中小企業向け401(k)プラットフォームGuideline/ビットコインキオスクCoinme/B2B企業向け売掛金自動化SaaS Upflowが資金調達ほかー6/13週注目のFintechニュース
こんにちは。Z Venture Capitalの湯田(twitter: yudamasak1)です。
今週もニュースをお届けします!
資金調達
1. Guideline/中小企業向け401(k)プラットフォーム
設立:2015/米国San Mateo
調達金額:$200M/SeriesE
主要投資家:General Atlantic, Generation Investment Management, Greyhound Capital, Tiger Global Management他
URL:https://www.guideline.com/
従来、中小企業や自営業者が401(k)のようなシステムを導入することはハードルが高かった。Guidelineは全ての人が安全、安心な退職を迎えられることをミッションとし、中小企業向けに退職プランソリューションを提供している。Guidelineは退職金の計画管理機能や従業員のオンボーディング、コンプライアンステストや政府への報告書の提出、記録の保存をできる統合的なスイートを構築した。様々なプロセスを自動化するテクノロジーを活用することで、これまで法外な料金が必要だった退職プランパッケージをSMB事業者でも気軽に利用できる水準にまで安価に提供することに成功している。現在、合計数十万人の従業員を有する20,000以上の企業が利用しておりAUMは合計$4.5billionを超えている。
参考:https://www.businesswire.com/news/home/20210616005127/en/Guideline-Raises-200M-in-Funding-Led-by-General-Atlantic-to-Fuel-Growth-of-Comprehensive-Retirement-Plan-Solutions
2. Coinme/ビットコインキオスク
設立:2016/米国シアトル
調達金額:$150M/SeriesC
主要投資家:Norwest VenturePartners,BatteryVentures, AndreessenHorowitz他
URL:https://coinme.com/
Coinmeは、ビットコインの購入をより簡単にすることを目指して2014年に設立された企業だ。CoinstarおよびMoneyGramとのパートナーシップを通じてすでに20,000を超えるキオスクでビットコインを現金で取引できる世界最大のビットコインキオスクネットワークを構築している。
ユーザーがビットコインを購入するのに必要な手順は以下の3つだけだ。
1.iOSまたはAndroid用のCoinmeアプリをダウンロード
2.アカウントを作成し、本人確認
3.Coinmeが対応したキオスクを見つける
キオスクは主にスーパーマーケットや薬局などの公共の場に設置されている。Coinemeは当初、独自のビットコインATMを構築していたが、現在は、エンタープライズAPIを介してMoneygramなどのレガシーな実店舗の金融サービスを暗号通貨の取引を可能とするネットワークに変化させることに重点を置いている。
参考:https://www.builtinseattle.com/2021/06/17/coinme-raises-10m-hiring
3. Upflow/B2B企業向け売掛金自動化SaaS
設立:2018/フランス パリ
調達金額:$15M/SeriesA
主要投資家:9yards Capital, eFounders、N26共同創設者Maximilian Tayenthal, Uber SVP of Delivery Pierre-Dimitri Gore-Coty他
URL:https://upflow.io/en/
Upflowは売掛金の回収を支援するSaaSプロダクトを提供している。B2B決済は進化が求められておりスタートアップが多く誕生している領域の一つだ。多くの企業は未だに請求書の処理状況をExcelやスプレッドシートで管理し、毎月顧客に支払いのリマインダーを送る面倒な作業をしているなど、売掛金周りの課題は多く存在する。UpflowはアカウントをQuickBooksやXero、Netsuite、Chargebee、StripeBillingなどにシームレスに接続した上で、そこで作成された請求書、クライアント情報、支払い情報をインポート。Upflowが支払いの遅延を察知し、自動でパーソナライズされたリマインドメールを送ることができる。またUpflowを使用して請求書を送信すると受け手にもメリットがある。受け手はURLリンクによって簡単にいくつかの支払い方法を選択可能となる。例えば請求書の送信元企業がUpflowアカウントをStripe Paymentsに接続していれば、受け手は簡単にカード払いを有効にすることができる。Upflowはこれらのトランザクションから集めた売掛金データを分析し、財務の意思決定をするためのダッシュボードまで提供するツールになっている。150万社の企業がこのプロダクトで請求書をやり取りし、合計$1billion以上の支払金額に相当するネットワークを構築し始めている。
参考:https://techcrunch.com/2021/06/14/upflow-raises-15-million-to-manage-your-outstanding-invoices/
<その他資金調達>
150万人以上に即時給与前払いを提供するClairが、1500万ドルのシリーズAを調達
シンガポールのBaaSスタートアップMatchMove、米NityoInfotechから1億米ドルを調達
Shopify, Sequoia Capital, Silver LakeなどがStripeに$1billionを投資
Advent invests $430m in Brazil's Ebanx
英国の中小企業向けローンのThnkcatsがWafra Capital Partners(WCP)から£160 millionの戦略投資
英国の銀行ソフトウェアプロバイダーの10x Future TechnologiesがSeries Cで$187 millionを調達
資産運用マネジメントソフトウェアを提供するAddeparが$2.17 billionの valuationで$150 millionを調達
貨物決済プラットフォーム PayCargoがSeries Bで$125Mを調達
ロンドンのペイメントプロバイダー DNAPaymentsが£100 millionを調達
BaaSプロバイダーのUnitがSeries Bで$51Mを調達
SMB向けネオバンク NovoがSeries Aで$40.7Mを調達
学生向けオンラインローン比較プラットフォーム Splash FinancialがSeries Bで$40Mを調達
インドのZ世代向けネオバンク FamPayがSeries Aで$38Mを調達
金融機関向けコミュニケーションプラットフォーム Eltropyが$21Mを調達
SMB向けの資金及び成長支援ネットワークを提供するHello AliceがSeries Bで$21Mを調達
英国スタートアップ向けrevenue-based financingを提供するBoosteがSeries Aで€12Mを調達
DeFiローンのGoldfinchがa16zをリード投資家として$11Mを調達
<IPO>
インシュアテックのBright Healthがニューヨーク証券取引所にIPOを予定 現在の企業価値は$4.0B
KrakenはCoinbaseに続いて直接上場の代わりにIPOの可能性が浮上
FinTech Wise Plans Direct Listing On London Stock Exchange
Mortgage REIT Angel Oak Mortgage prices downsized IPO below the range at $19
<M&A>
Mastercardが、大手ID検証プロバイダーEkataの買収を完了
JP Morgan ChaseがPFMスタートアップNutmegを買収
英国のオンラインペイメント大手 Checkout.comがエストニアのソフトウェア開発企業Icefireを買収
ExperianがTaxソリューションを提供するTax Credit Co.を買収
海外Fintech関連
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国内Fintech関連
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読み物
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最後に
Stripeの機能拡張がすごいことになってきました。19年頃からStripeの投資部門は積極的に周辺領域への投資を行っています。すでに構築している既存加盟店ネットワークを活用して先行企業を飲み込んでいくのでしょうか。
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