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【ブランド戦略論】CoCo壱番屋の引き算ブランディング

全国的に人気のカレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」。

海外にも店舗を拡大し、2013年には「世界でもっとも大きいカレーレストランのチェーン店」としてギネス世界記録に認定されている。

実は、開業当初は喫茶店だったらしい。なぜ喫茶店から世界的なカレーレストランになるまで成長したのか。

その答えは、「引き算のブランディング」だった。

前回紹介したブランディングについての本
引き算する勇気ー会社を強くする逆転発想」(著:岩崎邦彦)
より、引き算ブランディングの例を引用紹介する。

「喫茶バッカス」から始まったCoCo壱番屋

このカレーチェーン業界の最大手も、スタートは1974年開業の「喫茶バッカス」という小さな企業だった。

CoCo壱番屋は名古屋にあった小さな喫茶店がルーツである。
メニューの中で、とくに人気だったのがカレーライスだった。

成長のきっかけは「品ぞろえの引き算」だ。喫茶メニューを引き算し、カレーに集中したのである。

「カレーハウスCoCo壱番屋」が誕生したのは、喫茶店開業から4年後のことでである。

「カレーの専門店」か「カレーが人気な喫茶店」か

どこでカレーが食べたいですか?
A.カレーの専門店:71.6%
B.カレーが人気の喫茶店:28.4%

この消費者1000人調査の結果から示唆されるように、喫茶店業態を維持し、
"カレーが人気の喫茶店"だったら、ここまで伸びることはなかったはずだ。

全国的に人気のブランドにはならなかっただろう。

「カレーハウスCoCo壱番屋」は、大企業になった今も、明確な経営コンセプトで、ぶれない経営を続け、決して「足し算」をしない。

これが、圧倒的な人気と成長を続けている秘訣だ。

明確な軸のある引き算が必要

一本の樹でありたい。決して、たくさんの樹を植えようとはしない。

すなわち、足し算経営はしないということだ。

強くぶれない「幹」(軸)があり、それを大地に張り巡らされた「根」がしっかりと支え、幹には「枝·葉」が豊かに茂っていることが、強さにつながっている。

もしも、カレー専門店が「品ぞろえの足し算」で成長しようと考えて、ハンバーグ料理を扱ったらどうなるか?

消費者調査この結果の答えを示唆している。

どちらのレストランに魅力を感じますか?
A店.カレー専門レストラン:72.0%
B店.カレーとハンバーグを提供するレストラン:28.0%


圧倒的に多くの回答者(72%)が「カレー専門レストラン」を選ぶ。

「カレーとハンバーグを提供するレストラン」を選ぶのは、その半分以下の20%にとどまる。

この結果が示唆するのは、もし「カレーの専門店」がハンバーグを足し算するとしたら、半分以上の顧客が去っていくかもしれないということだ。

品ぞろえの引き算

何を売らないのか決めることは、企業を強くする上で非常に重要な要素である。

CoCo壱番屋意外にも、Appleやスターバックス、無印良品など、引き算を続けることでブランド力を強化してきた企業が数多く存在する。(※この事例は別記事で紹介する)

最後に、今回紹介した岩崎邦彦氏の著書
引き算する勇気ー会社を強くする逆転発想
に書かれていた、スティーブ・ジョブズとソニーの創業者の井深大さんの「引き算経営」を示唆する名言を紹介する。

集中することとシンプルであることは私の信念である。シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしい。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。
--スティーブ・ジョブズ--
本当の経営者は、来年、再来年に何をやるか。 それはだんだん広げていくのじゃなしに、だんだん狭めていくことだとおもう。そこに集中しようと思ったら、いらんことはやめていく。それでなきゃ集中できない。
--ソニー創業者 井深大--

「もし、引き算をせずに、「カレーが人気の喫茶店」のままで営業を続けていたら、今のように成長しただろうか。

あなたのビジネス、ブランディングかならず役に立つであろう「引き算経営」を、ぜひこの本で学んでみて欲しい。


「勉強になったー!」と思っていただけて、ちょっとコーヒー1杯おごってもらえたら喜びます(笑)