水曜日の湯葉50 ◆ 大人は普段着で走らない
読者の方からファンアートをいただいたので「水曜日の湯葉」メンバーシップのヘッダー画像に使うことにします。ありがとうございました。
11月16日 水
深夜4時に「幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする」の原稿を仕上げる。仕上がらなかったので4時間寝て朝の9時に送る。
「この喫茶店でないと原稿が書けない」みたいな作家は結構いるけど、僕は書ける条件が毎回変わるという厄介なタイプであり、締切までの時間はだいたい条件検討に費やされる。それは原稿のフォントだったり、 BGM だったり、キーボードの種類だったり、カフェインの摂取量だったりするが、最近は深夜の1〜4時でないと原稿が書けないという絶望的な状況になってしまった。おかげで肌荒れと口内炎がひどい。
昼過ぎに NASA の YouTube チャンネルを見る。50年ぶりに人類を月に送る「アルテミス計画」の端緒となるロケット（今回は無人）の打ち上げである。ローンチウィンドウの関係で現地時間の深夜1時の打ち上げるらしく、深夜でないと原稿が書けない身にはシンパシーを感じる。
自分はSF作家であり宇宙ファンなので今回の打ち上げも画面に張り付いて見ていたが、冷静に考えるとアルテミス計画は東京オリンピックと共通点が多い。「50年前の熱狂をもう一度」と巨額の税金をつぎ込みながら延期を繰り返し、経済効果を謳いながらも政治要素で雁字搦めになり、民間で開発されているロケットに比べて非効率な点が目立つ。宇宙に関心のない合衆国民は白けた目であのオレンジの機体を見ているのかもしれない。スポーツに関心のない自分がそうであったように。
11月17日 木
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