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【論文紹介】ハンドボールにおける球速の動きの決定要因とは!?

今回もざっくりと論文紹介.結果から言える程度の考察も書き加えておりますので,あくまでご参考程度に!
この論文では
『シュートを速くするためには,どんな動きが大切なの?』という疑問を持った方におすすめの論文です!

論文の詳細

タイトル
A Three-Dimensional Analysis of Overarm Throwing in Experienced Handball Players
著者:Roland van den Tillaar, Gertjan Ettema
ジャーナルおよび発行年:J Appl Biomech. 2007

論文の内容

方法
被験者:11名
対象者:ノルウェーの代表レベルの男子選手(レベル鬼高いですね)
詳細:平均年齢:22.9±3.5歳、体重:85.8±11.75kg、身長:1.84±0.05m、トレーニング経験13±3.3年

測定方法
・7mスロー
・ボール(0.46kg)でできるだけ速く投げ、ゴール(2×3m)の中央にある高さ1.65mの0.5×0.5mの正方形のターゲットを目指して、7m離れたところからターゲットに向かって投げさせた.
(方法の参考文献:Van den Tillaar, 2003; Van den Tillaar & Ettema, 2004)

撮影方法
3Dモーションキャプチャシステム(Qualysis、Sävedalen、スウェーデン、6台のカメラ、240Hz)を使用して測定した.

結果
・アームコッキング期の出現:約-0.155秒(SD=0.024)
・加速期の出現:約-0.155秒〜-0.042秒
・最大内旋角速度の出現:Ave. +0.021秒
・最大ボール速度とリリース時の肩の内旋角速度間には有意な相関が認められた(r = 0.67; p = 0.024)
・肩の最大内旋角速度に達した時間には,ばらつきがあった.
・肩の最大内旋角速度がリリース前と後の2群に分けたところ、最大ボール速度とリリース時の肘関節の角度に群間で有意差が認められた(p=0.003;p = 0.011).
・リリース時のボール速度と肘の屈伸角間の有意な負の相関が認められた(r = -.64; p = .035).
・肘屈伸角の変位量は,最大ボール速度との間に有意な正の相関が認められた(r = 0.61; p = 0.048).
・最大ボール速度と他の運動パラメータとの間には、他に有意な相関関係は見られなかった.
・タイミングは最大ボール速度との関係性はないが、最大腰回転角のタイミングのみは群間に差があった
・腰の回転はボール速度が遅い群よりも速い群で優位に早く発生した(r = -.84、p = 0.001).

ハンドボールのシュートスピードを構成する動きとは!

 Stodden et al.(2005)によれば,野球のピッチャーの場合,ボール速度が増大するにつれて、リリースした瞬間よりも前に肩の最大内旋角速度に到達する.つまりですね!

『球速を高めるには肩の内旋運動がむっっちゃ大切です!』

ということですね!ハンドボールの選手を対象にした研究でも同じようなことが言われています!(Van den Tillaar と Ettema,2004).しかも,ボール速度への貢献度が最も高いのは,肩の内旋と肘の伸展であるということもわかっています(Van den Tillaar と Ettema,2004).なんと,その両方で約73%のボール速度に貢献しています!!肘の伸展も大事というわけですね!



球速UPのためのテクニックとは!?

 この研究結果から分かったことで,球速UPのためのテクニックも導き出せます.それは,バックスイングなどの加速期の前段階で肘をやや伸ばしておく!というテクニックです!.ボール速度が速かった群では肘関節の総運動範囲が大きかったことから,上述したテクニックが導き出せました.
つまり,ボールに加える力積を大きくするということでしょう.また,同様のことが腰の回転においても言えるようです!
 著者は,「ボールリリースまでの腰の回転時間の増加は、最大腰回転/体幹回転角速度の増加をもたらすだろう。これは,運動中に腹筋群がより早く、より広範囲に伸ばされていることを意味している.運動の早い段階でより多くの弾性力が蓄積されることが予測される(すなわち、体幹と上肢の間のひねり運動が強化されている状態).」と述べています!

注意点

・研究手法的に全て正しいとは言い切れない部分がある
・体幹回転角速度と球速に相関がなかったため,腰を含めた体幹部の回転はボール速度に貢献しないかもしれない.
・7mスローという制限のある投球方法での結果であることを考慮しなければならない.

 実際に自分で投げてみて,動画撮ってみて,確かめてみてください!今後,どうやったら肩の内旋を高められるのか!という点でも論文紹介していきますので,こうご期待です!
それでは!

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