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そうだね♡告白するより今は友達《仲間》が楽しいのかもしれない♡三角関係が⭕(まる)になる時♡〈カフェ66咲希4音夢1冬矢9後編〉

カラン、カラーン。


そう、今日が来たのだ。

昨日の偶然から、今日もしかしたら三人が逢う。

咲希ちゃんと、咲希ちゃんの友達の、ホストNo.1の冬矢君を好きな音夢ちゃん、そして、咲希ちゃんを気にしてるホストの冬矢君。

昨日、冬矢君が時々この店に来ると知って、一目見たくて友達の咲希ちゃんと来た音夢ちゃん。

冬矢君が来るかもしれないから、ここに来たいと。

そんな話をしていたら突然、冬矢君がホストの店の店長の誕生日を一日間違えてプレゼントを預けに来た。

だから、昨日偶然、何だか爽やかで複雑な三人が顔を合わせたのだ。

預けたプレゼントを今日、冬矢君が取りに来るから、冬矢君を見ていたい音夢ちゃんと咲希ちゃんも、また今日も来る事となったのだ。

もちろん、咲希ちゃんと音夢ちゃんが先に来ていた。

咲希ちゃんは特別誰かが気になるわけでも無いから、カジュアルな格好だったけど、音夢ちゃんは可愛い紺色のふわっとしたワンピースにクリーム色のカーディガン。

そして、二人はたぶん冬矢君には時間が無いだろうからと、今日はカウンターに座った。

すると、直ぐ

カラン、カラーン。

冬矢君が入って来た。

相変わらず、頭の先から靴まで真っ白。

真っ白いジーンズにトレーナー。

「ちーっす。あれ、居たんだ」

冬矢君は、二人を見てニコッと笑った。

「はい。来てました。お花ありがとうございます。私もママにはお世話になってるんです」

咲希ちゃんは、さらっと言った。

「昨日も居たよね」

「そうなの。友達の音夢ちゃん。私がこのお店が好きだから連れて来たの」

何だか、意外に淡々と会話が進んでいる。

あれっ?。何だか私は口を出せない。

どうなるんだろ。

冬矢君は咲希ちゃんを

咲希ちゃんの友達の音夢ちゃんが冬矢君を。

余計な事を知ってるのは私だけだけど。

確かに余計な事なのだ。

私は、黙って見ていた。

「俺も好きだよこの店」

「私も。だから友達連れて来たの。いつも来るの?」

「あぁ、だいたい来るよ。この時間」

--- えっ、最近は来ないのに。嘘ばっかり。

私は、ちょっとクスッと笑ってしまった。

そんな私を冬矢君は、ちらっと見た。

「あ、そうなんだ。私達はもう少し早めに来てるから、今まで逢わなかったのね」

--- ん?。今、音夢ちゃんを初めて連れて来たみたいに言ったよね。咲希ちゃん。

本当に面白い。上手く合わせてる。

私は、三人を遠目で見ている。

「今日はさぁ、あ、俺、ホストなんだ。店長の誕生日でこれから誕生祝いパーティーなんだよ。行かなきゃだけど、いつも居るから、この時間。また話そうよ。えっと、友達の」

「音夢(ねむ)ちゃんです。宜しく」

咲希ちゃんは、音夢ちゃんの服をツンツンしている。

「あの、音夢です。宜しくお願いします」

相変わらず音夢ちゃんは、借りてきた猫状態。

「俺、冬矢。宜しく」

「あ、私は咲希です。宜しく」

「あ、咲希ちゃん。名前は知らなかったよな。宜しく。ごめん、これから行かなきゃ。ママ、プレゼント預かってくれてありがとう」

「あ、はい」

私は、慌ててプレゼントを取りに行った。

--- 名前、知ってるくせに。みんな嘘だらけ。でも、きっとそれでいいんだね。今は。変に告白するより友達でいる方が。楽しく話せる方が。

なんだか、ちょっとドキドキしたけど面白かった。

私だけが知ってる秘密。

私は黙っていよう。

若い三人に任せて。

私は、預かった大きめのプレゼントを持って来て冬矢君に渡した。

「ありがとう、ママ。これからは、--- だからちょくちょく来るよ」

そう言ってウインクした。

--- あらま。ぷっ。

ま、来てくれるのは嬉しい。

きっと、咲希ちゃん達もちょこちょこ来てくれるかもしれない。

冬矢君は、片手を上げて

「じゃ、また」

そう言って出て行った。

あっという間の出来事だった。

私はちょっとボーッとしていると

「ママ、ありがとう。話せて良かったね、音夢」

咲希ちゃんが、そう言った。

「うん、ありがとう。やっぱり格好いいね」

嬉しそうに照れる音夢ちゃん。

「音夢。今は友達の方がいいよ。楽しく話したりしている方が、きっとその方が楽しいから」

そう言う、咲希ちゃん。

「うん」

音夢ちゃんは、ゆっくり頷いている。

今年の冬に、恋を失くした咲希ちゃん。好きな人を失くすという事。どれだけ悩み淋しかったのか。

そんな経験をしているから〈今は友達の方がいいよ〉って言ったのかもしれない。

もちろん、恋人になれたら楽しいかもしれない。でも、まだまだ時間もある。まして、No.1ホストの冬矢君。告白するのは簡単かもしれない。だけど、時には言わない方がいい時もある。

きっと、その時が来ればその時なのだろう。

私は、何も言えない。

言ってもいけない。

見守っていよう。若い三人を。

若い人には若い人の世界があるから。

相談されたら、聞いてあげよう。

私は、ここに居ればいい。

みんなの場所でありたいと思う。

--- いいなぁ。

ふっと、微笑んでいた。

「ママさん。ありがとう」

音夢ちゃんが、嬉しそうに言った。

「ママでいいわよ。いつでも来てね」

「はい、ママ」

「ママ、音夢の事、宜しくお願いします」

私は、咲希ちゃんの言葉に頷いたけど、冬矢君は咲希ちゃんが気になっているんだけどって、心の中で言ったいた。

冬矢君が店を出て、それから30分ぐらい居て二人は帰って行った。

どうなるんだろう。

本当に余計な心配だけど、また、余計な事が気になる。

カラン、カラーン。

ん?

勇樹さん?。

今日は、遅い時間に入って来た。

いつもは、リモートワークで、昼間パソコン持って来るのに。

「いらっしゃい、勇樹さん」

そこには、ちょっと淋し気な勇樹さんが居た。

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