複雑な恋愛観

まだ誰とも付き合った事のないような若い頃からバーのマスターとかに「大失恋でもしたの?」って聞かれるくらいには人間不信全開だった。

そもそも私は人の心は移り変わるものだから未来の約束なんて無意味だと思っている。それは自分の感情ですらも。

あと学生の時に付き合うとかはリスク的に考えられなかった。恋愛なんてどうせ向かう先は性欲で、学生時の妊娠リスクの代償に見合うなんて到底思えなかったから。
恋愛感情があまり湧かない人間だからこそ損得勘定でしか付き合う事を考えられないというのもあると思う。
他人に依存しないし、他人に評価を求めない。私の評価は私で決める。
いいも悪いも昔から自分が好きな自分であれば問題なかったし、自分だけしか好きじゃなかった。正真正銘のナルシストである。



どうせお前ら私の顔だけしか興味ないんだろ?ってすごく捻くれた人間でもあった。
性格を見て欲しかったからネット恋愛にも手を出したけど、結局私自身の方がよっぽどメンクイだったってオチ。
本当に自身が一番クソだったの今思い出しても草。でも顔面見て振ったのは悪かったけど、2ちゃんでフルボッコに書き込むのはクソダセーと思うの。心まで不細工とか可哀想すぎ…

20代の時の恋愛は、お酒の魔法を知ってから男性とも普通に話したりできると分かり遊びまくった。とはいっても付き合うのは気分が乗った時だけだし、SEXもしない。恋愛する気がなかった。私にコロッと騙される男を心の中で嘲笑うのが楽しかっただけ。それと優越感。
同じバーで私だけ無料で振る舞われるお酒、同じイベントで私だけ無料で招待される、チヤホヤしてくる男達、そんな他よりも特別に思えた優越感。
本当に男嫌いだったから捻くれた方にざまあみろって感じだったんだよね。普通にどうかと思うけど。

何より心が動かない相手の前では冷静に計算できるし、どんな仕草でどんなタイミングで何を言えば落ちるか考えながら振る舞っていた。


デートは基本一回まで。いっても二回まで。
それ以上いくと向こうも付き合って欲しいとか言ってきて面倒な事になるから。
そんな事をしていてもデート相手には困らないくらいたくさんいた。

交通費さえあればお財布なんてなくても遊べたから、自宅になんてほとんどいなかった。休肝日ゼロ状態。

バーやクラブも私の性格には合っていた。私は広く浅い付き合いが気楽だったから。

そんな私が元夫を結婚相手に選んだのは年齢のタイムリミットだったり、情があったり、結婚届勝手に出すぞとか死ぬ死ぬ詐欺されたりとか色々あったけど、一番は彼の嘘を初めからずっと知っていたから。

元夫が異性関係にだらしないなんて付き合う前から知っていた。残念ながら彼は分かりやすかった。むしろ何故あの家に連れ込めたんだろう?って今でも彼の残念な頭脳を不思議に思う(院卒の高学歴の人種ではあったけど)
本棚一つ見ても背表紙が見えるのと見えないのがバラバラとか、如何にも隠している疾しい事がありますと宣言しているようなものだし。
ちなみに2回目に行った時に隙を見てひっくり返してみて「ゼクシィ」だったのには流石にクソ笑った。面白すぎて付き合い続ける事にした自分の狂気にも笑ったけど。

流石に付き合うと情が湧くし、好きになれないのには罪悪感があった。温度差があればある程。だから今まで別れるしかなかった。
そんな中罪悪感も必要ない男が登場したのだ。その上酒なしで触れられてもストレスでない人。


彼の嘘を知っていたから、どんなに愛を囁かれようが溺れなかった。嘘の恋愛を私自身もとても楽しんでいた。偽りだから私もいくらでも愛を伝えられた。照れずに何でも言えた。
だからラブラブだったんだよな、歴代の中でも。

私は私の本音を伝えるのが一番苦手だし、想定できない状況が一番怖い。何より別れが嫌い。
それが私のクズである所以だよなと思う。誰にも言った事ないし、共感もされたくないけど永遠の愛なんて信じていないからそれなら初めからぶっ壊れている恋愛を選ぶ方がずっと気楽って思考なんだよね。他に本当に好きな人がいても。
意気地なしだから、選びたくない。別れはどんな形でも絶対訪れるから。
不幸の方が幸を選ぶよりもずっと楽なんだよ。それ以上落ちる下がないって精神的に楽すぎ。感情に左右される事もないし。

正直どんなに傷つこうが、その傷が想定できるものであれば別にどうでもいい。嘘を知っていても、隠せない浮気の痕跡を見つけるとちゃんと傷ついていたし、悲しかった。
やめてくれるなんて楽観視はした事ない。逆に彼が私だけを愛してくれたらすぐにでも別れたのにな。他の過去の彼氏達みたいに。

この関係は裏切られる事がない。だって裏切るも何も初めから全て知っているから。私にとっては心が傷ついても、裏切られて絶望さえしなければどうだって良かった。



本当にこの恋愛観の思考回路はバッドエンドしか選ばない仕様なのクソゲーすぎて自分でも嫌になる。自傷癖ないのに、クソみたいなリスク回避に特化しすぎ。幸せになる気なんて鼻からないもんね。


でもそれと同じくらい純粋に愛を信じたくて、運命の相手がいて欲しいと願っていた。
心から信用できて愛されて、愛せる人が現れて欲しいと夢見ていた。どうせ人である限り好きになんてなれないけど。小説や映画みたいな恋がしたいって。所詮フィクションはフィクションって理解はしていたけど。
ただ触れているだけで幸せを感じられるような、そんな恋愛。損得勘定とか何も考えられなくなるような。
他人に期待もしなければ、未来を望みもしない私が多くの事を望んでしまうような、私にとっての我儘な恋愛。



やる気のない婚活は昔よりも男の視線がどうでも良くなっていた。褒められても、熱のある視線で見られても、昔ほど気持ち良くもなかったし惹かれなかった。少しだけ不安だった自己肯定感が取り戻せただけ。
少し遊ぼうかなという気持ちすら喪失するくらいどうでも良かった。
好きの反対は無関心って正しいなと心から同意する。

だから一番条件のいい人ととりあえず付き合ってみるのもアリかと思っていた。段々顔合わせに飽きていて面倒になっていたし。
次のステップがどんなものかには興味があった。婚活なんてやった事なかったし。ちゃんとした結婚生活も残念ながら味わえなかったから。特殊な結婚生活だけ。


結局嘘みたいに初めて独占したいって思える恋に落ちて、そんな彼と付き合えたから意外な形で婚活は終わった。
今でもこの恋愛感情がうまく消化出来ずに、初めての感情に戸惑いながらどうしていいかわからずに沼っている。そんな恋愛する事ないと思っていたから。

今までの恋愛は恋する自分が好きなだけの恋愛で、今の恋愛は相手が好きな恋愛だから。いつもと違って感情に振り回される。

本当に…いくつになっても人生って何があるのか分からないもんなんだな…

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