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#手取り23万 ってそんなに珍しいことなのか色々考えた(追記あり)

日本テレビ「news zero」で放送された33歳男性の最低賃金生活が話題になっているようで。ニュースの内容もわかりやすかったのがこちらのまとめサイトでした。

このニュース、労働時間300時間で手取り23万って「最低賃金割っている」ということも語られていたわけです。

※番組ニュースの情報から私が作成した内容です。

ですが、まとめでは「食費4万って高くね?」ってなってますよね。
そこ重要じゃないんですが、こういう意見がそもそも巻き起こるのって、なぜなんでしょうか。

最初にお断りしておくと、専門家じゃなくて「なんでこんなにずっと生活苦なのよ」って思ってるしがないフリーランス30代です。
なので、データの取り方の荒さとかご勘弁いただけると助かります。
ただ、自分で調べてもこのくらいはわかるよ〜っていうくらいのものなので。

ねえ、このかた著しく低所得なの?

手取り23万円ということは、月収総額30万、年収420万円くらいです。
年収にはもちろん賞与を含んだ形で計算しています。
ただ番組内で手取り21万〜23万と言っているのでもう少し年収低いかなぁと思うのですがとりあえずこのくらいと思っておきましょう。

ちなみに手取りの計算はこちらのサイトを使用しています。

この手取り23万は「低所得」なのでしょうか。
ツイッターで #手取り23万 を検索すると「そんな給与で働くしかないなんてもっと仕事探せよ」みたいな意見もあるので、これは一般的に著しく給与が低いとも思えるわけです。

そこで国税庁が発表している「2017年度民間給与の実態調査」で平均給与を見てみましょう。
2年前!?と思うかもですが、(なぜなら私が思ったw)
2018年度はまだ発表されておらず、当然今年は終わってないのでまだわからないので「最新情報」です。

数字がいっぱい並んでてわかりにくいと思うので今回大事な部分をふたつだけ取りあげたいと思います。

1)ひとりあたりの平均給与

まずは「ひとりあたりの平均給与っていくら」なのかを見てみましょう。

年収432.2万、給与+手当364万、賞与68万(2.25ヶ月分)でした。
これを月収に換算してみると、364万÷12ヶ月=30.3万円
月収30万、手取り23万円。

手取り23万円って日本の平均給与じゃん!!!!!!!

ちなみに2019年の動向としてどうなのかといえば、最新の情報として今年の5月の給与総額が発表されています。
その金額が27万5千円。(手取り21万くらい)
5月は大型連休で非正規の給与総額は低い傾向にあると思います。
(つまり時給で働いている人が休みのせいで給与が下がってるということ)
ただ記事をみると5ヶ月連続前年比マイナス…この2017年の統計より給与が下がっている可能性もあることを覚えておいてください。


2)働いている人の給与分布

おし、平均はわかった。でももっともらっている人もいるよね!?
というところで、前に話題になってまとめられてましたよね、年収分布。

こちらの表と国税庁の発表を元に手取り給与のイメージ金額の記載を追加してみました。
画像内にもありますが、平均給与の部分で賞与が2.25ヶ月分出ていたので、それを月額給与からは引いて、その分で手取り給与を計算しています。

見てわかるんですけど、
全国の年収分布のなかでは決して低い給与ではないんです。
半分以上のひとが手取り23万以下の生活をしている計算になります。
でも手取り23万って最低賃金で暮らす人として紹介されていたのではないんでしったっけ。

洗濯機も買えない・1日おにぎり2個で暮らす、欲しいものが買えない
なんということなのでしょう…

月300時間労働ってどういう生活なの?

月300時間労働、実生活におきかえてイメージしてみましょうか。
月21〜23日働くとして、1日の労働時間は13〜14時間というところでしょうか。
労働時間には休憩が含まれないので、おそらく拘束時間としては14〜15時間となっていると思われます。

たとえば、朝の出勤時間が9時だとしたら退勤時間は24時ですね。
通勤時間ですが、アットホーム株式会社が行なったトレンド調査を参考にします。

https://athome-inc.jp/wp-content/uploads/2018/06/2018061301.pdf

すると、平均47分。だいたい1時間以内の通勤時間と考えられます。
それを元に1日を書いてみるとこんな感じです。

家についてほぼ何もしないで寝て、ギリギリまで寝て睡眠5時間確保が限度かな。
これで「節約のために自炊」したら睡眠時間が削られていきます。

私もこういう生活してたことあります。なぜって。

月300時間労働、残業125時間とかですよね。
残業代なかったら、手取りにして半額になるからですよ、単純に。

これそもそも、最低賃金の暮らしってどういうものかという話なんですよね?
最低賃金985円×1日8時間労働×21日出勤=16万5480円。
この時の手取り13万円。
残業しないと生活できないのが最低賃金なんですよね。

ほんとうに「節約していない」の?

改めて、支出内訳。

食費4万が「平日、毎日おにぎり2つなのになんで」と言っていますが
普通に考えて、成人男性が毎日おにぎり2つだけで肉体労働込みの仕事してるって、この暑さだったら熱中症で死ぬレベルだと思う…。

逆にいうと、ある程度普通に飲食して毎日1333円。
三食作る時間もないとしたら1食450円かけられない
コンビニも450円以下のお弁当なんてほとんどないですし、外食はできないし
かといって自炊する時間もない。

コンビニのおむすび2個とペットボトル1本でだいたい400円。
これ三食続けたら、1日1200円。月1回3000円で飲みに行けるかも?くらい。
正直、都内で飲み会したとして、会費が3000円てかなり安いので
交際費としても支出したと考えると、、つらいですね。

ちなみに食費4万円は政府統計の家計調査を見るといたって普通です。

逆に都内だとしたらむしろ
家賃と光熱費あわせて6万ってどういう生活してるのか知りたいくらいです。
光熱費、正直基本料金だけでも結構取られます。
家計調査で見るとだいたい光熱費は1万3千円くらいのようですね。

家賃は?というと都内の家賃相場を考えたら4万台で住める家が見つかるならば
相当古いか狭いか、事故物件か、トイレや風呂なしか、どれかでしょう。

通勤1時間以内を目安にして家賃を見ると、7万円以上はかかると思った方がいいですね。
つまり、家賃・光熱費の部分でかなりの節約してるんですよ、このかた

年収から見た「平均的な生活」として

手取り23万で東京で暮らすことを考えて、より現実に近いイメージとしてまとめてみました。私見ですが。

ちなみに保険ですが、今回は個人の生命保険料と捉えて金額を記載しています。
交通費は通勤定期代として書いております。
職場から1時間でなんとか安い物件の6万円台のものを探し出し、定期代との折り合いをつけた場所に住んでいる、と仮定しています。

手取り金額が上下することはあったら、毎月余剰が4万円近くあるわけではなく
手取り21万で2万下がったら、残りは1万3000円。

そして残業しなかったら手取り13万。
交際費や余剰金を全部カットしても携帯か光熱費が払えない状態になります。
残業して補填しているわけです。

なんで残業してまで長時間働くのは生活のため。
我慢を重ねないと生きていけないような暮らししかできない給与しかもらえない。
それは平均給与額の暮らし。

長時間労働、最低賃金、平均給与
そういう問題が集約されている「手取り23万」という提示なのかもしれません。

ツイッターからもうひとつの話題

今朝、目にしたもうひとつの話題がこちら。

元の記事はこちらでそれにコメントしているようですね。

アメリカの貧困の原因についての言及の中で「日本人ってマジメだけど超絶貧困だぜ!」と言われているという話です。

記事から引用します。

じゃあ、貧困の実際の原因は何?貧困は市場経済の当然の結果。貧困をどうにかするには、私たちは、困難に陥った人たちをサポートするために介入する必要がある。

そう。こんな年収分布になったのは

貧困〜マイルド貧困の年収の人が70%もいるようになったのは
個人の問題じゃなくて市場経済の当然の結果、のはずなんですよ。

わたしが「手取り23万」で思ったのは…

相場の家賃の住居に住んだら、好きなようには食事ができない、
余裕を持って生活なんてできなくていつもギリギリ。
しかも時間外労働に支えられている生活で、時間もすべて奪われている。

これが日本の平均給与の生活で
平均給与もらっている人=最低賃金で働いている人。
そんな全く余裕のない生活が【当たり前】になってることが一番の問題なのです。

正直、富裕層も税金ばかり取られて余裕のある暮らしができない!というのは
そりゃ支えなきゃいけない貧困層がこれだけいたら、そりゃそうでしょう。

節約しろよ、スキルつけろよ、おれのほうが給与少ない
という個人がどうだとか、どうすればいいってことじゃなくて、
「市場経済」っていう自分たちの環境がより良くなればいいんです。

ひとりでどうしよう?とか
誰かを蹴落として行こうとか
そういうんじゃなくて
みんなで上がって行こうよ。


8/2 追記

最低賃金、東京は1000円超!って言っていますし、地域格差拡大!って問題視されてますけど、そもそも考えてみましょうよ。

東京の最低賃金1013円の生活って、手取り23万、月300時間労働じゃん!
つまり、このグラフのような、お金と1日で営む生活が
東京で働いて暮らす人にとって
「健康で文化的な最低限度の生活」として保証されているラインです。


(生活保護の話を持ち出すとちょっとややこしくなるので割愛)

どこが!健康なんだ!(15時間拘束労働と5時間睡眠で健康に!?)
どこが!文化的なんだ!(自分の時間なし、生活以上のお金なしで文化的!?)

それでもまだ「個人の努力の問題」とか言いますか。
私たちが貧乏なのは、いったい誰のせいなの。

そして「news zero」のステイタス設定、本当にうまかったんだな…

読んでくれてありがとう!心に何か残ったら、こいつにコーヒー奢ってやろう…!的な感じで、よろしくお願いしま〜す。