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【治療レポート⑤】右視床出血による弛緩性麻痺のリハビリ〜リーチから手指の随意運動〜

脳外臨床研究会会長 作業療法士 山本秀一朗
セミナーレポート作成 言語聴覚士 yucco

フルリカバリーを目指し、全国のセラピストと共に成長し続ける脳外臨床大学校で学ぶyuccoです。

脳外臨床大学校、脳外臨床研究会にてセラピストを育成し、自費診療で患者さんをフルリカバリーへと導いている山本先生の治療をレポート化しました。
全国の悩んでいるセラピストや困っている患者さんの力になる学びを届けたいと思いお届けしています♪
皆さんの治療が1ミリでも変わり、患者さんの人生が変わりますように‼︎

《症例紹介》

60代・男性
疾患:右視床出血(保存的治療)
障害:左上下肢麻痺、弛緩性麻痺(急性期入院時はMMT1)
現病歴:仕事中にゴルフカートに乗っている時に急にふらつき転倒し、左上下肢の麻痺発症し救急搬送。
回復期退院後は、独居にて週2回のヘルパーを利用しながら生活している。
発症からは8ヶ月が経過。
趣味:ゴルフ

《はじめに》

立ち上がりを確認します。
両足に荷重をかけて立てるようになってきています。
左肘が曲がっているのが気になりますね。
杖はほとんど使っていないとのこと、もう杖はいらないレベルです。
買い物の時はカートを押しているから安定して歩けるとのご意見がありました。

左肘の屈曲、伸展を評価します。
脇開いて閉じて、伸ばして、指をパーをしてください。
口頭指示した時に、左手をパッと自身で見ることができることが重要です。
段々と手になってきた証です。
少しずつ痙性も抑制できてきています。

《左上肢の評価》

立位の時は左手はグーって曲がってたけど、座位の時は手指曲がっていない状態っていう評価から何をしないといけないかがわかります。

手がグリップしてくるのは姿勢筋緊張の要素が大きいです。
バランス反応が姿勢反射異常(伸長反射異常)を起こしており、手関節から手指までは姿勢反射障害をみとめます。
座位ではグーとパーは少し随意運動はできます。


立位では随意性は低下し、姿勢反射異常をみとめました。
立って手を使おうと思ったら、立つ要素を治療する必要があります。
肘屈曲と伸展した後に手指の屈曲伸展を評価します。

姿勢筋緊張の障害、痙性の障害、共同運動の障害と3つが手指にはあります。

弛緩性麻痺により肩はロートーンで、座位になるとストンと1横指亜脱臼を認めます。
立ち上がり、歩行すると左上肢は少し外転し、亜脱臼は軽減しますが、座るとすぐに低緊張になります。
肩のアプローチは、立位で歩行アプローチが必要だし、四肢のアプローチは逆に痙性をおとして治療展開をしていく必要があります。

《手指の治療》

トーンが低いけど運動すると痙性が出てくる、手指のトレーニングをしたい!
肩のトーンは上げときたい、上肢の力は抜きたい。

患者さんは、痙性という反射を使って、手というものを知覚しています。
抜いちゃうと位置覚、運動覚がわかりにくくて運動がしにくいです。
痙性と共同運動で手を感じて動かしています。
このせめぎ合いをどうするかが大事です。

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