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デッサン人形の写真をトレスしてみた話

新しいイラストを描きました。寸劇と掌編小説のサムネイル用で、最近描いている聖騎士シリーズよりアデルバートとルカリス(創作キャラ)です。

■ 今回の制作テーマ

・人物が二人いるイラストを描く
・デッサン人形の写真を下敷きにして描く(トレス)

今回は二人のイラストということで、二人の距離感や体の比率をなるべく正確に描くために、デッサン人形を写真に撮ってそれを元に素体を描き起こすという手法を試してみました。
(実はこの手法に挑戦するのは2回目なんですが、前回は失敗したのでまだイラストが完成していません)

背景で木漏れ日を描きたかったので、今回も樹の幹を描いてみることにしました。

■ デッサン人形の写真を撮る

撮影会と呼んでいます(楽しい)

初々しいデートのシーンなので、まずは二人を同じ座面に座らせました。
撮った写真はそのままトレス素材として使うので、できるだけ背景が白くなるようにしています。
箱はCanonのインクカートリッジの箱にコピー用紙を巻いたもの。背面は光洋産業株式会社のデコパネ(発泡ポリスチレンパネル)、床はスケッチブックでできています。

デッサン人形はMinzramdのものを使っています。男性型の体格がとても好み! 女性型はちょっとお胸が大きいのと首が細すぎたり頭が大きい感じがしていて、まだちょっと描き起こすときに違和感があります。絵柄の問題かも。

■ 1枚選んでProcreateに取り込む

もう既に可愛い

今回はこのお写真にしました。遠近感も程よくついていていい感じです。
撮影はiPhoneのカメラですが、近寄りすぎると画角が歪むので2倍ズームの状態で少し離して撮影しています。

Procreateのギャラリー画面から「写真」を選んで画像を読み込みました。解像度は十分でしたが、レイヤー枚数の上限が40枚になってしまいちょっと厳しかったです。

■ 素体を描き起こす(トレス作業)

ざっくりと

ラフを描く前の素体なので、大まかな形を取るためにざっくりとなぞっていきます。Procreateのマーカーで描いてみました。描き味はいいけど重なったところが濃くなってしまうのが難点。

ルカリスの左腕は後から個別に大きさや位置調整ができるよう別レイヤーで色分けしてます。

本当は2,3枚素体を描き起こしてからどれにしようか決めようと思ったのですが、1枚描き起こすだけで30分くらいかかってしまったのと一番気に入っていた構図だったのでこのままいくことにしました。

■ ラフ(+下塗り)

元写真と素体の不透明度を落としてラフを描こうとしたのですが、次の瞬間には塗り始めてました。飽きっぽすぎて一つ一つ段階を踏めない……。

■ 線画、下塗り

どんどん塗り進めていきます

ルカリスさんの線画を描き、下塗りを終え、肌の1影まで終えてしまいました。アデルバートの頭の形が綺麗ですね。

デッサン人形はパーツとパーツの境目の形が曖昧だったり不自然になったりしがちなのでこの時点で自分が綺麗だなと思うバランスに変えています。アデルバートの首と頭の付け根や鼻筋の高さなど。完成版はここから更に線画をいじりました。

今回は村娘風の衣装にしよう!と思っていて、一番好きな形を選びました。ちょっと可愛い袖リボンなども描いてみる。

■ 全体影

青緑系の全体影

乗算レイヤーで全体影を乗せていきます。緑に囲まれた場所の予定だったので青緑系にしてみました。今回は完全な逆光ではなかったので上手くいくのかかなりドキドキしました。

この時点で髪にメッシュカラーを入れています。

■ 塗り進める

柔らかい印象になってきた

年末に覚えたレイヤーモード:カラー比較(暗)を使って背景の色を仮置き。レイヤーは一番上です。ルカリスの肌など一部塗りつぶされてしまった部分は消しゴムツールを使って被らないようにしました。

全体にかかる光(左から)を肌の1影と同じ色のレイヤーモード:スクリーンで描きました。服や髪などを塗り進めていきます。

普段は肌以外は乗算レイヤーで影をつけるのですが、今回は布の質感を重視したかったので通常モードでペタペタ塗り重ねることに。
色は全体影が乗った状態の色をスポイトで取って描いて、後で自然な色味になるよう色相をいじりました。いい感じに柔らかい雰囲気が出たのでよかったです。

■ もう一人の線画・下塗り

ようやく髪が……

同じようにアデルバートも描き進めていきます。別にこれくらい手順がバラバラでも良いと思う。飽きないことが一番大事!

■ 髪のテクスチャや肌の明度を調整

手前にいる感が出てきました

手前より奥の方が空気の層が厚い分色が白っぽくなるので、手前にいるアデルバートの肌の色を2トーンくらい落として遠近感を出しました。その分1影(コーラル)は局所的にしています。

私はパースをつけるのが苦手なので、こうして色味や明暗の差で遠近をつけることが多いです。このあたりは肌感覚に近い技術なので追い追い勉強していきたいです。

髪も少しだけ描き込みました。前髪付近には肌と同じ色を通常モードで置いて、自然ななじみ感になるよう不透明度を下げました。ツーブロックの部分はテクスチャブラシで健康なジョリジョリ感を演出しています。

■ 左からの光、右からの反射光を描く

雰囲気が出てきました

アデルバートの服や髪にコーラルの光、前髪に黄色い反射光を入れました。ルカリスの髪には青紫です。普段は反射光の色を揃えるのですが、今回はそれぞれのキャラクターのオーラっぽくていいかな〜と思って別々の色にしました。いずれもレイヤーモード:スクリーンです。
ルカリスの左腕はコーラル系、右腕は薄い青の反射光です。

その他にもルカリスの髪にツヤを足したり、毛先を整えたり、顔まわりの髪に肌系の色を薄く重ねたり、お口やお鼻の形を整えたりしました。アデルバートの瞳と肌の影も少し描き進めています。

もしかしたら余計な手順もあったかな〜とは思いますが、どれもやってみたかったので試しました。少し印象が散らかった気もします。初デートのソワソワ感が出たのではないでしょうか。

■ ベストを描く

ようやく騎士団員感が出てきた

騎士団員の軽装用のベストを描きます。そのために非表示にしておいた素体を再度表示させ、体の厚みや胸筋の位置などを確認しながら通常モードでゴリゴリと描いていきます。

■ ベストの描き込み + 下からのカラーライト

マークがあると締まります

ベストの描き込みはルカリスの服の時と同じ手法です。この方法だと上から下地の色で塗りつぶして形を整えることができるのでとても楽でした。これからもやろう。

騎士団マークがあるとユニフォームとしてぐっと締まる感じがするというか、情報量が一気に増える感じがしてとても好きです。確認してないけど今まで描いてたマークと若干違う感じがする。

下からのカラーライトはいつもの空間遠近表現です。なんとなく赤にしてみましたが背景によって適切な色味が変わってくるので仮置きです。今回はハードライトだと合わなかったのでビビッドライトにしました。まあそういうこともあります。

■ はみ出し部分を修正する

ルカリスのお顔を少し幼くしました

今回は暗めのカラー背景を置く予定だったので、
・全体影
・光(コーラル)
・反射光
の扱いに困って人物レイヤーを統合することにしました。レイヤーを統合した上にクリッピングマスクで上記3つを配置すれば、キャラクターだけに効果が適用されるからです。

もちろんその時点までのファイルのコピーは取っておくのですが、とりあえずレイヤーを統合した際に輪郭が汚いと上の画像のような状態になるので、背景レイヤーなどを非表示にしてはみ出し部分や塗り足りない部分を調整しました(髪や肌など)。

Procreateの作業画面

調整後の画像とレイヤー構成がこんな感じ。クリッピングマスクがとても便利です。

■ 背景を描く + 木漏れ日の演出

ロケーション!

前々回のグリスのイラストで樹の描き方はなんとなくわかっていたので、同じような手順で背景を描きました。

この時点で下からの照り返しレイヤーの色味を限りなく灰色に近い赤に変えています。

そして今回一番大事な木漏れ日! こちらは人物レイヤーにクリッピングマスクの乗算レイヤー(鶯色寄りの薄いグレー)を重ね、全体を一段階暗くしてから消しゴムツールで木漏れ日を描きました。アデルバートの後頭部や肩、ルカリスの肩口や胸、指などがわかりやすいと思います。ルカリスの顔や頭もうっすら消しています。

■ 写真ツールで色味を調整して完成

セピア色の思い出

今回は過去のお話用の絵であることと、全体の色味がやや散らかり気味だったのでiPadの写真ツールで色味を編集しました。ビビッド(暖かい)のフィルターを半分ちょっとの強さでかけてます。作ってある楽曲のイメージもこちらの方が近い感じです。

■ まとめ

初々しいデートの様子が描きたい!と思って始めたので、それが叶って良かったです。

総作業時間が8時間を超えてしまいました。やはり人物が二人いると2倍時間がかかるみたいです。記事も長くなってしまいましたが学ぶことも多く挑戦してみて良かったです。

年末に言っていた「あと一歩で何かを掴めそうな気がする」は、あと2〜3回実験したらとても大きいのが訪れそうな気がしています。それでなくとも毎回新しい発見があるので今は絵を描くのがとても楽しいです。ビギナーズハイ再び、という感覚です。

今月は音楽の締め切りがいくつかあるので更新頻度は落ちると思いますが、掌編小説と寸劇と合わせて制作を進めていきたいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました!
おやすみなさい。




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