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LIVE参戦記⑤2015/9/19 Campovolo, Reggio Emilia

Campovolo 2015 La Festa”
エミリア・ロマーニャ州レッジョエミリア 2015/9/19


カンポヴォーロ Campovolo…それは、Ligabueファンにとっては特別な地である。彼が生まれ育ち暮らす街、コレッジョ Correggioに次ぐ聖地、といっても過言ではない。
しかし、われわれ外国人にとっては、やや敷居が高い土地である。いままでは遠征といったところで、フィレンツェだのヴェローナだの、しょせん外国人には行きやすいばりばりの観光地。しかし、Campovoloはなにしろ、観光地に事欠かないイタリアにおいて、おそらく外国人観光客はほとんど足を踏み入れないであろうエリアなのだ。もちろん、ガイドブックには載っていない。日本語の情報は皆無といっていい。
Lucianoの地元、エミリア・ロマーニャ州レッジョエミリア県の県都レッジョエミリア、ざっくり説明すると、生ハムで有名なパルマとルチアーノ・パバロッティの出身地で知られるモデナの中間あたり、その郊外の飛行場敷地内が、Campovoloと呼ばれる。
Lucianoはここで2005年に初めて、チケット販売枚数のヨーロッパ記録を樹立した単独コンサートをおこない、また2011年には再び12万人を動員、さらに2012年、この地方に甚大な被害をもたらした大地震救済のためのチャリティコンサートを、イタリア屈指のアーティストを招集して、ここでおこなっている。しかし、わたしはこのいずれのコンサートにも残念ながら遠征することがかなわなかった。
しかし!今回の“Campovolo 2015 La Festa”と題されたコンサートは、Lucianoのデビュー25周年を祝う大々的なイベント。日本一のファンを自負するわたしが行かずしてどうする?
ということで、すでに前年からこの大イベントがここで開催されるであろうことを予測して綿密な下調べを重ね、遠征を決断したのである。
幸い、今回の遠征には、日本人の推し友と現地で合流できることになり、心強かったということもある。イタリアに十数回、渡航しているとはいえ、やっぱり行きにくい。しかも、十数万人が集まる会場でただひとり数時間も開演を待つのはしんどい。

コンサートは9月19日、土曜日。
前々日の17日木曜日夜にボローニャ空港に降り立ち、翌18日にレッジョへ移動。空港から直接現地入りできないというだけで、横着なわたしにはけっこう面倒である。
コンサート前日のこの日、“Aspettando Campovolo”(カンポヴォーロを待ちながら)と題する前夜祭(?)がコンサート会場前で開催されるのだ。レッジョで推し友ふたりと合流し、いざCampovoloへ。チェックインしたホテルからレッジョ駅まで徒歩約20分、Campovoloへはさらに20分ほど歩いただろうか。時刻は16:00ころ。遠目にも巨大なステージが見えてきた!
イベント会場入り口で公演チケットを提示して入場。まずは、ファンクラブのブースに向かい、ファンクラブ限定エリアへの入場証(紙製ブレスレット)を交付してもらう。そして、Lucianoの巨大パネルの前で記念写真。ゲストボードにメッセージと名前を書き入れる。

《名前とともに「日本から参上!東京からCampovoloへ!!」》

次は、デビューから25年の軌跡を展示したテントへ向かう。デビュー当時の初々しい(というか、垢抜けない)Lucianoから最近のショットまで、巨大なパネルが並ぶ。お気に入りのパネルの前で記念撮影、あ、これは東京公演のカット!東京公演の楽屋のカットに食いつく日本人約3人!展示物は巨大パネルのほかに、25年間のおもな公演ポスターやら、自筆の作詞原稿やら。

《独特のクセ字で1文字も読めない自筆原稿》

テントを出て、コンサート会場のゲート近くまでできるかぎり接近してみたり、スポンサーのブースやら、公演グッズの販売ブースを覗いたり、無料で振る舞われたエスプレッソ・コーヒー(太っ腹!しかもおいしい!)を味わったり、会場内をうろうろ。公演会場ゲートの前には、すでに開場待ちで野宿する、根性ある若者の列が延々と連なっている。
休憩がてら腹ごしらえということになり、生ハムのピアディーナ(生ハムをタコス状?の生地で挟んだ、この地方の郷土料理)を買って、ぐらぐら座りごこちの悪いベンチへ。
友人がランブルスコ(こちらもこの地方名産の発泡性赤ワイン)とポップコーン(蛇足ながら“Lambrusco & popcorn”に因んで、セットで販売)を買ってくるのを待つ。すると彼女はランブルスコ&ポップコーンだけではなく、イタリア男までゲット!運びきれないのに困った彼女を、通りがかりの親切な男性が運ぶのを手伝ってくれたようだ。
彼らと少しおしゃべり。わたしは東京公演の際に撮ったLucianoとのツーショットを自慢する。
しばらくすると、後ろのベンチに座っていた男性ふたりとおしゃべり。わざわざCampovoloのために日本から来た、というと「クレイジー!」とか言われる。そんなこんなで8時をまわるとすっかり暗くなってきた。明日の本番に備えて、休養しなければ!
引き上げる前に、暗闇にライトアップされる巨大ステージを遠くからながめ、Tシャツなど公演グッズをお買いもの。さらにロゴ入りのトラックの前で記念撮影。ホテルに帰着したのは10時ころだっただろうか。まずは充実の第1日目終了。
この前夜祭イベントについては、実はあまり期待していなかったのだが、けっこう楽しめた。いや、かなり楽しかった。翌日のメインディッシュの前の、思いがけず供されたおいしい前菜という感じ。

《遠目にも巨大なモニターとステージ》


翌日。9月19日、土曜日。Il giorno dei giorni!
開演20:30に対して開場は08:00だが、12時間も待機はさすがにしんどいと3人の意見が一致したので、昼すぎくらいをメドに合流を予定(かなりざっくり)。
朝食後、ホテル近くを散策。朝食のテーブルにも広場にもそれらしい人たちだらけ。そわそわする。
そして、いよいよ会場へGO!
例によって会場まで町の中心にあるホテルから徒歩で40分くらい。ファンクラブ限定エリアは当然のことながら、ステージ最前線なので、会場のもっとも奥まったところ。さらに15分ほど歩いて、ようやく目的地にたどり着く。
14:00少し前。ファンクラブ限定エリアPit bar Marioは、半分ほど人で埋まっているだろうか?メインステージ最前列やサブステージかぶりつきの場所をゲットするには、1週間くらい前から開門を待って野宿する覚悟がないとだめだろう。しかも、開場と同時に、いま15分ほど歩いてきた距離を全力疾走。とてもそんな根性はない。
それにしても、開演までまだ6時間半。ビーチタオルを敷いて熟睡する人、おしゃべりで賑やかなグループ、いちゃいちゃするカップルなどなど。わたしたちもレジャーシートを敷いて、とりあえず落ち着く。それにしても暑い。やはりここにひとりで遠征はしんどいだろうなぁ・・・
「平たい顔族」が3人もいるとやはり目立つのだろうか?いっしょに写真を撮りたいと近寄ってくるカップル。わたしたちは珍獣か?

《開演待機中!》

そして、近くで何かの取材。いくつかのグループに“Certe notti”の一節を歌わせて撮影している。ぼんやり眺めていると、取材のお姉さん、わたしたちに「次はあんたたちよ!」
マジかっ???
歌詞カードを渡される。冒頭から歌うならまだしも、途中からはむずかしいぞ!たまたま真中にすわっていたわたしがマイクを握り締め、なんとか3人で一節を歌いきる。
(後日、YouTubeで編集された映像を見たが、わたしたちの映像は2カット採用!とりあえず、ほかのイタリア人もあまり上手じゃなくて、よかった!)
そうこうするうちに、混み合ってきたのでちょっと詰めてとアナウンス。レジャーシートを撤収して、立ち上がりスタンバイ。開演まであと1時間くらいだろうか?
ようやく陽が傾きはじめて、涼しくなる。
20:30開演!

《ステージ上の巨大モニター》

第1部は初代バックバンド、ClanDestinoとデビューアルバム“Ligabue”の全曲。巨大スクリーンにメンバーの名前が写しだされて登場。オープニングは“Balliamo sul mondo”!のっけから大盛り上がり!
デビューアルバムのトラックリスト順に、収録時のゲストプレイヤーも参加して、忠実に再現される。“Piccola stella senza cielo”は最初のライブVHS(当時。のちにDVD)“Dal vivo”に収録されているアレンジ・メドレーを披露。
当時の再現はサウンドとアレンジだけではない。
Marlon Brando è sempre lui”では、この曲のビデオクリップで着用していたホルシュタイン柄(?)のベストにお着替え!さすがに当時のものではなく、これも忠実に再現したらしいが、もはやぜんぜん似合ってない~!

《第1部のステージ。群衆の頭越しに見える立ち位置を必死に模索》

このデビューアルバムに収録されている曲は、いまだライブのド定番が多いが、最近ではあまりやらなくなった“Bar Mario”などが聴けて感涙~。
あっという間に第1部終了。セッティングに5分くらいかかって、第2部スタート!お待ちかね、Fedeの出番~!
第2部は二代目バックバンド、La Bandaと5枚目のアルバム、“Buon Compleanno Elvis!”の全曲。こちらもサウンド&アレンジが収録時のとおり忠実に再現される。さらに、ステージ上「生着替え」も4~5回しただろうか?DVDで見覚えのある、黄色いシャツ、赤いシャツ、エルビス風のコスプレ・・・やっぱりもはや全然似合っていない!そして、アルバムタイトル曲の“Buon Compleanno Elvis!”ではラスト、客席にサングラスを投げる。これはお約束。
Fedeは素肌にベスト1枚という、露出度高いお衣装。ギターは黒のレスポール。いずれもやはり当時を意識したセレクトだろうか?
とにかく名曲ぞろいのこのアルバム。かつて耳にタコができるほど繰り返し聴いたので、トラックリストもすっかり頭に入っている。それにやっぱり、わたしはLa Bandaのサウンドが好き。再確認した。

《第2部のステージ。ようやくなんとか見える立ち位置をキープ》

うっとりしたり、興奮したりしているうちに、第2部終了。
第3部は現バックバンドIl Gruppoとのステージ。例によってスクリーンに名前が映し出されるが、Fede登場の際は名前でなく“Sempre lui”!「お馴染みのこの人」くらいの意味だろうか?2度目の登場で特別扱い。
さらなる露出を期待していたが、第3部に登場したFede、ベストの下にしっかりシャツを着込んできた。ちょっと残念。
第3部の演目は25年間からのベストセレクトということだが、もちろんセットリストは未公表のお楽しみ。オープニングは“C’è sempre una canzone”。
第3部では「生着替え」はなし、と思ったが、“Il meglio deve ancora venire”で前回2011年のCampovoloで着用した、DVDで見覚えのあるチェックのシャツにお着替え。

《第3部のステージ。ステージが巨大すぎて反対サイドは全然見えない》

さらに“Buonanotte all’Italia”では、いつものイタリアが誇る有名人に加えて、Lucianoのお父上Gianni Ligabueやデビューのきっかけをつくってくれた同郷のシンガーソングライターPierangelo Bertoli、デビューの時のプロデューサーAngero Carraraなど、すでに物故したLucianoにゆかりの深い、そして恩人ともいえる人たちが巨大スクリーンに写し出されるスペシャルヴァージョン。彼らに対するLucianoの深い感謝と尊敬の念が表われていて感動的。
もちろん、新曲の“Non ho che te”、そしてセルフカヴァー曲の“A modo tuo”もライブ初披露。

エンディングには四方を派手な花火が上がって祝福、終演は0:00過ぎ。3時間半を超えるコンサートは終了した。
そこからの撤収にひと苦労。なにしろ、15万人が一挙に退去するのだ。一度道をまちがえたりしたので、徒歩20分程度の駅までの道のりに2時間かかる。そのため、隣町のホテルに帰る予定の友人は、みごとに終電に乗り遅れる。
仕方なく、わたしともうひとりの友人の泊まるホテルまで行って、タクシーを呼んでもらってご帰還。なんやかやで就寝は04:00ころになった。

翌9月20日(日)
この日はもともと、Lucianoが生まれ育ち、いまも居住する、Ligabueファンの聖地コレッジョCorreggioを訪ねるつもりだったが、思いがけずこの日に“Una domenica da Liga”(Ligaの家での日曜日)と称するイベントが開催されるのを知ったのは、出発前日の16日。コレッジョ市とファンクラブの共催とのことである。
レッジョ駅からタクシーでのどかな田園風景のなかを走ること20~30分。“Piccola città eterna”に到着した。

《Ligabueファンにはお馴染み、街のシンボルの時計台》

小ぢんまりしたメインストリートに飲みもの(もちろんランブルスコも!)や食べもの、CD、本を売るブースが並び、そのひとつで“Certi giorni a Correggio”と題するパンフレットを1ユーロで買う。そのなかにひときわ人だかりのブース発見。覗いてみると、4月25日の解放記念日に、Lucianoとコレッジョ市が無償で市民に提供した“I campi in aprile”のシングルCD!欲しい!
最初は販売しているのかと思いきや、身分証明書をチェックしたうえで、無償で配布しているらしい。
わたしたちももらえるか、あとで訊いてみよう。
町の中心は、映画“Radiofreccia”でお馴染の時計台のある広場。そこにこの日のお目当てのイベントであるミニライブのステージが設えられている。
パンフレットにある地図を見ながらうろうろ。Lucianoが生まれた家(アパート)。プロダクション、ファンクラブなど、関係事務所が入るビル。なんてことはないが、わたしたちファンにとっては、聖地巡礼のお約束だ。

《インタビューや推し度チェックなど企画満載の小冊子》

メインストリートといっても、端から端まで歩いて15分程度だろうか。せっかくだからちゃんとした食事をとろうとパンフレットの地図をたよりに探し回り、Ligabueががんがんかかるテラスのあるレストランを発見。ところがすでに予約でいっぱいだとのこと。残念。
人口2万5000人程度の町に数百人がつめかけたせいか、レストランもバールもどこも満杯。すぐに座れそうなお惣菜屋さんを見つけて、シーフードのフリット、そしてこの地方の郷土料理であるポレンタ(とうもろこし粉の練りもの)のフリットを食する。想像どおり、ポレンタのフリットはあまりうまいものではない。腹もちはよさそうだが、食べすぎると胃にもたれそうで危険。
お目当てのミニライブは15:00開演なので、食後は小さな町をまたぶらぶら。先ほどの非売品CDのブースに行ってみると、すでに人だかりは消滅していたので、わたしたちにももらえないか訊いてみると、あっさりと快諾してくれた。ありがとう、コレッジョ市!

《非売品シングルCD。第二次大戦中の地元レジスタンスを歌う》

わざわざCampovoloのために来たというと、ここでもやはり“incredibile”(ありえない!)と驚かれた。
そして、いよいよ、お目当てのミニライブ開演が近づいてきた!LucianoのバックバンドメンバーのMax Cottafavi(ギター)、Gigi Cavalli Cocchi(ドラムス)、Luciano Luisi(キーボード)、Davide Pezzin(ベース)、Niccolò Bossini(ギター)、そしてFede(ギター)がステージに上がるのだ!

《左のふたりがギターのMAXとベースのDavide》

早めにステージ前に待機。2列目あたりに陣取ることができた。
ライブは30分押しで開演(イタリア時間!)。MCは公式サイトおよびファンクラブのスタッフであるPietro Casariniがつとめる。
1組めは、Gigiがドラムスで参加する地元のバンド(?)。2組めはNiccolòが自身のバックバンドを率いて登場。アルバムをすでに2枚出しているが、聴くのはほとんど初めて。
3組めは、MaxDavideLuigi参加のバンド。ヴォーカルをつとめるのはやはり地元のシンガーだろうか。
そして、トリをかざるのは、Capitan Fede Poggipollini!!
実は、わたしはこれが楽しみで楽しみでならなかった!
1曲目はT-REXの“Twenty century boy”でぶちかまし、2曲目からはやっとFedeのオリジナルが聴ける。5月に出たばかりのアルバム“Nero”から、“Religione” “Fantasma di periferia”そして「リクエストにお応えして、唯一のヒット曲(笑)」とみずから紹介して“Bologna e piove”、ラストはアルバムタイトルの“Nero”で締めくくる。
ぜんぶ知っている曲~!Fedeの甘いヴォーカル、“Bologna e piove”のエンディングのギターソロ・・・スマホで写真を撮りまくる。とくにラストは最前列にがぶり寄って、Fedeのギターを堪能~!スマホをかまえるわたしに目線をくれたのは、錯覚ではなかったはず!

《Fede!至近距離にどきどき》

Fedeには東京公演の際、サインをもらい、ツーショット写真を撮り、少し話をする機会があったのだが、Fedeのソロライブを聴ける日がくるとは思わなかった。感謝感激感涙~!
ちょっぴり期待していたLuciano本人のお出ましはなかった(いつものLucianoのお付きの人はこの日、Fedeに付いて、群がるファンを華麗にさばいていた)こともあって、わたしにとってこの日は“Una domenica da Liga”というよりも、“Una domenica fantastica con Fede”なのであった。

終演するとそろそろ18時。この日は、翌日の帰国にそなえ、それぞれミラノ、ボローニャへ移動しなくてはならなかったので、引き上げることに。ただ、わたしたちどうやって帰るの?
結論としては、街の中心にある、場ちがいに立派な(ごめんなさい!)ホテルのロビーでタクシーを呼んでもらった。
帰る間際に、デビュー25周年記念にファンが贈ったという、壁画を発見。地下駐車場にいたる壁面に、デビューからのアルバムジャケットが描かれている。写真で見た印象どおり、やっぱりあまり上手いとはいえない(笑)。記念写真を撮って、タクシーを待っていると、いきなり、ブラジル人だというふたりの女性に声をかけられる。話をすると、どうやら、わたしがときどきツイッターでやりとりするブラジル女性の友人らしい。すぐにタクシーが来てしまったので、あまり話をする時間がなかったのが残念。

《アルバムのジャケ写を描いた壁画》

たった30分であったが、Fedeのライブ熱冷めやらぬまま、「小さな永遠の都」を後にした。
前日の大コンサートというメインディッシュのあとに、思いがけずおいしいこってりのデザートをいただけた感じ。消化にはしばらく時間がかかりそう。
けれど、たとえLuciano当人にプロポーズされたとしても!この街にお嫁にくるのはしんどいぞ、というのが、コレッジョ訪問の素直な感想なのであった。

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