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自社ブランドなんかやってたら会社潰すぞ!と言われた話

実は、SOMALIというブランド、この4月20日で5周年を迎えました。皆さんに支えられてなんとか5年間やってこれたと思ってます。ありがとうございます!これからもよろしくお願いします。

うちの東京オフィス長兼自社ブランド営業リーダーでもある宮本が、こんなnoteも書いてます。ぜひ読んでみてください。

毎年想い出す苦々しいエピソード

このシーズンになると毎年のように思い出すエピソードがある。twitterでも毎年のように呟いてるのだけど、自社ブランドを始めた当初、(あ、いや始める直前だったかな)に、ある大学教授主催の勉強会に呼ばれた時の話だ。

前職時代お世話になってた方から、とある大阪某国立大学の教授が開いている勉強会で、会社のことを話して貰えないかという依頼があった。

もう、それが何の勉強会だったのか、その教授が何の専門家だったのかさえも忘れてしまったが、話の内容としては、木村石鹸の現状と、今後の展開で考えてること、課題とかを話してということだったので、おそらく経営学とかビジネス系の勉強会であり、教授なんだろうと思う。

一通りの会社の説明をする中で、僕は現業のOEMの課題や、また量販店向けの商品やビジネスの問題について話をした。そして、自社ブランドの話をした。現状のハウスケア市場のことや、販売チャンネルについて、デザインのことを話した。SOMALIが立ち上がったか立ち上がる直前かぐらいだっただろうか。いずれにせよ、自社ブランドは事業としては成り立ってはおらず、売上もほぼなかったと思う。その発表自体は、大して盛り上がりなく終わったと記憶している。

その後だ。

勉強会の後に、懇親会があって皆で飲みに行ったのだけど、その時に、その会を主催している教授にとても嫌な絡み方をされたのだ。

その教授は多分、年齢は60は越えてると思う。もしかしたら70歳台ぐらいかもしれないが、昔の学校にいた恐い先生っぽい風体だった。多少酔っぱらっていたのかもしれない。

「君な、なにが自社ブランドだ。ふん、そんなことやってたら、君の代で会社潰すぞ」

そんなことを言われた。それも何度も同じようなことをしつこく繰り返された。さすがに見かねた周りの人も気遣って「〇〇〇先生、ちょっと酔っ払いすぎじゃないですか。もうこの辺にしとかないと」みたいに、僕との席を引き離しにかかってくれたりもしたけど、その教授は、どうも僕の構想になぜか余程腹でも立ったんだろうか、自分で言ってる間にどんどんヒートアップしていって、語調も荒くなっていった。

「90年も歴史がある会社で、何が自社ブランドだ、インテリアショップで売る? 君は会社の技術や歴史を何だと思ってるんだ!」

「3代目、4代目の世間知らずのボンボンが失敗するパターンだ。しょーむない浮ついたことにお金使って会社を駄目にする」

「君がやりたいのは、格好つけたいだけだろ。何がデザイン? 何がインテリアを邪魔しないデザインだ? そんなものに金かける中小零細はだいたい駄目になるんだ!」

詳しくは覚えてないのだけれど、こういうニュアンスのことを言われた。

どうもその教授は、自社ブランドのビジネスは、木村石鹸のコアである歴史だとか伝統とか、当時、全面的に売りにしてた「釜焚き製法」だとか、そういうものを台無しにしてしまうもののように思ったようだ。僕のプレゼンテーションの問題もあったのかもしれない。しかし酷い言われようだった。

あれだけ教授の語調も強かったのは、それぐらい教授も、木村石鹸のことを心配してくれていたということなのかもしれない。あるいは、僕の話や態度が余程気に入らなかったのか。

流石にかなり嫌な気持ちになった。帰りの電車は物凄く不快だった。本当にこの事業はやるべきのか、やめたほうがいいではないかと、何度も何度も逡巡したと思う。

実践と研究と。お互いのリスペクトは必要では?

今でも、ずーっとこのエピソードを思い出すし、何度もSNSなどにも書いてる。それぐらい腹立たしかった。今でも想いだすとやっぱり多少はムカつく。

実際のビジネスをしてない学者・研究職の人が商売について何か言ってはいけないとは全く思わない。ここ数年お付き合いさせて頂いてる大学の先生方の話や意見は、僕はすごく勉強になっているし、自身のビジネスを考えていく上でのヒントにもさせて頂いている。

学術や科学の領域からビジネスを分析する、考えるというのは、重要なことだし、それは実ビジネスにも役に立つものだ。

僕が一番腹立たしかったのは、その教授の発言に、愛や尊敬みたいなものが一切感じられなかったことなのかもしれない。

もっと愛や尊敬の念をもって接しよと、こちらが言うのもえらく横柄だとは思うのだけど、でも違う分野、違う領域からビジネスに関与している者同士なのだから、お互いにリスペクトがあるべきではなかと思う。僕は少なくとも、ビジネスを研究している人を、実践してないやつに何が分かるんだ、みたいに馬鹿にしたりすることはない。

でも、その教授の発言は、明らかに、比較的に年齢の若い僕という存在と、「デザイン」みたいな一見文字だけ聞くと浮ついた取り組みと、そういう表面的なものだけで話を捉えて、明らかに馬鹿にしたような口調で罵ってきた。明らかに僕を「ビジネスのことを何もわかってないガキ」として捉えて批判してきた。そこには愛も尊敬も一切感じられなかった。ここに強い憤りを感じたのだ。

・・・

ただ、今は、自社ブランド事業も、会社の中でもある一定の役割を果たすレベルにはなったこともあって、多少は「ざまぁ見ろ」という、自分の中で勝手に少し見返してやった感があるんで、このエピソードを想いだしてもそこまで嫌な気持ちにも陥らなくなった。

もちろん、本当に見返したというにはまだまだ早すぎるし、そもそもこのコロナ禍を生き残れなければ元も子もないというのは重々承知なのだけど。

でも、自社ブランドを起ち上げて本当に良かったとは思っている。あの教授の指摘を聞いて、手掛けてなかったらどうなってたか。たられば話はしても仕方ないが、今回のコロナ禍の影響下では、今より深刻な状況に陥っていた可能性も高い。

あれから5年。自社ブランドやって良かったなと思う。

あれから5年。自社ブランド事業は、木村石鹸全体の売上では15%弱ぐらいまで成長した。当初立てた3年間の事業計画は達成できて、今は、中長期5年のプランの真っただ中にある。うまくいったこと、いってないこと、両方あるけれど、でも概ね、良い方向には行けているという実感はある。

自社ブランド事業を始めたお陰で、自社ブランド直接の収益もさることながら、多くのメディアにも取り上げて頂き、OEMやコラボレーションのような相談も多数いただけるようになった。それも大きかったと思う。

2013年当時、OEMはほぼ2社に依存してた事業だったけど、今は、OEM事業自体も成長しながら、売上は良い意味で分散も出来た。

求人に若い人が応募してきてくれるようになり、新卒もここ3年間毎年取れるようになった。(この4月は、四人の新卒が入社した)

自社ブランド事業を手掛けてなければ、おそらくこういう変化は起きてなかっただろうと思う。

コロナはなかなか厳しい状況ですが、なんとかこれを生き残り、これからもユニークなモノづくりをしていきたいなと思ってます。応援よろしくお願いします!

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