[映画]悪は存在しない

映画館にはわりと行くほうですが、最後の1席にあたるのは初めてでした。週末都会の真ん中で満席の中鑑賞。すごい人気。

最初の山林の映像からカメラワークが独特でどぎまぎしてしまいました。そして開始後すぐに花ちゃんの帰り道シーンでの音楽が不穏過ぎて後悔フラグ。哀しげなf-mollあるいは振り切って全部フラットのas-moll?ヤバい雰囲気です。わかりやすい不幸は嫌いなの~

最初、俳優さんたちのセリフがリアル感なくてびびりましたが、とはいえドキュメンタリとも違う。なんだろう、人間って他所の人に話すときこんなになるのかな。
芸能事務所の2人の会話が楽しいです。こうやって、多少の縁のある人と交流しながら、用がなくなったら一生会わないけれど、そんな儚い繋がりの中で生きているのだなと。

うどん屋のお姉さん良かったな。うどん屋も心暖まるシーンだったし、人の食べ物に携わる人の真面目さと不器用さが素敵でした。
あと、嫌いなものが鮮明になった気がします。私の場合は何もかも他人事であること。なので、悪ではないけど関わりたくないのはグランピングのコンサルさん。

映像は本当に静謐で美しかったです。でも人生を前向きに過ごすための応援になる映画ではない。人生も環境問題も考えさせられるけど、ただ考えさせられるだけでぐるぐるします。やるせない現実を美しくみせられた100分でした。

☆☆☆★★

監督 濱口竜介
出演 大美賀均 西川玲
2023年日本
https://aku.incline.life/

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,495件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?