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ヒトと収斂した有袋類、フクロニンゲン ◆ 水曜日の湯葉103[11/22-28]

11月22日 水

季節感のノルマ消化に紅葉を見に行く。といっても有名紅葉スポットは激混みに決まっているので、「このへん紅葉ありそう」と思った駅で適当に降りて歩く。

ほら、あの山の上のほうとか
いちおう舗装された山道
いい感じのところに来た

ネットでは彩度をギンギンに上げた紅葉写真が出回っているので、自分の足で紅葉を見に行くとその色の地味さにびっくりする。そうやって1年ごとにびっくりして印象をリフレッシュさせる必要がある。ある種のデジタル・デトックスである。

電車で森博嗣『ダウン・ツ・ヘブン』を読む。『スカイ・クロラ』シリーズの3冊目で、なぜか版元から送られてくるのでありがたく読ませていただいている。主人公は戦闘機のエースパイロットで、空を飛ぶことにしか関心がなく、社会臭のする地上に滞在するのを嫌っている。そうした純粋さを描いて1冊が終わる。

森博嗣はミステリも何冊か読んだが、こちらはあまりピンと来ない。殺人事件が起きるのはいいとして、「事件を解決する」という行動が世俗的すぎて、キャラクターの純粋さを損ねるからだ。そういうのは警察とか裁判所とかいった社会性の強い組織の担当業務ではないかと思う。『スカイ・クロラ』シリーズはそういう臭いがない。人が死んだら「戦死」で終わりである。


11月23日 木

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