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②片道2時間半から始めよう

青谷橋バス亭から市バスに乗り、阪神三宮で奈良行き急行に座り鶴橋で近鉄青山町行急行に乗り換え、榛原駅で降りる。片道2時間半。週に2回奈良の宇陀市に通う生活はユブネの設立と同じ時期から始まった。あれから5年近くが過ぎた。NextCommonsLabがプロジェクトとしてコーディネーションしている移住者起業支援の事務局運営。

今朝も同じ経路で宇陀市に向かった。実は、宇陀市は実家の隣のまちだ。毎週車で30分の距離まで近づきながら、また神戸まで戻っている。ちなみに実家のある旧都祁村は、奈良市に合併されていて昨年からは奈良市とNextCommonsLabが進めるローカルコープ大和高原構想の対象地域になった。

ユブネを始めるとき「メンバーそれぞれの地元で仕事をつくる」ことを掲げていた。に、しても片道2時間半は、もう旅である。今日は2冊本を読み2通のメールを返信できた。榛原駅に降りると雨が降ったせいか、かなり涼しくなっている。標高が高い土地の稲刈りは早い。今週末がピークだろう。稲刈りが終わると大量のとんぼが飛び、小鳥がこぼれた籾殻やカエルなどを狙って低空飛行する。

秋の入口に立つように川沿いの道を進むと不意にピラミッド型の白い建物が見えてくる。今となっては何の違和感もないが、初めて案内されたときは目を疑った。宇陀ピラミッドに隣接した建物の2階。そこが移住・起業支援事務局のワーキング拠点になっている。

木曜日の10時は事務局の定例会議の日。秋に企画するマルシェの段取りやアイデア出しをして開催日までの予定を立てた。月初は起業メンバーの活動報告書と領収書の提出日でもあるので回収BOXから取り出し、内容をチェック。夕方にバス乗り、市役所の3階にある政策推進課へ持っていった。

今日の拠点には起業メンバーはいない。スリランカへスパイスとアーユルベーダを視察中のメンバーもいれば、プラントベイズドカフェを開けているメンバーもいる。工房で木屑プロダクトを製作しているメンバーもいれば、熟成肉を納品中のメンバーもいる。支援期間は最長3年。10月から順次、期間満了を迎えて自立する。24年の4月で全員が支援期間満了。私も「片道2時間半」を満了する。

ちなみに、今から20年前の私は「村の実家から車で峠道を下り30分かけて奈良市まで走り、月極駐車場に止めたあと近鉄奈良駅から大阪心斎橋の会社に通う」という生活をしていた。現在と真逆のコース。大阪市内に部屋を借りるまでの1年間それは続いた。初めての就職だった。夜道の峠で鹿と対峙したことも懐かしい。山中が怖くてカーステから爆音のHIPHOPを流していたっけな。