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優しい雑音に耳を澄ませ ◆ 水曜日の湯葉104[11/29-12/6]

11月29日 水

さいたま国際芸術祭 2023 に行ってきた。ネットで「SCP好きな人におすすめ」という噂を聞いて「SCPはよく知らんけど、僕の小説もそういう勧め方をされるので、僕向きなんじゃないかな」と思ったからである。

市民に向かってなんだその入り口は

会場は大宮駅の徒歩圏内。この建物自体は見たことがあり、こんな不自然な入り口がなかったのも覚えている。「言うほど不自然か?」と思った方は写真の真ん中らへんをズームしてもらいたい。

ガラス割って玄関挿入することある?

この市民会館は去年閉館したもので、おそらく近い将来に取り壊されるのだろうが、それをいいことに建物自体を魔改造して、およそ公共施設としてありえない空間を作っているのである。たとえば「3階の大部屋の中を移動するのに、いったん1階に戻らないといけない」といったことがある。
(余談であるが、埼玉は県内移動で東京経由がわりとある)


悪意そのものみたいなパーティション

展示物はどれもキャプション(作品タイトルや解説を書いた札)がない。「作品」と「それ以外の風景」を意図的に曖昧にしているのがわかる。「風景」の持つ自然感と「作品」の持つ異物感の微妙なラインをうまいこと突っついて、脳のあんまり触ったこと無い部分を刺激してくるかんじの展覧会であった。


11月30日 木

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