ハンドボールのトップレベル選手の試合中における活動量を知ろう!
ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!
文献情報
タイトル
High-Performance Handball Player’s Time-Motion Analysis by Playing Positions
著者
Camen Manchado
Juan Tortosa Martinez
Basilio Pueo
Juan Manuel Cortell Tormo
Helena Vila
Carmen Ferragut
Francisco Sanchez Sanchez
Sonia Busquier
Sergio Amat
Luis Javier Chirosa Rios
ジャーナル
International Journal of Environmental Research and Public Health (2020)
結論
OFとDFでの走行距離や運動のパターンも違うし,各ポジションでも違うことが明らかになったので,各ポジションや局面にあったフィジカルトレーニングの重要性が示唆されている!
方法
・Time-Motion分析(試合中の分析)
・選手のユニフォームの肩甲骨付近に埋め込み式のウェアラブル端末(Local Positioning System: LSP; Kinexon社製)により,選手の座標位置をトラッキング
・2019年のチャンピオンズリーグのfinal4に出場したヴェスプレム・ヴァルダル・キールの3チームの選手(計40名)を分析した(バルサはこの研究に賛同しなかった模様)
・主にT検定,コーヘンの効果量(ES)によりデータ分析
・敵陣内もしくは敵陣に向かう:OF
・OF:ウイング,ピボット,センター,バックプレイヤー
・DF:フルバック,ミドルバック(R&L),アウトサイドDF(R&L),フロントセンターディフェンダー(トップDF?)
・先行研究より,立位(≦0.9 m/s),歩行(1.0~1.9 m/s),ジョギング(2.0~3.9 m/s),ランニング(4.0~5.4 m/s),高強度ランニング(5.5~6.9 m/s),スプリント(≧7 m/s)と定義した
わかったこと!
・OFの走行距離:1388.28±2627.08m
・DFの走行距離:1305.47±5059.64m
・OFとDFの時間配分はほぼ同等であった(of:15.69 ± 8.02 min vs. df : 15.40 min ± 8.94 min)
・歩行とジョギングの走行距離はOFの方が優位に高かった(高強度ランニングもその傾向を示した)
・OF時の走行速度
平均 : 88.415 ± 20.72 m/min
歩行 : 13.89 ± 2.98 m/min
ジョギング:40.55 ± 10.12 m/min
ランニング:23.65 ± 12.53 m/min
高強度ジョギング:9.70 ± 9.39 m/min
スプリント:0.42±0.94m/min
・DF時の走行速度
平均 : 80.83 ± 27.11 m/min
歩行 : 17.53 ± 4.18 m/min
ジョギング:28.56 ± 4.18 m/min
ランニング:20.49 ± 11.47 m/min
高強度ジョギング:12.96 ± 11.54 m/min
スプリント:0.56 ± 1.29 m/min
・高強度ランニング距離において,ピボットとRBとLBはLWよりも有意に走っていない.また,RBとRWにも同様の差があった.
・ピボット,センター,RB,LBのスプリント距離ではLWと有意な差があり,LWが一番スプリントしていた.
・走行距離で見ると,LWと各ポジションの比較は効果量もかなり大きく意味のある差であったことがわかった
・センターバックとミドルバック(2枚目)の歩行距離を比較すると,有意にセンターバックの方が長い距離を歩いていた
・スプリントの観点でみると,フロントディフェンダーはセンターバック,両2枚目より有意に走行距離が大きかった(効果量も大きかった)
これらの分析の意義
恐らく多くのコーチはハンドボールのphysical demand(身体的要求)を肌感で推測し,トレーニング処方をしていることでしょう.でも,その多くは「皆同じ」の一様的なインターバルトレーニングなどに留まっていることが簡単に予想できます.昨今,個別性に配慮したトレーニング処方のニーズが高まりつつありますが,一方で多くの選手を抱えるコーチには厳しい風となっていることでしょう.ですが,今回の研究で明らかになったように,OF/DF両面で,そして各ポジションでも走る距離や求められる身体的要素が変わります.
もうお分かりになっているように,試合中の選手の動きなどからの分析はチームスポーツのレベルの発展において非常に重要であるというのが最近のトレンドです.だからこそ,自分も試合中のシュート動作を分析しました.よりリアルな分析することが,現場と研究の架け橋となりえます.
この研究の応用
この研究結果から,まずは競技特異性のある距離のインターバルトレーニンの実施から始めるはいかがでしょうか?走行距離が約1.4キロになるように設定し,ランダムに走行速度が変わるようなトレーニングがあればなおいいですね!
加えて,各ポジション別にタスクの追加をできるといいですね!LW・RW,トップDFはスプリント多め,センターバック,ピボットは有酸素性運動の中にコンタクトプレーを取り入れるなどの工夫が求められるかと!
こうやってトレーニングを考えていることが重要であると思います!
また,カテゴリにーよってこれらは大きく変わりますし,実際に数値の標準偏差(ばらつき)が大きいのもこの研究も危惧しています!
今後もこのような研究を多くやっていくことで,何となくのカテゴリー別の試合に求めらることが見えてくるかもしれません!
まとめ
ポジション別のトレーニング考案は急務!!!
ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!
それでは!
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