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早く楽になりたくて徹夜をしていた ◆ 水曜日の湯葉131[6/5-11]

6年ぶりの長編『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』が今月末に発売します。タイトルまんまの小説です。どんなに異様なタイトルでも意外と内容がそのまんまなのが柞刈湯葉スタイル。


6月5日 水

6年ぶりの長編といったがもう次の長編の準備がかなりできており、それが秋刊行予定の『記憶人シィーの最後の記憶』である。今日はそのあとがきを書いた。僕は全部の小説に執拗にあとがきを書く「あとがき作家」として知られているが、今回はちょっと特殊なタイプのあとがきだ。

『シィー』は『横浜駅SF』を書き終えてすぐくらいの頃、真剣に商業作家を目指すに当たって持続可能なシリーズ作品の枠組みを作ろう、という構想で考えた話である。実際に作家活動をしてわかったのは「短編ばっかり書いてても意外と食えるし、自分はそっちのほうが性に合う」ということだっだが。

このところ忙しすぎて徹夜をしなくなった。以前は「これが終われば暇ができる」というときに早く楽になりたくて徹夜をしていたのだが、今はもうずっと慢性的に忙しいので、持久戦を耐え抜く体制を作るという覚悟を決めて寝るようにした。1日3食しっかり食べて睡眠をとってる俺たちのほうがずっと真面目だ、とライオスも言っている。

ドラえもんの有名な回「ドラえもんだらけ」というのがある。のび太に宿題を頼まれ、1人では終わらないからとタイムマシンで「2時間後のドラえもん」「4時間後のドラえもん」「6時間後のドラえもん」「8時間後のドラえもん」を呼び出し、夜を徹して宿題をやる話。普通に考えると「明日のドラえもん」「明後日のドラえもん」……を呼んだほうがずっと楽なのだが、明日以後もこの面倒を続けるくらいなら今日だけで終わらせてしまえ、という前方向に投げやりな発想は切羽詰まった時に結構よく出る。ただそれだと長く戦うことはできないのだ。


6月6日 木

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