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本人と作品

海外にいるためもちろん日本のニュース番組は見ないのだけど、最近職場のPCの設定が勝手に変更になってて、インターネットのトップ画面が現地語になり現地のニュースが出ていたため、いつもに増して日本のニュースが入ってこなかった。

某俳優さんの性加害報道が今炎上してるのを数日前に知った。ちょっとびっくりしたけど、よく聞く話でもあるので、ほうほうと読んでいた。

こういう事件があると、その人の出演作品を否定することが連鎖で起こることがある。なんとなくこの連鎖に違和感を感じる。薬物使用者が描いた絵や作曲した音楽、ちょっとカテゴリーは違うかもしれないけど、作者が違法行為をしていた場合、作品にも焦点が当たる。

ちょっと実名出します。個人的にですね、沢尻エリカという女優が好きだったのです。今も好きだけど。今見返しても彼女の出ていた作品てすごくいいなぁと思う。病んでたであろう頃のヘルタースケルターとかも好き。1リットルの涙とかパッチギとか、本性出る前と言われる作品ももちろんだけど、色々あってからのファーストクラスとか太宰治とかすごい好きだったな。彼女だから演じて評価を得た作品であると思っている。

映画やドラマって彼女一人で作ったものではないし、あくまで役だから、本人と関係ないっちゃ関係ないと思う。でも世間は役としてのその人でなく、その人が演じた役にもその人を投影することがある。不思議でたまらない。

今話題になってる俳優さんがハマり役とされる半沢直樹の大和田役とか、今やってる六本木クラスの長屋役とかについて、本人そのものだからハマってるなんて記事を読んで、どういうこと?と疑問符である。要素はあるかもしれないけど、悪役以外だってハマってるものはある。

そんなこと言ったら、岡田准一のハマり役は絶対的にファブルだと思うけど、実際の岡田君は人殺しでも何でもないし、キャラクターとしても違うと思う。でも私の中でファブルを見た時の衝撃は忘れられない。岡田君のための役だと思った。

フィクションであればそれは作られた物語であるし、作品の中の役も役であって作られたもの。もちろん本人に近い場合もあるだろうし、正反対の場合もあると思う。いずれにしても本人ではないし、作品も創作である。子どもの頃は私も悪役を演じた俳優さんを心から憎んで見るのも嫌ってときもあったけど、さすがに今はない。悪役ドはまり俳優を見ながらニヤニヤしてしまうくらいだ(気持ち悪いな、おい)

そんなわけで私はあえて、彼の出演作品を今観ている。99.9という刑事事件専門弁護士の話。これだって結構ハマってると思うけどな。悪いことをしたことが分かった途端に、悪役に焦点が当たりまくるのって変である。

という、元演劇部としてはモヤモヤするっていう、ただのボヤキでした。