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限定シュークリームを2個♡勇樹さんの分も食べちゃった奥さん。ガッカリの勇樹さんの☕やけコーヒー☕?〈カフェ67勇樹6〉

カラン、カラーン。

若い三人〈ホストの冬矢君、冬矢君を好きな咲希ちゃんの友達の音夢ちゃん。そして咲希ちゃん〉が帰って直ぐに勇樹さんが入って来た。

何だか淋しそうに見えた。

「いらっしゃい、勇樹さん。今日はリモートワークじゃないんですね」

最近は、リモートワークになった勇樹さんは、家がうるさいからと、時々ここで昼間、パソコンを持って来てリモートワークもしている。

「ママ。やけ酒ならぬ、やけコーヒーを飲みに来ました」

「はぁ?。何かあったんですか?。確かに今日はリモートワークで来なかったですよね。今日は会社でお仕事?」

私が聞くと、勇樹さんはとりあえずカウンターに座った。

「とりあえず、コーヒー下さい。私はもうガッカリで」

そう言って、出したおしぼりで手を拭いて、グラスの水を一気に飲み干した。

「何かあったんですか?」

私は、勇樹さんのオレンジ色のパンダのマイカップに、コーヒーを入れて出した。

「どうもこうもないですよ。あ、ママ、これ一緒に食べませんか」

勇樹さんは、そう言って持って来たコンビニ袋からシュークリームを2個出した。

「あら。いいんですか」

「コンビニのシュークリームですけど、美味しいんですよ。だけど--- 」

ちょっと、しょぼくれて勇樹さんがシュークリームを私に渡してくれた。

「ありがとうございます。美味しいですよねシュークリーム。私も大好きですよ」

そう言って私が、食べようとすると

「実は、有名なシュークリームの店の限定シュークリームを昨日、奥さんの分と2個買って来て遅かったから冷蔵庫に入れて置いたんですよ。それで、今日楽しみに急いで帰ったら。--- 限定シュークリーム、無かったんですよ」

「あら」

「聞いたら、2個食べたって。それだけ。ありえますか?。私が楽しみで買って来たのに、ありがとうも無ければ何も無しですよ」

勇樹さんは、そう言ってコンビニで買って来たシュークリームを食べ始めた。

「あらあら」

私は、何て言っていいものか。

そう言いながらも、勇樹さんは奥さんを嫌いでは無いし、言葉に悩む。

「限定なら、食べたかったですね」

私も、何を言っていいのやら。

すると、始めはちょっと不機嫌な勇樹さんがコンビニのシュークリームを食べ始めたら、

「そうなんですよ。やっと買えたのに。怒りをぶつけたくて来ちゃいました。--- でも、コンビニのシュークリーム食べたら何だか、どうでも良くなりました。ありがとう、ママ。一緒に食べてくれて。コンビニのシュークリームですけど」

そう言って、今度は嬉しそうに食べる勇樹さんの姿があった。

コンビニのシュークリームだけど、美味しかったのだろう。美味しいものを食べると、やっぱり嬉しくなるんだろうね。

「きっと、限定のシュークリームも美味しかったんでしょうね。だから、奥さん食べちゃったんですね。コンビニのシュークリームも美味しいですよ。ありがとう勇樹さん」

私が、そう言うと、

「そうですね。美味しかったんですね。だから2個食べちゃったんですね。私も、今度は直ぐに食べる事にします。やっぱり、シュークリーム美味しいですね」

勇樹さんは、そう言って美味しそうにシュークリームを食べながらコーヒーを飲んで、

「ママ、もう一杯、コーヒーお願いします。やけコーヒーじゃなくて、美味しいコーヒーを」

「はい。ありがとうございます」

私は、何だか嬉しくなった。

本当に、シュークリームが好きなんだなぁって。素直な勇樹さん。

奥さんも、美味しかったから2個食べてしまった。

勇樹さんも、奥さんにも食べさせたかったから2個買って来たのだから。

優しい勇樹さんだから。

ここでは、奥さんの愚痴ばかり言うけれど、何だか微笑ましい。本当に、逢ってみたくなる。

勇樹さんの奥さんに。

何だかんだ言って、3杯のコーヒーを飲んで帰って行った。

--- シュークリームかぁ。

美味しかった。

勇樹さん (誰か) と食べたからかな。

買って貰ったからかな。

突然だったからかな。

同じ食べ物でも、

その時々で味も違う。

感じ方も違う。

不思議。

私は、

--- ご馳走さま。美味しかったです。ありがとう。

そう、思った。

そして、

奥さんが2個食べちゃったから、私がシュークリーム食べられたんだなぁって。

奥さんにも、ありがとう。だね。

ふふっと、笑ってしまった私が居た。

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