破るチャンスというか、凝り固まった発想を展開させていただく修行の場というか……(←そんなに真面目に考えていたわけではないが……)。

その際、前行の人だったらどんな風にもっていくのだろうと考えるのも楽しいことです。私の場合はひねくれているので、違う感じに仕上げたいと思うことが多いのですが、前の人の作風に添うように作る人もいるでしょうね。「きっとこんな風に着地したいんじゃないかな」と想像したりしながら。

どちらも楽しいことではあります。

でも同時に、やっぱりその人のカラーというのは出ていることが多かったなという感想も持っています。なかなか奥深く面白いです。

②の一語一会も、自分が使ったことのない言葉を拝借できたりします。知らない言葉って沢山あるし、どうしても好きな言い回しとか言葉って決まってくるので、人の歌の中に使われている言葉を見て新鮮さを感じることはよくあります。そんな言葉を堂々と拝借できるので、この企画も楽しかったです。

ダラダラ書いてしまいました。

他にも比較する観点はあると思いますが、今日思いついたのはこのくらい。

また思いついたことや追加があったら書きますね。ではでは。

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