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コップの水の例え話

コップに半分入ってる水の例え話あるじゃないですか。半分の水を「半分しか」入ってないと思うか、「半分も」入ってると思うのか、みたいな奴。

たとえば、何かトラブルに巻き込まれて自分だけでは対処できない、自分たちのチームだけではカバーできない、そんな状況があるとして、社内に協力を呼びかけるわけです。「それぞれお仕事大変忙しいところ申し訳ないですが、緊急自体です。助けて頂けないでしょうか?」みたいにね。その呼び掛けで、社員が100人いたとして、自分の仕事そっちのけで助けに来てくれた人が数人いたとします。この時、助けてもらった当人はその数人に凄く感謝すると思うんですね。皆、忙しいし、自分の仕事あるのにね、助けに来てくれた。凄く良い人たちだし、この会社はめちゃ素敵な会社だと思うんです。

ところが、このシーンを側から見てた人が、さっきのコップの水じゃないけど、「100人も社員いるのに数人しか手伝いに来てくれない」「この会社はチームワークが良くない」「他人に興味がない」なんて不満を口にしたりするわけです。「助けに来る人は毎度同じの面子。他の90人は非協力的だ!」とかね。間違ってないかもしれないけど、ネガティブな方から物事を捉えてますね。助けに来てくれる人が誰もいないのが普通かもしれないですし。

一方で、また別の人はその助けに来てくれた数人にこんなことを言うんです。「あいつら自分の仕事も出来てないのに、何を違うことばっかりしてるんだ」とか「こっちは毎日死ぬほど忙しいのに、あいつらは自由でいいな。基本暇だから助けにいけるんだ」なんてね。この人たちも事象をネガティブに捉えてます。そんな嫌味が聞こえてきたらどうですかね。多分、助けに行ってた人たちも次に同じようなこと起きたら動きにくくなるんじゃないかなと思うんです。

でもね、こういう人たちの声も多分数人です。メジャーではないと思います。助けに行く人が少ないと嘆く人も、助けに行った人たちを暇な連中と揶揄する人も、大きい声で主張する人はそんなに多くはないはずです。

殆どの人はそこまで何も考えてないし、悪いとも良いとも思ってないと思うんですね。助けに行けたら良いけど、今日は仕事忙しいから無理だな、何人かは助けに行けたみたいだな。良かったな。そんな感じで、あまり深くは考えてない人が大半だと思うんです。だってそもそも自分の仕事とは関係ないだろうし。せいぜいそのトラブルで会社にどれぐらい被害でるのかとか、大丈夫かな?って気になるぐらいじゃないでしょうか。

ところが、そういうある意味無関心な層の人たちに、さっきの物事をネガティブに捉えて批判する人たちの声が届いたりすると、やっぱり多少は動揺もするだろうし、そういう捉え方に傾く人もいるだろうと思うんですね。

事象をどう見るか、捉えるか。それによって物事の見え方は全然変わります。
コップの水みたいな話は実はどこの組織でも、色んな形で存在すると思うのです。

物事のネガティブな側面の方にばかり目が向き始めると、大抵のどんな事象も良くないものとして見えてきます。売上が伸びてても、他の会社の成長率に比べたら低すぎる、とかね。仕事が忙しくても、それはお客さん側に問題があると考えることも出来る。いくらでもネガティブに考えることはできます。

もちろんネガティブに捉えることが全て悪い訳ではないです。組織なので、何でも一つの意見や見方に支配されてしまうより、色んな立場から色んな考え方が出てくる方がポジティブだとは思います。皆がポジティブにしか捉えないから良いかというと、実はそういう訳でもない。

大切なことは、こういう事象や問題の捉え方に対して、ちゃんとメタ視点を持てることではないかと思います。要はコップの水が「半分もある」と考える人は、「半分しかない」と考える人もいるということをしっかり認識する。「半分しかない」と思う人も、「半分もある」とポジティブに捉えることも出来る、ってことを頭の片隅には置いておく。
自分の考え方や物事の捉え方は事象のある側面しか見てないのではないか、と意識してみるわけです。色んな人の意見や批判を耳にしても、同じ事象でも色んな角度の見方があって、それはそれで組織の多様性の一つかもしれないと捉えて見るとかね。

組織に多様性が生まれてくると、当然コップの水が「半分もある」人も「半分しかない」って人も「美味しそうな水だな」と思う人も、「この水、腐ってんじゃないか」と疑う人も「冷たそうだな」と思う人も、色んな人が出てくると思うんですね。まずは、そういうものだと理解することは大事だと思います。ポジティブにもネガティブにも捉えられるし、ポジネガではなく審美で考える人もいる。自身の捉え方や考え方が唯一で正解なんだと思い込まないことですね。その前提で違う見方の人たちが意見を交わせたりすると良いのではないかなと思います。

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