[ドラマ]街並み照らすヤツら8話

どこに進んでいくのかわからないし、クライムなのかファミリーなのかブラックコメディなのかジャンルレス。かなりの人数が視聴から振り落とされているだろうからNetflixに移動してほしい。

4話から大きな車輪が動き出すように、ストーリーに動きが出てきても、蛇行っぷりは変わらず。ただ8話はこれだけで映画になりそうなメッセージ満載。もう平凡に必死に生きてるわたくしには刺さりすぎる回でした。

(以下ネタバレあり)
警察から追われる正義は、それでも自分の大切な街を守ろうと巨大な袋を被って街を練り歩きます。正直めちゃくちゃ目立つし、異様。中に森本慎太郎が入っているとしても奇妙としか思えない。街の人も街の人。袋から目だけ覗いている正義が相談してもどこまでも他人事。正義の袋が何かのメタファに見えてきます。

中盤物語を動かしまくってくれた吉川愛さん演じる澤本刑事。正義へのいとおしい気持ち、好きな人には愛する妻がいるという切なさ、そして行きすぎた愛による暴走。恋愛の様々な姿が凝縮されていました。袋を被った正義と向かいあう場面は切なすぎた。貴女にはいつか幸せになってほしいです。

さて今回のハイライト、伊藤健太郎演じる光一と正義の対面です。この後に人生の酸いも甘いも経験したおじさんが暴れるのをみてしまったのもあり、思ったより爽やかでした。このドラマ設定においてはこれが正解だろうな。30代前半、2人とも中学のサッカー部では激モテツートップだろうによそよそしい。光一は地元での扱いに拗ねたのか、きっと死ぬ気で高偏差値大学入って大手デベロッパーに勤めて。そのまま街を離れて人生謳歌していれば良かったのに、大嫌いという街を生まれ変わらせるために戻ってきて、怪しい人を雇って暗躍する。肩書キラキラ、闇属性。正義はまっすぐ街の皆に愛されてお父さんの跡を継ぎケーキ屋に。幸せな結婚もしているのにお金に困って犯罪に手を染める。この後、正義が日下部刑事に「なんとかともだちになれないんですか」と問うのですが、それはそのままあなた達に問いたい。まだ人生前半だから幸せをつかみとってほしいけど、ままならないこともわかります。

さて、若い2人の共演は今後も楽しみとして、この回は、大穴、人生後半戦の日下部刑事とトミヤマの主役回でした。開始から渋い飲み屋でやり取りし、トミヤマがとうとう街も任務も嫌になり、腹いせのためにマサキを警察に連れていく。この気持ち良くわかる。人に使われるばかりで特に評価もされなければ、普通の会社員だって馬鹿馬鹿しくなる時はきっとあります。対して日下部刑事。うだつが上がらないなりにも公務員としてやってきて部下もいるのだから、まあ生活は安定しているけど、世の中の理不尽を刑事という立場ゆえに呑み込む毎日もつらそう。こちらは職務をきっと初めて逸脱して「かわいそうな」街の人を救いたくなってしまって、変なモードになっている。だから、トミヤマが許せない。相手に一定のシンパシーがあるからこそ燃え上がる近親憎悪。中年の乱闘、美しくないけど、人生の尊く深い場面でした。2人ともよくないことしていますが、見た目は何ですが、イケオジでしたね。これは中年への応援歌だったのでしょうか。

物語もあと2回、おじさんの大乱闘を空気を読まずにみていた正義がついに主体的に動きます。慎太郎のピュアなところが出てるのかな。ドラマが正義の成長物語にも見えてきましたが、まだまだ気を抜けません。楽しみます!

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