6.「素敵な5332日」
「素敵な5332日」
電車を降りて、耳にかけていた髪をおろす。
頬にかかる髪があると安心できる。
つまらなくなってしまった。
自分の部屋が嫌いで、いられなかった。
どうしようもなく捨てられない物ばかりがある。
桜ヶ丘にお気に入りの飲み屋があった。
1人で仕事終わりに行くのが定番だった。
店員に連絡先をわたされてから一気に興醒めしてしまった。
もうここはダメだ。
オフィスカジュアルに身を包み家を出る。
肩がぶつかって舌打ちをされる。
この街は臭い。うるさい。歩きづらい。
だ