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[ドラマ]街並み照らすヤツら 1~3話

2024年4月期のドラマだというのに、製作の概要が決まったのが2月?視聴率も再生数も伸びずですが、5話まで観て映像好きには完全に刺さる作品と確信。(ネタバレあり)

1話。寂れた商店街のいけてない日常が容赦なく描写され、特徴的なナレーションの中、話はゆるゆると変な方向に進みます。コーエン兄弟の映画FARGOを思い出し、いやーな予感。ごく普通の人が、少し運が悪く浅はかなだけで、雪玉が新雪の坂道を転げ落ちるように取り返しのつかない窮地に堕ちていく、なのに乾いた笑いが全編に漂う映画です。主演推しとして不幸になってほしくない。
商店街会長の船越英一郎が、なぜだか権力を振りかざして損害保険を店主たちに強制している閉塞感溢れる街。森本慎太郎演じるケーキ店主は偶然怪しい人物に出会い、幼なじみみ浜野謙太に誘われるまま、偽装強盗をしてしまう。この強盗がほぼ学芸会。ほんとに適当に強盗したなっていう。
役者の演技は上手いのですよ。ただ、怪しい人物は竹中直人だし、森本はあまりに自分というものがなく、妻の森川葵は辛辣、浜野は根拠の無い明るさがもはやホラー。吉川愛と宇野祥平の刑事コンビが、ドラマを現実に繋ぎ止めていました。

第2話は月島琉衣ちゃん回。話は逸れますが、セブンティーンのスター生成システムすごすぎる。そしてこの回の初めで一般受けしないドラマであることに気付き絶望。月島の父皆川猿時の酒屋前で、街の人が明るいうちから飲んだくれているのですが、もうそのシーンが上手すぎる。劇団で長くしぶとくやっているベテラン大量に連れてきた?周りの人物の言動が生々しく、めちゃくちゃ面白いけど、情報量過多で流し視聴には適さない。
 月島演じる高校生容姿に恵まれているし勤勉そうなのに毎日つまらなそうで、たまたま見つけた偽装強盗を未来を開く鍵と思ってしまう。熱心に頼みこむ彼女に軽率な浜野は快諾。一方森本は妻との関係が悪化してそれどころではない。偽装で新しいオーブンを手に入れても、少しも幸せになれないことを身をもって知っている。なのになぜか協力。
もはや出演者の誰にも感情移入できないカオスに突入。底知れず恐ろしくなってくるのは曽田陵介、萩原護演じる強盗に協力する若者。曽田はぷらぷらしてるし、萩原は別件で逮捕される。ただ1つ皆川と月島の親子愛がほっこりするけれど、これが状況を悪い方に転がしてしまうのでした。

第3話はさすがに話を動かすのかなと思いきや、現実離れしたカオスがゆるゆる続く。大丈夫なのか商店街の人々。そしてこのドラマ。街の人々役は振り切った演技合戦を始めており、もはやこの商店街はノンフィクションなのだろうかという様相。板尾創路はじめ脇役陣が全力ではしゃぎ、それを受ける船越英一郎、やっぱりあなたは大物俳優だ。
さて酒屋の成功により竹財輝之介演じる時計屋から更にエスカレーションした依頼を受けてしまう。そこからは商店街中で強盗指南が始まり大騒ぎ。そんなに強盗起きたらさすがにと思うけど、月島は動画配信まで開始。皆努力の方向が違う。そこにさらなる黒幕伊藤健太郎がやっと登場。目的が地上げであることは確定しましたが、伊藤とて父親船越や同い年設定の森本との関係性が謎だらけ。
竹財はさすがに話を動かすイケメンだし、浜野との間接的な掛け合いは見事。森本と森川の夫婦喧嘩は胸が痛くなる。おそらく繊細な2人、森本が壊れまくっているのもきっと根本のここが崩れているからなのだろうか。伊藤の出し惜しみかと思うほど、この回もゆっくり回転で終了でした。

第3回まで、エピソードはおそろしいほど広がっているのに、重たい車輪が回りはじめるときのようにゆるゆる進みます。さすがに次からナレーションの量が減り、画面が動きはじめるので、この空気を味わう時間的余裕がない人にはダイジェストをお勧めします。

第3話で森本演じる正義が「このままでは死人がでる」と明確な線引きをみせてくれたのがよかったな。人が亡くなってしまうと、FARGOやテルマアンドルイーズの最期しかなくなるので、観客に一筋の希望を残してくれました。


ドラマHP(詳しいあらすじあり)
https://www.ntv.co.jp/machinami-ntv/



街並み照らすヤツら
#TVer
https://tver.jp/series/srdl9y661g

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