無題

 簡単に汚すことのできる日々。無意味に過ごす。
6月。異様な寝苦しさで目が覚めた。
AM4:32の文字が光る。
タイマー機能が壊れた扇風機のはねは止まっていた。
カーテンから漏れ出す灰色の光は、苦くて甘い薬の味がした。
鬱陶しい、できるなら迎えたくない季節、綺麗とはいえない夜明けを眺めて、苛苛する。

 リズムが狂うと、上手く歌えない。
灰色の空から白い粒が途切れることなく落ちる。
線路はそれに打たれ、灰色に向かって広げた透明な傘もそれに打たれた。
勝手に止めていた時間を、勝手に再開させた。
きっと君は苛苛しただろう。

 叶えられる夢はチープだ。

僕の夢は、神経質だ。
こんな苛苛の積もる季節に叶えたい夢などない。
僕は君の手を握って、君の嫌いなandymoriのクレイジークレーマーを歌いたい。
夏の晴れた日に、汗を滲ませながら。

でも今歌ってるのは君の好きなバンドの、あの曲だ。
君の夢は、チープだ。僕に隣で歌ってほしい。
微笑む君に少し苛苛した。

 

 少し後悔している。
こんな鬱陶しい季節に苛苛したこと、君のいない日を自ら選んで過ごしていること。


あぁ。僕が歌うから、君が歌って。

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